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絶対に行きたくありません
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ネモフィラ王国との謁見に、私もご一緒させていただくことにしました。
ヴィンセント様は嫌そうでしたが、ヴィンセント様のそばが一番安全だと思えるからです。
私を攫おうとするなら、私を守ろうとしてくれるイブリンやアレッタに危害を加えるかもしれませんもの。
守ってくれるのはありがたいですが、大切な二人が傷ついたりするのは嫌です。
回復薬が効くとしても、痛いものは痛いのですから。
私がヴィンセント様の隣に座ると、イブリンとアレッタが私の斜め後ろに立ちます。
ヴィンセント様の横に立ったノワールさんが入口へと声をかけました。
「謁見を始める」
両扉がゆっくりと開き、甲冑に身を包んだ集団と・・・その中央で守られたヒョロリとした男性が入って来ました。
うーん、多分あの人がネモフィラ王国の王太子殿下なのでしょうね。
婚約者という形でしたが、塔に閉じ込められている私が交流などできるわけもなく、顔を見たのは最後の処刑の時だけ。
その時もすでに目も霞んでいましたし、ろくに顔を覚えていません。
「初めまして。私はネモフィラ王国の王太子、レイモンドと申します」
「・・・先触れにもあったが、聖女を渡せとはどういうことだ」
「読んで字の如くですよ。聖女はネモフィラ王国にあるべきものです。過去にも、他国に聖女が生まれたなどということはありません。つまり、ネモフィラ王国で生まれた聖女をメルキオール王国に連れ去った者がいるということ。いえいえ。メルキオール王国の罪を問おうというのではありません。ただ、あるべき場所に戻していただきたい、それだけです」
過去には本当に、ネモフィラ王国以外に生まれたことはなかったのかもしれません。
ですが、今の私は連れ去られて来た訳でもなんでもありません。
女神様が私を殺した国に、生まれ変わらせたくないと思ってくださったのだと思っています。
そもそも、何故ネモフィラ王国が聖女の所在地を決めるのでしょう。
聖女自身が望む場所、それが聖女がいるべき場所ではないのでしょうか。
絶対に、行きたくありません。
どう聞いても、また良いように扱き使われるのが目に見えています。
「何故、聖女のあるべき場所がネモフィラ王国なのだ。そもそも我が婚約者殿は、メルキオール王国生まれだ。誰かが攫って来た訳ではない」
「いえ、聖女はネモフィラ王国にあるべきものだと伝承にも・・・」
「ならば、我が婚約者殿は聖女ではないのかもしれんな。我が国に生まれ、他国に行ったことなどないのだから」
ヴィンセント様は嫌そうでしたが、ヴィンセント様のそばが一番安全だと思えるからです。
私を攫おうとするなら、私を守ろうとしてくれるイブリンやアレッタに危害を加えるかもしれませんもの。
守ってくれるのはありがたいですが、大切な二人が傷ついたりするのは嫌です。
回復薬が効くとしても、痛いものは痛いのですから。
私がヴィンセント様の隣に座ると、イブリンとアレッタが私の斜め後ろに立ちます。
ヴィンセント様の横に立ったノワールさんが入口へと声をかけました。
「謁見を始める」
両扉がゆっくりと開き、甲冑に身を包んだ集団と・・・その中央で守られたヒョロリとした男性が入って来ました。
うーん、多分あの人がネモフィラ王国の王太子殿下なのでしょうね。
婚約者という形でしたが、塔に閉じ込められている私が交流などできるわけもなく、顔を見たのは最後の処刑の時だけ。
その時もすでに目も霞んでいましたし、ろくに顔を覚えていません。
「初めまして。私はネモフィラ王国の王太子、レイモンドと申します」
「・・・先触れにもあったが、聖女を渡せとはどういうことだ」
「読んで字の如くですよ。聖女はネモフィラ王国にあるべきものです。過去にも、他国に聖女が生まれたなどということはありません。つまり、ネモフィラ王国で生まれた聖女をメルキオール王国に連れ去った者がいるということ。いえいえ。メルキオール王国の罪を問おうというのではありません。ただ、あるべき場所に戻していただきたい、それだけです」
過去には本当に、ネモフィラ王国以外に生まれたことはなかったのかもしれません。
ですが、今の私は連れ去られて来た訳でもなんでもありません。
女神様が私を殺した国に、生まれ変わらせたくないと思ってくださったのだと思っています。
そもそも、何故ネモフィラ王国が聖女の所在地を決めるのでしょう。
聖女自身が望む場所、それが聖女がいるべき場所ではないのでしょうか。
絶対に、行きたくありません。
どう聞いても、また良いように扱き使われるのが目に見えています。
「何故、聖女のあるべき場所がネモフィラ王国なのだ。そもそも我が婚約者殿は、メルキオール王国生まれだ。誰かが攫って来た訳ではない」
「いえ、聖女はネモフィラ王国にあるべきものだと伝承にも・・・」
「ならば、我が婚約者殿は聖女ではないのかもしれんな。我が国に生まれ、他国に行ったことなどないのだから」
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