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自重して欲しいとお願いされました
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「ルディア、あまり無理はしないでくれ」
ヴィンセント様の言葉に、私は首を傾げました。
無理ってなんでしょうか。
徹夜もしていませんし、ご飯も三食いただいていますし、なんならお茶もお菓子もいただいています。
イブリンとアレッタ(さん付けはやめるように言われました。年上なので付けたかったのですが、使用人にさん付けするものではないと叱られてしまいました)が交代で見張り?をしているので、無理などできません。
「ずっと回復薬を作っているだろう?もう相当数できていると聞く。また必要になれば頼むかもしれないが、当分は大丈夫だ。だから、ルディアはルディアのしたいことをして過ごしてくれればいいんだ」
したいこと、ですか?
私はこの国でお世話になっているのですから、少しでもお役に立ちたいのです。
聖女としての力が役に立つと分かったのですから、それに心血を注ぐのは当たり前なのではないでしょうか。
「ルディア。俺はルディアが聖女だから大切なんじゃない。ルディアがルディアだから、愛しいんだ」
「でも、私は何もできなくて・・・」
「俺を幸せにしてくれる」
「ヴィンセント様を幸せに?」
そんなこと、ネモフィラ王国でいた頃は言われたことがありません。
聖女として頑張っていても、生きていることすら無駄のように言われました。
なのに、ヴィンセント様は私がただいるだけでいいとおっしゃるのですか。
胸が痛いです。
ヴィンセント様がその手を伸ばして、私の頬に触れました。
そっと親指で頬を拭われます。
「悲しくなることを言ってしまったか?」
「いえっ・・・う、嬉し、くて・・・」
「そうか」
あの頃、苦しくて悲しくて涙したこともありましたが、叱咤されるだけでした。
それなのに、ヴィンセント様は泣きたいだけ泣けばいいとおっしゃってくださいます。
アレッタが、蒸したタオルを持ってきてくれました。
良かったです。
泣きすぎると酷い顔になってしまいますから。
「ルディアが、聖女として頑張ろうとしてくれているのは嬉しい。回復薬があれば、多くの民が助かるだろう。だが、それでルディアが倒れたりしたら俺もイブリンやアレッタも悲しい。だから、自分を大切にして欲しい」
「ネモフィラ王国にいた頃に比べたら、全然ゆっくりしているのですが、みんなに心配かけるのは嫌なので自重します」
「ああ。そうしてくれ」
私が全然平気だと言うと、ヴィンセント様もアレッタもどうしてか微妙なお顔をされていましたが・・・
私の気のせいですね。
これからは心配させないように、時間を決めて回復薬を作りましょう。
ヴィンセント様の言葉に、私は首を傾げました。
無理ってなんでしょうか。
徹夜もしていませんし、ご飯も三食いただいていますし、なんならお茶もお菓子もいただいています。
イブリンとアレッタ(さん付けはやめるように言われました。年上なので付けたかったのですが、使用人にさん付けするものではないと叱られてしまいました)が交代で見張り?をしているので、無理などできません。
「ずっと回復薬を作っているだろう?もう相当数できていると聞く。また必要になれば頼むかもしれないが、当分は大丈夫だ。だから、ルディアはルディアのしたいことをして過ごしてくれればいいんだ」
したいこと、ですか?
私はこの国でお世話になっているのですから、少しでもお役に立ちたいのです。
聖女としての力が役に立つと分かったのですから、それに心血を注ぐのは当たり前なのではないでしょうか。
「ルディア。俺はルディアが聖女だから大切なんじゃない。ルディアがルディアだから、愛しいんだ」
「でも、私は何もできなくて・・・」
「俺を幸せにしてくれる」
「ヴィンセント様を幸せに?」
そんなこと、ネモフィラ王国でいた頃は言われたことがありません。
聖女として頑張っていても、生きていることすら無駄のように言われました。
なのに、ヴィンセント様は私がただいるだけでいいとおっしゃるのですか。
胸が痛いです。
ヴィンセント様がその手を伸ばして、私の頬に触れました。
そっと親指で頬を拭われます。
「悲しくなることを言ってしまったか?」
「いえっ・・・う、嬉し、くて・・・」
「そうか」
あの頃、苦しくて悲しくて涙したこともありましたが、叱咤されるだけでした。
それなのに、ヴィンセント様は泣きたいだけ泣けばいいとおっしゃってくださいます。
アレッタが、蒸したタオルを持ってきてくれました。
良かったです。
泣きすぎると酷い顔になってしまいますから。
「ルディアが、聖女として頑張ろうとしてくれているのは嬉しい。回復薬があれば、多くの民が助かるだろう。だが、それでルディアが倒れたりしたら俺もイブリンやアレッタも悲しい。だから、自分を大切にして欲しい」
「ネモフィラ王国にいた頃に比べたら、全然ゆっくりしているのですが、みんなに心配かけるのは嫌なので自重します」
「ああ。そうしてくれ」
私が全然平気だと言うと、ヴィンセント様もアレッタもどうしてか微妙なお顔をされていましたが・・・
私の気のせいですね。
これからは心配させないように、時間を決めて回復薬を作りましょう。
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