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街に連れて行ってくれるそうです

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 ヴィンセント様の髪を上手に三つ編みできた日、街に連れて行ってもらえることになりました。

 ヴィンセント様が、お勉強を頑張ってるご褒美にって言ってくれたんです。

 ものすごくものすごく、嬉しいです。

 私は聖女になる前は、小さな村で暮らす平民でしたし、王都に連れて行かれてからは塔に閉じ込められていましたから、大きな街を知りません。

 たくさん人がいて、たくさんお店があって、ものすごく賑やかで、たくさん色んなものが売られているそうです。

 私はお金を持っていないので買えませんが、色んな物を見れるのは楽しみです。

「歩きやすいように、低めの靴を履きましょう」

 王宮内では、他の人の目もあるのでちゃんとドレスを着て、少し踵のある靴を履いています。

 ドレスもたくさんあって、毎日違うのをイブリンが着せてくれます。

 以前に着たのが着たいと言ったら、それは下位の貴族や平民に下げ渡したのでもうないのだと言われました。

 まだ着れるのにもったいないと思うのですが、私や高位の貴族が下げ渡すことで、ドレスをあまり買えない貴族は助かるし、平民も布にして服を仕立てたりできるのだから、と教わりました。

 それに普段着ているドレスは普段着用で、パーティーとかで着る物とは全然違うのだそうです。

 私が過去に着ていた服と比べると、極上品だと思うのですが。

「陛下か、イブリンのそばを離れてはいけませんよ?約束です」

「約束ですね。わかりました」

 ノワールさんに言われて、頷きます。

 迷子になりそうなので、ちゃんと離れずにいたいと思います。

「楽しんできてくださいね」

「はい」

 アレッタさんに言われて、私は頷きました。

 お城のみんなにお土産を買いたいですが、私はお金を持っていません。

 今日帰ったら、お金をもらえるように何かお仕事をさせてもらえないか相談してみましょう。

 今日見てお店を覚えておいたら、次に行った時に買えますよね。

「それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

 ノワールさんやアレッタさん、お城のみんなに手を振って、お出かけです。

 街には馬車で行くそうです。

 馬車に乗ったのは、聖女として王都に連れて行かれた時だけです。

 あの時の馬車とは全然違います。

 座席はふかふかだし、扉に格子も付いていません。

 そう言ったら、ヴィンセント様の眉間に皺がより、イブリンも何か悲しそうな表情をしました。

 私、いけないことを言ったのでしょうか。

「ごめんなさい」

「ルディアが謝ることはない。あの国、本気で碌でもないな」

 よく分かりませんが、私に怒ったわけではないようです。

 良かったです。
大好きなヴィンセント様やイブリンに嫌われたくないですから。
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