4 / 30
魔王様とお会いするそうです
しおりを挟む
魔王の居城?
いえ、それも問題ですけど、婚約者って言いました?
どういうことですか?
私、聖女なんですよね?女神様もそう言ってましたし、間違いないですよね?
どうして聖女の婚約者が魔王なんですか?
ある意味、対極にある存在ではないですか。
女神様に問い詰めたいのに、もうお声は聞こえて来ません。
まぁ、他の人がいる前で女神様と会話するわけにはいきませんけど。
「魔王・・・様ですか?」
「はい。覚えて・・・おられないのですか?」
「すみません。自分がどうして気を失っていたのかもわからないのです」
多分、時間が巻き戻ったせいだと思いますが、この身体の記憶が全くありません。
「す、すぐに陛下にお知らせいたします!ルディア様はこちらでお待ちくだ・・・先にお着替えをなさいますか?寝巻き姿でお会いしても大丈夫ですか?」
「着替えを・・・お願いできますか?いくら婚約者とはいえ、恥ずかしいので」
「はい!すぐに準備いたします。目眩などはありませんか?」
「大丈夫です」
こんなに丁寧に扱われたことがないから、ものすごく申し訳なく感じてしまいます。
でも、魔王様の婚約者で、ここは魔王様の居城だと言っていましたから、気を遣わないでというのも駄目な気がします。
そのメイドと思しき女性は、テキパキと私に顔を洗わせ、着替えをさせ、髪を整えてくれました。
「お待たせいたしました。それでは陛下を呼んで参ります。その後、朝食にいたしますが、何か食べられない物はありそうですか?」
「好き嫌いはありません」
私がそう答えると、女性は礼をして出て行きました。
鏡に映った自分をマジマジと見ます。
髪の色と瞳の色、そして名前だけは間違いなく以前の私と同じです。
女神様は、時を巻き戻したとおっしゃいました。
つまりは以前の私と今の私は同じ・・・
いえ、別のルートに移したともおっしゃっていました。
その別のルートというのがよく分からないのですが、その別のルートというもののせいで私の容姿が変わったのかもしれません。
正直言って・・・
可愛く健康的になったのは、とても嬉しいです。
過去の私は、平民だった頃より聖女になってからの方が酷い有様でした。
私だって年頃の少女です。
綺麗に着飾ったり・・・までは出来なくても、せめて普通でありたいと思っていました。
ですが、聖女としての務めを放棄したいと思うほど、あのネモフィラ王国での私の扱いは酷いものでした。
食事は一日一回、固いパンと野菜屑のスープ。
湯浴みなどさせてもらえず、冷たい水とタオルが渡されて、それで体を拭くしかありませんでした。
髪も体を拭いた残りの冷たい水で洗うので、ゴワゴワでした。
おそらく処刑されなくても、長くは生きられなかったと思います。
いえ、それも問題ですけど、婚約者って言いました?
どういうことですか?
私、聖女なんですよね?女神様もそう言ってましたし、間違いないですよね?
どうして聖女の婚約者が魔王なんですか?
ある意味、対極にある存在ではないですか。
女神様に問い詰めたいのに、もうお声は聞こえて来ません。
まぁ、他の人がいる前で女神様と会話するわけにはいきませんけど。
「魔王・・・様ですか?」
「はい。覚えて・・・おられないのですか?」
「すみません。自分がどうして気を失っていたのかもわからないのです」
多分、時間が巻き戻ったせいだと思いますが、この身体の記憶が全くありません。
「す、すぐに陛下にお知らせいたします!ルディア様はこちらでお待ちくだ・・・先にお着替えをなさいますか?寝巻き姿でお会いしても大丈夫ですか?」
「着替えを・・・お願いできますか?いくら婚約者とはいえ、恥ずかしいので」
「はい!すぐに準備いたします。目眩などはありませんか?」
「大丈夫です」
こんなに丁寧に扱われたことがないから、ものすごく申し訳なく感じてしまいます。
でも、魔王様の婚約者で、ここは魔王様の居城だと言っていましたから、気を遣わないでというのも駄目な気がします。
そのメイドと思しき女性は、テキパキと私に顔を洗わせ、着替えをさせ、髪を整えてくれました。
「お待たせいたしました。それでは陛下を呼んで参ります。その後、朝食にいたしますが、何か食べられない物はありそうですか?」
「好き嫌いはありません」
私がそう答えると、女性は礼をして出て行きました。
鏡に映った自分をマジマジと見ます。
髪の色と瞳の色、そして名前だけは間違いなく以前の私と同じです。
女神様は、時を巻き戻したとおっしゃいました。
つまりは以前の私と今の私は同じ・・・
いえ、別のルートに移したともおっしゃっていました。
その別のルートというのがよく分からないのですが、その別のルートというもののせいで私の容姿が変わったのかもしれません。
正直言って・・・
可愛く健康的になったのは、とても嬉しいです。
過去の私は、平民だった頃より聖女になってからの方が酷い有様でした。
私だって年頃の少女です。
綺麗に着飾ったり・・・までは出来なくても、せめて普通でありたいと思っていました。
ですが、聖女としての務めを放棄したいと思うほど、あのネモフィラ王国での私の扱いは酷いものでした。
食事は一日一回、固いパンと野菜屑のスープ。
湯浴みなどさせてもらえず、冷たい水とタオルが渡されて、それで体を拭くしかありませんでした。
髪も体を拭いた残りの冷たい水で洗うので、ゴワゴワでした。
おそらく処刑されなくても、長くは生きられなかったと思います。
506
お気に入りに追加
623
あなたにおすすめの小説
誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】「神様、辞めました〜竜神の愛し子に冤罪を着せ投獄するような人間なんてもう知らない」
まほりろ
恋愛
王太子アビー・シュトースと聖女カーラ・ノルデン公爵令嬢の結婚式当日。二人が教会での誓いの儀式を終え、教会の扉を開け外に一歩踏み出したとき、国中の壁や窓に不吉な文字が浮かび上がった。
【本日付けで神を辞めることにした】
フラワーシャワーを巻き王太子と王太子妃の結婚を祝おうとしていた参列者は、突然現れた文字に驚きを隠せず固まっている。
国境に壁を築きモンスターの侵入を防ぎ、結界を張り国内にいるモンスターは弱体化させ、雨を降らせ大地を潤し、土地を豊かにし豊作をもたらし、人間の体を強化し、生活が便利になるように魔法の力を授けた、竜神ウィルペアトが消えた。
人々は三カ月前に冤罪を着せ、|罵詈雑言《ばりぞうごん》を浴びせ、石を投げつけ投獄した少女が、本物の【竜の愛し子】だと分かり|戦慄《せんりつ》した。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
アルファポリスに先行投稿しています。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
2021/12/13、HOTランキング3位、12/14総合ランキング4位、恋愛3位に入りました! ありがとうございます!
その聖女、娼婦につき ~何もかもが遅すぎた~
ノ木瀬 優
恋愛
卒業パーティーにて、ライル王太子は、レイチェルに婚約破棄を突き付ける。それを受けたレイチェルは……。
「――あー、はい。もう、そういうのいいです。もうどうしようもないので」
あっけらかんとそう言い放った。実は、この国の聖女システムには、ある秘密が隠されていたのだ。
思い付きで書いてみました。全2話、本日中に完結予定です。
設定ガバガバなところもありますが、気楽に楽しんで頂けたら幸いです。
R15は保険ですので、安心してお楽しみ下さい。
舞台装置は壊れました。
ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。
婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。
『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』
全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り───
※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます
2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
素顔を知らない
基本二度寝
恋愛
王太子はたいして美しくもない聖女に婚約破棄を突きつけた。
聖女より多少力の劣る、聖女補佐の貴族令嬢の方が、見目もよく気もきく。
ならば、美しくもない聖女より、美しい聖女補佐のほうが良い。
王太子は考え、国王夫妻の居ぬ間に聖女との婚約破棄を企て、国外に放り出した。
王太子はすぐ様、聖女補佐の令嬢を部屋に呼び、新たな婚約者だと皆に紹介して回った。
国王たちが戻った頃には、地鳴りと水害で、国が半壊していた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる