20 / 23
原因報告と対処
しおりを挟む
ルーカス様とエモンド様が調査をしてくださっている間、私とフロラリアは東側にあるカフェで待つことにした。
疫病のせいで、開けていてもお客さんは来ないようだけど、原因が分かって対処が終われば、また元の通りの賑わいに戻ると思う。
「思ってたより美味しいわ。ハーブティーがメインなのね」
「貴族がいないので、きっと紅茶なんか飲まないんでしょうね」
フロラリアも頷きながら、カップを口に運ぶ。
「このハーブ、毒消しの効果があるみたい。そういえば、軽症だった人たちって女性と、体力のある男性が多かったわね。何か関係があるかもしれないわ」
「聞いてみましょうか?あの、すみません」
「はい、はい。なんでしょうか?」
お店の店主らしき女性が、急いでやって来てくれた。
「このハーブティーって、西側の方々も飲まれているんですか?」
「え、ええ。もしかして、このハーブに何か問題が?でも、私も毎日飲んでるんですよ?」
「いえ、そうではなくて、逆です。このハーブティーを飲んでいた方が軽症なのではないかと思って。どんな方が飲まれて、どんな方が飲まれなかったか分かりますか?」
「え?でもただの自家製ハーブですよ?確かにこの街のご婦人方は好んで飲んでくれていましたけど。子供は美味しくないと言って飲みたがらなかったですね。あと、ご年配の方や男性も、果実水やお茶を飲まれてましたね」
ん?お茶や果実水?
もしかして水がいけないんじゃ・・・
「そのお茶とかに使うお水って・・・」
「ユースティティア様っ!原因が理解りましたっ!」
「ルーカス様。水、ですか?」
「すでにお気付きとは、さすがです!どうやら井戸の水が汚染されているようです。しかし、それなら何故、全員がかかっていないのでしょうか?」
ルーカス様とエモンド様が調査から戻って来たので、調査結果を聞いていると、店主の女性が顔を青くしていた。
「あ、あの・・・皆様は、一体・・・」
「あ、ただの旅行者なんですが、たまたま東側で疫病のことをお聞きしまして。職業柄、解決できればと」
「職業、ですか?」
「ええ。妹は聖女なのです。大丈夫ですよ。西側の人たちも回復していますから、明日には元気になります。原因の方も、この後対処しておきますから」
私の言葉に、女性は涙を浮かべてフロラリアに何度も何度も頭を下げた。
「聖女様っ!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「いえ。聖女の務めですから。それにここのハーブのおかげで、被害が抑えられたのだと思います」
そう言うフロラリアの姿は、聖女として相応しい姿だった。
疫病のせいで、開けていてもお客さんは来ないようだけど、原因が分かって対処が終われば、また元の通りの賑わいに戻ると思う。
「思ってたより美味しいわ。ハーブティーがメインなのね」
「貴族がいないので、きっと紅茶なんか飲まないんでしょうね」
フロラリアも頷きながら、カップを口に運ぶ。
「このハーブ、毒消しの効果があるみたい。そういえば、軽症だった人たちって女性と、体力のある男性が多かったわね。何か関係があるかもしれないわ」
「聞いてみましょうか?あの、すみません」
「はい、はい。なんでしょうか?」
お店の店主らしき女性が、急いでやって来てくれた。
「このハーブティーって、西側の方々も飲まれているんですか?」
「え、ええ。もしかして、このハーブに何か問題が?でも、私も毎日飲んでるんですよ?」
「いえ、そうではなくて、逆です。このハーブティーを飲んでいた方が軽症なのではないかと思って。どんな方が飲まれて、どんな方が飲まれなかったか分かりますか?」
「え?でもただの自家製ハーブですよ?確かにこの街のご婦人方は好んで飲んでくれていましたけど。子供は美味しくないと言って飲みたがらなかったですね。あと、ご年配の方や男性も、果実水やお茶を飲まれてましたね」
ん?お茶や果実水?
もしかして水がいけないんじゃ・・・
「そのお茶とかに使うお水って・・・」
「ユースティティア様っ!原因が理解りましたっ!」
「ルーカス様。水、ですか?」
「すでにお気付きとは、さすがです!どうやら井戸の水が汚染されているようです。しかし、それなら何故、全員がかかっていないのでしょうか?」
ルーカス様とエモンド様が調査から戻って来たので、調査結果を聞いていると、店主の女性が顔を青くしていた。
「あ、あの・・・皆様は、一体・・・」
「あ、ただの旅行者なんですが、たまたま東側で疫病のことをお聞きしまして。職業柄、解決できればと」
「職業、ですか?」
「ええ。妹は聖女なのです。大丈夫ですよ。西側の人たちも回復していますから、明日には元気になります。原因の方も、この後対処しておきますから」
私の言葉に、女性は涙を浮かべてフロラリアに何度も何度も頭を下げた。
「聖女様っ!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「いえ。聖女の務めですから。それにここのハーブのおかげで、被害が抑えられたのだと思います」
そう言うフロラリアの姿は、聖女として相応しい姿だった。
73
お気に入りに追加
766
あなたにおすすめの小説
元聖女だった少女は我が道を往く
春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。
彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。
「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。
その言葉は取り返しのつかない事態を招く。
でも、もうわたしには関係ない。
だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。
わたしが聖女となることもない。
─── それは誓約だったから
☆これは聖女物ではありません
☆他社でも公開はじめました
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです
山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。
今は、その考えも消えつつある。
けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。
今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。
ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。
SHEILA
ファンタジー
ベイリンガル侯爵家唯一の姫として生まれたエレノア・ベイリンガルは、前世の記憶を持つ転生者で、侯爵領はエレノアの転生知識チートで、とんでもないことになっていた。
そんなエレノアには、本人も家族も嫌々ながら、国から強制的に婚約を結ばされた婚約者がいた。
国内で領地を持つすべての貴族が王城に集まる「豊穣の宴」の席で、エレノアは婚約者である第一王子のゲイルに、異世界から転移してきた聖女との真実の愛を見つけたからと、婚約破棄を言い渡される。
ゲイルはエレノアを聖女を騙る詐欺師だと糾弾し、エレノアには国外追放を、ベイリンガル侯爵家にはお家取り潰しを言い渡した。
お読みいただき、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる