私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな

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女神

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 私が女神として誕生したのは、十六年前だ。

 元々人間だった私は、人としての生を終え、女神として生まれ変わった。

 うん。ちょっと待って。何故?というツッコミは分かるけど、説明するわ。

 もちろん、普通は輪廻の輪に入るんだけど、女神として生まれ変わったことには諸々の事情がある。

 そもそも、人間だった私が本来なら死ぬはずじゃなかったということが発端だ。

 いわゆる、神様の手違いというやつだったとか。

 なにやら、乙女ゲームというものの世界だと勘違いした女性に殺されてしまったらしい。

 生まれ変わるにあたり、私の住んでいた世界、その女性が元いた世界の両方の神様と、新たに生を受ける世界の神様の三柱から加護を受けることになった。

 そして、お詫びとして授けられた加護が異常過ぎた。

 人として生きるには不適切な力過ぎたのだ。

 結果。

 私は女神の一柱となった。

 与えた加護を取り消すことも出来なくて、全てを統べる神様から女神になるように提案を受けた。

 私としては別に、人間として生きることに執着がなかった。
 多分、死ぬ前の記憶がないせいだと思う。

 それに、何となく女神様になるのも悪くないと思ってしまった。

 それに、新たな神は人として『研修』をしなければならないらしい。

 だから、ユースティティア・ヴェルザンディは人間だけど、この生を終えたら女神として生きることになる。

 ほら、やっぱり選択は間違ってなかった。

 ちゃんと人としてのやり直しもできるし、神様として生きることもできる。

 そして女神の一柱となった時に、加護を与えたのがフロラリアだ。

 だから、フロラリアは私が女神なことを知っている。

 一応、ヴェルザンディの両親と王家にも話しているんだけど。

 ヴェルザンディの両親は、半信半疑ながらも信じてくれた。

 そして国王陛下たちも。

 陛下は、教皇様からも私の発言が間違いないと言われたそうだ。

 さすが神に仕える教会トップの方は、私が人間ではないと気付いたのね!

 と思ったら、この世界の神様が神託を下ろしたのですって。

 私は女神だから、もし私に危害を加えるようなことがあれば、この世界そのものを破壊して浄化する!とか脅したらしい。

 そしてそれを聞いているからこその、国王陛下たちの土下座な謝罪なのよね。

 まぁ、ジュリアーノ様はともかく、陛下たちは神様の脅しがあったからかもしれないけど良くしてくれたし、別にあの婚約破棄宣言に傷ついてもいないから、この国担当の神様には罰は与えないようにとお願いしなくちゃね。

 王子妃にもならなくて済んだし、ヴェルザンディ公爵家はフロラリアに継がせる予定だから、冒険の旅にでも出ようかしら。
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