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謝罪の場

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 ジュリアーノ殿下起こした騒動を聞いて、国王陛下に王妃殿下、第一王子殿下までがヴェルザンディ公爵家に来訪した。

「「「本当に申し訳ありませんでしたっ!」」」

「肝心のご本人がいらっしゃらないみたいですけど?」

 ソファーではなく、床の上に直接座り込んで、頭を擦り付ける勢いで頭を下げるお三方に、フロラリアが冷たく言い放つ。

 お父様もお母様も、フロラリアの物言いを注意して下さいよ。

 それにフカフカの絨毯を敷いてあるとはいえ、王族を床に座らせているのも問題だと思うわ。

「フロラリア、言い方!それから皆様もとにかくソファーに座って下さい。話がしづらいですから」

「だって!お姉様」

「だってじゃありません。そんな態度を取るのなら、しばらくフロラリアと口をきかないわよ」

「ぴっ!ごめんなさい!大人しくします」

 素直に黙ったフロラリアの頭を撫でてあげていると、陛下たちもおずおずとソファーに腰掛けてくれた。

「それで、ジュリアーノ殿下は?」

「謝罪させようと、連れて来るつもりだったのだ。だが、アレはその・・・不快にさせる発言をしそうだったのでな」

「ああ。私ではなくフロラリアを婚約者に、でしょう?まぁ人には好みというものがありますし、フロラリアが可愛いのは事実ですし。身分的にも年齢的にも問題はなかったのですけど、やり方を間違えましたね」

 ちゃんと正当な手順で申し込んでいたら・・・でも、フロラリアはジュリアーノ殿下のことを毛嫌いしているから難しかったとは思うけど。

 少なくとも、こんな騒動にはならずに済んだでしょうね。

 それに今回のことで、フロラリアとの婚約は、万にひとつの可能性からほぼゼロになってしまったわ。

 私至上主義のフロラリアが、私に暴言を吐いたジュリアーノ殿下を許すわけがないもの。

「本当に済まなかった」

 本当は、許して欲しいと言いたいのでしょうね。

 令嬢相手なら、慰謝料を払って許してもらうことも可能だ。

 相手は王族だし、なるべく良好な関係を保つためにも、公爵家側も強くはでない。

 ただ・・・
ヴェルザンディ公爵家は特殊だった。

 次女が聖女であり、婚約者だった長女はなのだ。

 フロラリアを聖女と認定した女神、それが私。

 女神である私が、人間として公爵令嬢をしているのには、当然のことながら理由がある。

 その理由も、女神であることも知っているヴェルザンディの両親は、王家との話し合いに口を挟まないようだ。

 

 



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