私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな

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私の価値は

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「ふ、ふふふっ。ふふふふっ」

 ヴェルザンディ公爵家に戻ったら、可愛い妹が、不吉な笑い声をあげていた。

 ピンクの色の髪は緩やかにウェーブしている。
 同色の瞳は大きくてぱっちりしていて、長いまつ毛が縁取っていた。

 本当に聖女のような美しい姿の妹フロラリアは、その可愛い顔に悪魔のような笑みを・・・いやどっちにしても可愛いわ。

「ただいま、フロラリア。その笑い方、やめなさい」

「おかえりなさい、お姉様。だって、もうあの阿呆をどうしてやろうかと思って」

「王族を阿呆呼ばわりもやめなさい。あれでも第二王子なのよ?陛下や王妃様がかわいそうでしょ」

 あら?アレ呼ばわりしている私も、ある意味不敬かしら。
 まぁ、仕方ないわ。本当に阿呆なんだもの。

 フロラリアを望むとしても、陛下にお願いして、内々に話を持ってくるべきよね。

 どこに姉に婚約破棄を突きつけた馬鹿に、妹を嫁がせる家があるのよ。

 私としては、お父様たちに泣きつかれたから婚約したわけだし、婚約破棄はドンと来いだけど、本当陛下と王妃様が気の毒だわ。

「だってお姉様。あの馬鹿、私の大切なお姉様に、婚約破棄?ふふふっ。お姉様から破棄するならともかく、あの馬鹿が破棄?ふざけんじゃないわよ」

「フロラリア。言葉遣い!」

「だって!お姉様は悔しくないのっ?」

 悔しいねぇ・・・
別にどうでもいいかなって感じなんだけど。

 人の生なんてほんの一瞬なんだもの。

 だから、お父様たちに頼まれた婚約も了承した。

 少しくらい我慢すれば良いことだし。

「そういう感覚はないのよね。それも経験かなって程度?」

「ハァ。ってみんなそうなの?」

「そうねぇ。まだ生まれて間もないからアレだけど、ほとんどの神って執着心とか人間によくある感情を持たない方が多いわね」

 もちろん、感情がないわけじゃないんだけど、あんまりこだわらないのよね。

「まぁいいわ!これであの阿呆とお姉様の婚約は消滅したわけだし!」

「第一王子殿下には婚約者がいるから、フロラリアが婚約者になることもないだろうし、陛下はどうするつもりかしらね」

 女神と聖女の加護を得るために婚約したわけだけど、ジュリアーノ様のせいでそれも台無しになったし、ジュリアーノ様って私の価値をご存知なかったのかしらね。
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