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快く了承しますね

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「ふんっ!何も言わないのか?まぁ、何を言ったところで、婚約破棄は覆らないがな!」

 黙ったままの私に、とても気分の良さそうなジュリアーノ様。

 まぁ!鼻の穴が大きく開いて、鼻息が荒いですわね。まるで馬のよう。

「何だ!その目は!お前のその人を馬鹿にしたような目が嫌いなんだ!」

 あら?私が馬鹿にしていたことに気付いていたのね。

 でも、よく周囲を見てごらんなさい?

 現在殿下は皆様に、私と同じような目で見られているわよ?

 でも、不思議ね。
私に馬鹿にされてることは気付くのに、フロラリアに毛嫌いされていることは気付かないのね。

 あの子、まるで毛虫でもみるような目で、殿下を見てるのに。

 まぁ、いいわ。
このの場合、被害を被るのは言い出したジュリアーノ様の方だしお返事してあげましょう。

「婚約破棄ですわね。謹んでお受けしますわ。陛下たちへのご報告は、殿下からなさってくださいね」

 まぁ、王家の諜報部隊の方が、すでにご報告されているでしょうけど。

 ここマクシミリアン王国では、王家や高位貴族は、独自の諜報機関を持っていることが多い。

 当然、王家もだしヴェルザンディ公爵家も持っている。

 今頃、お父様やお母様、フロラリアの耳にも入っているでしょうね。

 陛下たちが見えると面倒だから、そろそろ退却しましょうか。

 絶対、泣いて縋られるもの。
私、陛下や王妃様たちのことは嫌いじゃないのよね。

「それでは失礼いたします。皆様、せっかくのパーティーなのに、ごめんなさいね?この後、ゆっくりお楽しみになって下さいませね」

 パーティーに集まった学園生に挨拶をすると、私はさっさと踵を返した。

 まぁゆっくり楽しめと言っても、きっと大半の令嬢令息は帰るでしょうね。

 何の罪も犯していない婚約者に、見た目が気に入らないからと婚約破棄を突きつけ、妹の方を婚約者にしたいという第二王子。

 そもそもが契約である婚約を、契約者である親でなく当人が破棄だなんてね。

 貴族からしたら、あり得ない出来事だもの。

 これから第二王子との付き合いをどうするべきか伺うために、みんな早々に帰ると思うわ。

 私は早足で会場を出ると、ヴェルザンディ公爵家の馬車へと向かう。

 何か後ろでジュリアーノ様が喚いていた気もするけど・・・気のせいね。

 というか、婚約者でなくなるのなら、彼の相手をする必要はないわ。

「お嬢様、ずいぶんとお早いお戻りで」

「ええ。婚約破棄ですって。陛下たちが見えると面倒だから、公爵邸に戻ってちょうだい」

「それはそれは。おめでとうございます」

 御者の言葉に笑ってしまう。
本当は笑い事じゃないはずだけど、ね。



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