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番外編:最後に映ったのは〜アスラン視点〜

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 レイホリック聖国。

 他国民がほとんどいないこの国で、他国民だということは《罪人》だと判断される。

 他国で、性的問題を起こした人間が、多額の寄付と共に送られる場所。

 それがレイホリック聖国だ。

 そこに、僕とフランチェスカは送られた。

 僕は・・・
初恋の相手で大好きなアイシュと婚約したのに・・・

 僕はフランチェスカの誘いに乗ってしまった。

 王太子である兄上の婚約者である、フランチェスカ。

 彼女は、僕を好きだったと言って・・・
一度だけで良いからと、抱いて欲しいと。

 分かっている。
そんなことは間違っていることだと。

 だけど。
本来なら僕の婚約者になるはずだったフランチェスカに、慈悲をくれと言われて・・・

 僕は不貞行為を働いてしまった。

 兄上を・・・そして何よりアイシュを裏切って。

 そしてそれを、兄上や父上と母上、そしてアイシュに知られた。

 父上に殴られ、フランチェスカは母上に扇で殴られた。

 そして、レイホリック聖国に送られることが決定した。

 アイシュのことが好きなのだと訴える。

 だがアイシュの護衛騎士に阻まれ、しかもアイシュに気持ち悪いと拒絶された。

 どうしてっ!
アイシュは僕を愛してくれていたはずだろう?

 だけど、伸ばした手がアイシュに届くことはなく、僕とフランチェスカは国外追放となった。

 レイホリック聖国で、小さな町の教会預かりとなった。

 他国民の僕らには、家など与えられない。

 仕事は、教会での雑用だ。
その仕事が、食事と寝床の対価となる。

 町を歩くことも、何も制限はない。
だけど一度歩いただけで、僕もフランチェスカも心が折れた。

 周囲からの蔑む目。
挨拶しても、誰も返してくれない。

 僕と会話するのは、フランチェスカと教会の牧師のみ。

 その牧師も、仕事の指示でしか僕たちと口をきかない。

 この国は・・・
閉鎖された空間だ。

 異質な僕たちは孤立するしかない。

 本来なら、僕たち以外にも他国民はいるはずなのに、全く見かけない。

 他の町にいるのかもしれないが、それに答えてくれる人はいない。

 そんな中、僕とフランチェスカは風邪をひいて寝込んだ。

 牧師に訴えようにも、高熱のためにベッドから起き上がることも出来ない。

 そして仕事や食事に現れない僕たちを、気にしてくれる人はいない。

 ベッドから転げ落ち、這うようにして部屋の外へと向かう。

 扉になかなか辿り着けない。

 振り返ると、ベッドで呻いていたはずのフランチェスカが静かになっていた。

「・・・・・・!」

 喉が張り付いて、声が出ない。

 扉にたどり着く前に、目の前が暗くなるのを感じた。

(アイシュ・・・会いたい)

 意識が途切れる前に、アイシュの笑顔が見えた気がした。




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