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100.過去は捨てたので自由に生きます〜本編最終話〜

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 クライゼン王国の国王陛下の助言で、マデリーン王国の王太子殿下の婚約者は、年下から選ばれた。

 三歳年下ですって。
でも三年余裕があれば、王太子妃教育は終わると思うわ。

 クライゼン王国に亡命してから一年経ち、私はもうすぐリュカと結婚する。

 リュカは、王太子殿下の側近になり、一代限りの子爵位をいただいた。

 別に平民でもかまわなかったのに。
むしろ王太子殿下の側近だなんて忙しくて、結婚式も当初の予定より二ヶ月延期になったのよ。

 フローレンス侯爵家は、一応まだ侯爵家のまま。
 陞爵を陛下から打診されてるけど、お父様は断り続けている。

 お父様には、頑張って欲しいわ。
公爵令嬢って、意外と面倒なのよ。他の令嬢たちをまとめたりとかね。

 せっかく、マデリーン王国の王太子殿下の婚約者という責務から逃れて自由になったのだもの。

 のんびり自由に生きたいわ。
結婚したら、一ヶ月くらいお休みをくれないかしら?

「・・・無理だと思います」

「分かってるわ、リュカ。わざわざ言わないで」

 王太子の側近が一ヶ月も休めないことくらい理解ってるわ。

 でも、新婚なのよ!
あの頃みたいにのんびり旅とかしてみたいじゃない!

「陛下に直訴しようかしら」

「エヴァリーナ様の方がいいのでは?」

「うーん、王太子殿下にはエヴァリーナ様の方が効果的だけど、エヴァリーナ様自体が私がお休みするの嫌がるのよね」

 私には現在、王太子殿下婚約者のエヴァリーナ様の話し相手兼相談役という役目がある。

 エヴァリーナ様は基本的に私の味方だけど、私がいないとご機嫌が悪いらしい。

 まぁ、どうせリュカが王太子殿下と一緒にいるから、エヴァリーナ様と一緒にいるのはいいのだけど、私それなりに忙しいのよ?

 クライゼン王国は、女性は爵位を継げないけど私の代になるまでに法改正をして女性でも継げるようにするらしい。

 別にリュカに継いでもらえばいいのだけど、リュカは当主教育も受けてないし、性格的に私の方が向いてるのよね。

「せめて十日はもらわなきゃ。旅行にも行きたいし」

「旅行に行くのなら・・・十五日は必要ですね」

「え?そんな遠くでなくて良いのよ。あ、でも、エルハザード王国には温泉というのがあるのですって。行ってみたいわよね」

「エルハザード王国に行くのなら、二十日もらえるように交渉しておきます」

 エルハザード王国は確かに近場ではないけど、往復八日もあれば行けるのに二十日?

「二十日も必要?」

「必要です」

 何故、二十日も必要だったのか、この時の私はまだ知らない。

 観光できたのは三日だけだったと知った王太子殿下に、滅茶苦茶リュカが揶揄われるのはまだ先の話。


***本編完***






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