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86.僕は間違えたのか〜ウィリアム視点〜
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教育係に叱咤されては僕に泣きつくディアナを、面倒だと思い出したのはいつからだったか。
あんなに愛していたディアナの言動を、煩わしいと思うようになったのは、いつからだったか。
アイシュだったら、こんなことはしなかった。
アイシュだったら、こんなことは言わなかった。
アイシュだったら、こうだったのに。
いつから僕は、愛するディアナとアイシュを比べるようになっていたんだろう。
下位の、しかも淑女教育もマトモに身につけていないディアナと、生まれた時からの王太子の婚約者で公爵令嬢のアイシュ。
比較すること自体がおかしいのに。
僕はディアナ自身を見て、彼女を愛したはずなのに。
僕がそんな葛藤を抱くようになっていた時、アイシュがクライゼン王国の第二王子との婚約を解消したと聞いた。
兄である王太子の婚約者との不貞。
傷ついたアイシュは、きっとフローレンス公爵家に戻って来る。
だから、父上にお願いした。
「アイシュともう一度やり直したいのです。再度婚約させてください」
母上も後押ししてくれたこともあり、父上も再婚約に前向きになってくれた。
アイシュが戻ったら、謝罪をしよう。
そして今度こそ、ちゃんとアイシュを大切にすると誓おう。
もう、ディアナに愛情は感じていなかった。
愛らしさは変わらないのに、煩わしさがそれを上回る。
男爵令嬢に過ぎないディアナが、王太子妃になれるわけがなかった。
結局、ディアナは淑女教育すらマトモに終えられなかったのだから。
別れを告げた時、ディアナは何か喚いていたけど、淑女教育が始まった時点で王宮メイドの職は辞していたのでそのままレブン男爵家へと送り返した。
後で母上から聞いた話だと、親ほど歳の離れた商家の男の後妻として嫁いだ、らしい。
あんなに愛していたはずなのに、それを聞いても何とも思わない僕は薄情なのだろうか。
だけど、フローレンス公爵家に再婚約の申し入れをして、アイシュの帰りを待っても、なんの返答もなかった。
アイシュは旅に出ていて、帰り次第返答するとしか公爵からは言われなくて。
母上とも相談して、王命での婚約をお願いしようかと考えていた。
王命なら、たとえ公爵家でも拒むことは出来ないし、アイシュの帰国を促すこともできる。
その話をしようとしていた矢先の出来事だった。
「え?フローレンス公爵家が亡命した?」
父上に聞いた話だと、使用人も全て他家に紹介状を書き、領民も他の公爵領に移ったり、領地ごと隣接した公爵家に譲渡していた。
僕が再婚約を求めたことで、王家を支えていた公爵家一柱が失われてしまった。
あんなに愛していたディアナの言動を、煩わしいと思うようになったのは、いつからだったか。
アイシュだったら、こんなことはしなかった。
アイシュだったら、こんなことは言わなかった。
アイシュだったら、こうだったのに。
いつから僕は、愛するディアナとアイシュを比べるようになっていたんだろう。
下位の、しかも淑女教育もマトモに身につけていないディアナと、生まれた時からの王太子の婚約者で公爵令嬢のアイシュ。
比較すること自体がおかしいのに。
僕はディアナ自身を見て、彼女を愛したはずなのに。
僕がそんな葛藤を抱くようになっていた時、アイシュがクライゼン王国の第二王子との婚約を解消したと聞いた。
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傷ついたアイシュは、きっとフローレンス公爵家に戻って来る。
だから、父上にお願いした。
「アイシュともう一度やり直したいのです。再度婚約させてください」
母上も後押ししてくれたこともあり、父上も再婚約に前向きになってくれた。
アイシュが戻ったら、謝罪をしよう。
そして今度こそ、ちゃんとアイシュを大切にすると誓おう。
もう、ディアナに愛情は感じていなかった。
愛らしさは変わらないのに、煩わしさがそれを上回る。
男爵令嬢に過ぎないディアナが、王太子妃になれるわけがなかった。
結局、ディアナは淑女教育すらマトモに終えられなかったのだから。
別れを告げた時、ディアナは何か喚いていたけど、淑女教育が始まった時点で王宮メイドの職は辞していたのでそのままレブン男爵家へと送り返した。
後で母上から聞いた話だと、親ほど歳の離れた商家の男の後妻として嫁いだ、らしい。
あんなに愛していたはずなのに、それを聞いても何とも思わない僕は薄情なのだろうか。
だけど、フローレンス公爵家に再婚約の申し入れをして、アイシュの帰りを待っても、なんの返答もなかった。
アイシュは旅に出ていて、帰り次第返答するとしか公爵からは言われなくて。
母上とも相談して、王命での婚約をお願いしようかと考えていた。
王命なら、たとえ公爵家でも拒むことは出来ないし、アイシュの帰国を促すこともできる。
その話をしようとしていた矢先の出来事だった。
「え?フローレンス公爵家が亡命した?」
父上に聞いた話だと、使用人も全て他家に紹介状を書き、領民も他の公爵領に移ったり、領地ごと隣接した公爵家に譲渡していた。
僕が再婚約を求めたことで、王家を支えていた公爵家一柱が失われてしまった。
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