私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

文字の大きさ
上 下
82 / 105

82.お母様がやって来た!

しおりを挟む
 お父様にお手紙を書いた。

 リュカを好きになったこと。結婚したいと思っていること。

 私はフローレンス公爵家を継ぎたいと考えていて、公爵令嬢の婚約者に相応しいようにと、アンブレラ王国の王太子殿下の近衛騎士という肩書きをもらえること。

 クライゼン王国の王太子殿下も、力になると言ってくれていること。

 とにかく、リュカとの仲を認めて欲しくて、お手紙を出したら・・・

 アンブレラ王国までお母様がやって来た!

 え?ええ?

「お母様っ?」

「わたくしの可愛いアイシュ!会いたかったわ」

「わ、私もお会いしたかったです!」

 私を抱きしめてくれるお母様。

 アスラン殿下の不貞が明らかになった、あの再会の日以来、久々にお母様とお会いした。

 婚約を解消したことでクライゼン王国にいたくなくなって、マデリーン王国に帰ることも出来なかったから旅に出たけど、きっと両親には心配をかけていたと思う。

 でもまさか、アンブレラ王国まで来てくださるなんて!

「びっくりしました」

「旦那様が動くと王家に気付かれてしまうから、わたくしが来たの。アイシュの顔も見たかったし。旦那様も会いたがっているわ」

「はい。私もお父様やみんなに会いたいです」

 アデラは元気かしら?

 でも王家に気付かれるって、まだ何かあるの?

「アイシュ、リュカ。想いを交わしたのね?結婚するということでいいの?」

「はい、お母様」

「奥様。俺はお嬢様のことを誰よりも大切にしたいと思っています。どうか、結婚をお許しください」

 リュカがお母様に頭を下げてくれる。
隣で私も同じようにお願いします、と頭を下げた。

「アイシュ、リュカ、頭をあげて。もちろんよ。アイシュが望むなら、わたくしも旦那様も反対なんかしないわ」

「お母様・・・ありがとうございます」

 二度も婚約解消して、元婚約者ふたりには愛されなかったけど、家族にはとても愛されてるのだと心から嬉しいと思った。

「それで、お母様。婚約は・・・」

「アイシュもリュカもマデリーン国籍で、特にアイシュは公爵家の娘だから王家に婚約の報告をしなきゃいけないの。だけど・・・」

「私と殿下の婚約は解消されたのですよね?」

「ええ。それは何とかね。ただ、アスラン殿下との婚約が解消になったでしょう?そのせいで、王妃様と王太子殿下が、再婚約を求めて来ていてね。陛下は止めてくださっているのだけど、さすがにがあまりにも酷いものだから」

 は?再婚約?
絶対に嫌よ。

 私の中には、もうウィリアム殿下に対しての気持ちなんてかけらもないもの。

 元々、愛情ではなかったけど、それでも尊敬し合って支え合っていこうって思っていたけど、それすら今はないわ。

 というか、ウィリアム殿下は他に想い人がいるのに、何故そんな話になるの?
しおりを挟む
感想 212

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない

曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが── 「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」 戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。 そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……? ──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。 ★小説家になろうさまでも公開中

【完結】この運命を受け入れましょうか

なか
恋愛
「君のようは妃は必要ない。ここで廃妃を宣言する」  自らの夫であるルーク陛下の言葉。  それに対して、ヴィオラ・カトレアは余裕に満ちた微笑みで答える。   「承知しました。受け入れましょう」  ヴィオラにはもう、ルークへの愛など残ってすらいない。  彼女が王妃として支えてきた献身の中で、平民生まれのリアという女性に入れ込んだルーク。  みっともなく、情けない彼に対して恋情など抱く事すら不快だ。  だが聖女の素養を持つリアを、ルークは寵愛する。  そして貴族達も、莫大な益を生み出す聖女を妃に仕立てるため……ヴィオラへと無実の罪を被せた。  あっけなく信じるルークに呆れつつも、ヴィオラに不安はなかった。  これからの顛末も、打開策も全て知っているからだ。  前世の記憶を持ち、ここが物語の世界だと知るヴィオラは……悲運な運命を受け入れて彼らに意趣返す。  ふりかかる不幸を全て覆して、幸せな人生を歩むため。     ◇◇◇◇◇  設定は甘め。  不安のない、さっくり読める物語を目指してます。  良ければ読んでくだされば、嬉しいです。

報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜

矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』 彼はいつだって誠実な婚約者だった。 嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。 『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』 『……分かりました、ロイド様』 私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。 結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。 なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。 ※この作品の設定は架空のものです。 ※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

私はあなたの正妻にはなりません。どうぞ愛する人とお幸せに。

火野村志紀
恋愛
王家の血を引くラクール公爵家。両家の取り決めにより、男爵令嬢のアリシアは、ラクール公爵子息のダミアンと婚約した。 しかし、この国では一夫多妻制が認められている。ある伯爵令嬢に一目惚れしたダミアンは、彼女とも結婚すると言い出した。公爵の忠告に聞く耳を持たず、ダミアンは伯爵令嬢を正妻として迎える。そしてアリシアは、側室という扱いを受けることになった。 数年後、公爵が病で亡くなり、生前書き残していた遺言書が開封された。そこに書かれていたのは、ダミアンにとって信じられない内容だった。

処理中です...