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82.お母様がやって来た!
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お父様にお手紙を書いた。
リュカを好きになったこと。結婚したいと思っていること。
私はフローレンス公爵家を継ぎたいと考えていて、公爵令嬢の婚約者に相応しいようにと、アンブレラ王国の王太子殿下の近衛騎士という肩書きをもらえること。
クライゼン王国の王太子殿下も、力になると言ってくれていること。
とにかく、リュカとの仲を認めて欲しくて、お手紙を出したら・・・
アンブレラ王国までお母様がやって来た!
え?ええ?
「お母様っ?」
「わたくしの可愛いアイシュ!会いたかったわ」
「わ、私もお会いしたかったです!」
私を抱きしめてくれるお母様。
アスラン殿下の不貞が明らかになった、あの再会の日以来、久々にお母様とお会いした。
婚約を解消したことでクライゼン王国にいたくなくなって、マデリーン王国に帰ることも出来なかったから旅に出たけど、きっと両親には心配をかけていたと思う。
でもまさか、アンブレラ王国まで来てくださるなんて!
「びっくりしました」
「旦那様が動くと王家に気付かれてしまうから、わたくしが来たの。アイシュの顔も見たかったし。旦那様も会いたがっているわ」
「はい。私もお父様やみんなに会いたいです」
アデラは元気かしら?
でも王家に気付かれるって、まだ何かあるの?
「アイシュ、リュカ。想いを交わしたのね?結婚するということでいいの?」
「はい、お母様」
「奥様。俺はお嬢様のことを誰よりも大切にしたいと思っています。どうか、結婚をお許しください」
リュカがお母様に頭を下げてくれる。
隣で私も同じようにお願いします、と頭を下げた。
「アイシュ、リュカ、頭をあげて。もちろんよ。アイシュが望むなら、わたくしも旦那様も反対なんかしないわ」
「お母様・・・ありがとうございます」
二度も婚約解消して、元婚約者ふたりには愛されなかったけど、家族にはとても愛されてるのだと心から嬉しいと思った。
「それで、お母様。婚約は・・・」
「アイシュもリュカもマデリーン国籍で、特にアイシュは公爵家の娘だから王家に婚約の報告をしなきゃいけないの。だけど・・・」
「私と殿下の婚約は解消されたのですよね?」
「ええ。それは何とかね。ただ、アスラン殿下との婚約が解消になったでしょう?そのせいで、王妃様と王太子殿下が、再婚約を求めて来ていてね。陛下は止めてくださっているのだけど、さすがに代わりの婚約者があまりにも酷いものだから」
は?再婚約?
絶対に嫌よ。
私の中には、もうウィリアム殿下に対しての気持ちなんてかけらもないもの。
元々、愛情ではなかったけど、それでも尊敬し合って支え合っていこうって思っていたけど、それすら今はないわ。
というか、ウィリアム殿下は他に想い人がいるのに、何故そんな話になるの?
リュカを好きになったこと。結婚したいと思っていること。
私はフローレンス公爵家を継ぎたいと考えていて、公爵令嬢の婚約者に相応しいようにと、アンブレラ王国の王太子殿下の近衛騎士という肩書きをもらえること。
クライゼン王国の王太子殿下も、力になると言ってくれていること。
とにかく、リュカとの仲を認めて欲しくて、お手紙を出したら・・・
アンブレラ王国までお母様がやって来た!
え?ええ?
「お母様っ?」
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「はい。私もお父様やみんなに会いたいです」
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リュカがお母様に頭を下げてくれる。
隣で私も同じようにお願いします、と頭を下げた。
「アイシュ、リュカ、頭をあげて。もちろんよ。アイシュが望むなら、わたくしも旦那様も反対なんかしないわ」
「お母様・・・ありがとうございます」
二度も婚約解消して、元婚約者ふたりには愛されなかったけど、家族にはとても愛されてるのだと心から嬉しいと思った。
「それで、お母様。婚約は・・・」
「アイシュもリュカもマデリーン国籍で、特にアイシュは公爵家の娘だから王家に婚約の報告をしなきゃいけないの。だけど・・・」
「私と殿下の婚約は解消されたのですよね?」
「ええ。それは何とかね。ただ、アスラン殿下との婚約が解消になったでしょう?そのせいで、王妃様と王太子殿下が、再婚約を求めて来ていてね。陛下は止めてくださっているのだけど、さすがに代わりの婚約者があまりにも酷いものだから」
は?再婚約?
絶対に嫌よ。
私の中には、もうウィリアム殿下に対しての気持ちなんてかけらもないもの。
元々、愛情ではなかったけど、それでも尊敬し合って支え合っていこうって思っていたけど、それすら今はないわ。
というか、ウィリアム殿下は他に想い人がいるのに、何故そんな話になるの?
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