私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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73.大量の贈り物

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 クライゼン王国王太子殿下と、アンブレラ王国第五王女殿下の婚約が決まった。

 ふぅ。私ってば、いい仕事をしたわ!

 すっごく満足した私のところへ、クライゼン王国とアンブレラ王国から大量の贈り物が届いた。

「なにこれ・・・」

「すごいですね。これなんか、例の録画出来る魔道具ですよ。他にもエルハザード製のマジックバッグまでありますよ。これ、国家予算並みの金額なんじゃないですか」

 リュカが目録を見ながら、唖然としている。

 旅をしてるのに、大量の服を送られてもと思ったけど、まさかのマジックバッグ?

 マジックバッグというのは、エルハザード王国で開発された、荷物を大量に詰め込めるバッグで、原理はよくわからないのだけど、入れた物を別空間に保管するのだとか。

 生き物は入れちゃ駄目らしいわ。
時間が止まっている空間なのですって。

 よくわからないけど、それでもこれが相当お値段のする物だということは分かるわ。

 あの映像を撮る機械も、すごく高いって聞いたわ。

 ほら、旅をしているから買おうかなと思ったの。

 でも、あまりの値段に諦めたのよ。

 これは・・・
相当、王太子殿下の婚約者が決まったことが嬉しかったみたいね。

 アンブレラ王国からは、ぜひ我が国にも来てくださいというお手紙と、多くの宝石が送られて来た。

 あの国は鉱山が有名なのよね。
質のいい宝石がたくさん取れるし、それを加工する職人の腕もいいので有名なの。

「ねぇ、リュカ。この腕輪、ペアになってるわ。一緒に付けない?」

 髪飾りや、ネックレス、もちろん加工していない宝石もあるけど、その中に銀細工の腕輪があった。

 蔦模様のような繊細な細工に、黒色の宝石が散りばめられた腕輪。

 私の瞳の色は銀色で、リュカの瞳の色は黒。

 私たちのために作られたものだとすぐに分かったわ。

「・・・お嬢。いいんですか?」

「リュカが嫌じゃないなら、付けて欲しいわ」

「嫌なわけがありません」

 そう言うと、リュカは細身な方の腕輪を手に取ると、私の左手を取った。

「俺が付けても?」

「ええ」

 私の左腕にリュカの手によって腕輪がつけられ、私もリュカの左手に腕輪を付けた。

 お揃いの腕輪。リュカの瞳の色の黒のリボンの髪飾り。

 街売りのお菓子を分け合って食べ、手を繋いで歩く。

 リュカから、好きだとか愛してるとか言われたことはない。

 私も、リュカに好きだとか愛してるとか言ったことはない。

 だけど。

 リュカがそばにいてくれるから、私は笑っていられるの。

 リュカは私のことを絶対に裏切らないと、信じられるから。
 
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