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69.お見合い斡旋?

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「とても良い方がいらっしゃいますわ!」

 私がそう言うと、エヴァリーナ王女殿下は困ったように微笑まれた。

 あら?もしかして、二度も婚約解消するような女の紹介は不安なのかしら?

「別にお断りになってもかまいませんのよ?お相手は王女殿下よりも七歳・・・八歳かしら、年上ですし。その方も先日、長年の婚約者と婚約を解消されたばかりなので」

「それはまた・・・」

「ご本人に問題はなかったのですわ。婚約者の方が少々・・・そうですわね、サウスフォード王国の王太子殿下のように恋愛に自由な方だったのです」

 決して、私が婚約解消を呼び寄せてる不幸体質なわけではないのよ!

「フローレンス様のご存じの方、なのですか?」

「・・・クライゼン王国の王太子殿下、私の元婚約者のお兄様ですの。いずれお耳に入るでしょうから話しますけど、元婚約者はお兄様である王太子殿下の婚約者と、その情を交わしまして・・・」

「まぁ!」

「二人は廃籍の後、レイホリック聖国に送られました。クライゼン王国には現在、王太子妃になるに相応しい家格と資質のあるご令嬢がいらっしゃらなくて」

 だから、アスラン殿下の婚約者になる予定だったフランチェスカ様が婚約者になった。

「フローレンス様は、婚約者はいらっしゃるのですか?」

 エヴァリーナ王女殿下の問いに、首を横に振った。

 実は、私を王太子殿下の婚約者に、と打診はあったのよね。

 殿婚約者の交代があったとしたらどうかって。

 第二王子と公爵令嬢を国外追放することに不満の高位貴族の方々のそんな意見を、国王陛下がバッサリと断ってくださった。

 あの二人の不貞を、美談にするつもりはない!って。

 ただ、それとは別に、国王陛下と王妃様から私さえ良ければ考えて欲しいとは言われた。

 申し訳ないけど、お断りした。

 王太子殿下は、素晴らしい方だと思う。
ご両親の国王陛下も王妃殿下も、とてもお優しく素敵な方々だ。

 この方々を・・・お父様お母様お兄様とお呼びしたかった。

 だけど、私がお二人や王太子殿下を見るとアスラン殿下やフランチェスカ様を思い出してしまうように、お二人も私を見ればアスラン殿下のことを思い出すだろう。

 それに私は、ウィリアム殿下との婚約を解消したことで、フローレンス公爵家を継ぐ者として婿を迎える考えに変わった。

 ウィリアム殿下との婚約解消で迷惑をかけた両親のそばで、生きていきたいの。

「私は婿を迎えて、フローレンス公爵家を継ぎたいのですわ」

 
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