66 / 105
66.救いの女神〜王太子付き近衛騎士視点〜
しおりを挟む
「ハァ」
何度目かわからないため息がもれる。
俺の名前はフレド・メインクーン。
サウスフォード王国の王太子殿下付きの近衛騎士だ。
本来なら周囲の憧れの職であるにも関わらず、最近の俺はため息が途切れることがない。
むしろ、王太子殿下付きと決まった時、周囲から同情されたくらいだ。
我が国は女王制ではないが、間違いなく最高権力者は王妃殿下だ。
国王陛下は妻である王妃殿下に頭が上がらない。
噂だが、婚約時代の浮気が原因らしい。
そして、その王妃殿下の最愛なのが、十七歳になられた嫡子であるヘリオス殿下である。
王妃殿下に甘やかされ、溺愛されているヘリオス殿下は・・・
臣下の言葉ではないが、本当に残念な方となってしまった。
勉強嫌いで、女性好き。
まぁ、剣はほどほどの腕前だが、それでも最低に毛が生えた程度。
そもそも鍛錬とか努力とかいう言葉は、ヘリオス殿下の辞書にはない。
そんなヘリオス殿下と、アンブレラ王国第五王女殿下の婚約が決まったのには理由がある。
アンブレラ王国で災害があり、その資金援助と交換条件で、優秀だと噂の第五王女殿下に婚約者になってもらったのだ。
ちなみに、他国にも打診したがことごとく断られた・・・らしい。
その国王陛下の英断を、ヘリオス殿下は全くちっともご理解されていなかった。
正式な婚約者ができたというのに、女遊びを繰り返す。
アンブレラ王国は、一夫一妻制でしかも夫にも妻にも貞淑さを求める国だ。
だから、婚約の時点でその旨を記した契約書を交わしているらしい。
こちらから打診したにも関わらず、浮気をしているとバレたら、我が国有責で婚約破棄となるだろう。
現在のヘリオス殿下のお気に入りは、平民の少女だ。
見た目と性格が庇護欲をかき立てるタイプが、ヘリオス殿下のお好みだ。
アンブレラ王国第五王女殿下は、美女タイプで優秀なだけあって性格も勝気だ。
ヘリオス殿下の好みから外れているが、そもそも殿下の好みの女性では、殿下を御しながら支えることはできないだろう。
好きでもない、いやむしろ嫌いだと殿下は言うが、それはアチラの王女殿下も同じことをおっしゃるだろう。
資金援助のための政略結婚だ。
十三歳の王女殿下が理解ることが、何故我が国の王太子殿下に理解できないのか。
何度、女遊びをやめてくれと訴えてもヘリオス殿下は聞き届けてくださらない。
来週に王女殿下が訪問されるというのに、殿下は行動を改めてはくださらない。
このままでは、我が国は終わりだ。
だが、どうすれば良いのか。
苦悩する俺だったが、ヘリオス殿下の街歩きの護衛の最中、救いの女神を見つけた。
何度目かわからないため息がもれる。
俺の名前はフレド・メインクーン。
サウスフォード王国の王太子殿下付きの近衛騎士だ。
本来なら周囲の憧れの職であるにも関わらず、最近の俺はため息が途切れることがない。
むしろ、王太子殿下付きと決まった時、周囲から同情されたくらいだ。
我が国は女王制ではないが、間違いなく最高権力者は王妃殿下だ。
国王陛下は妻である王妃殿下に頭が上がらない。
噂だが、婚約時代の浮気が原因らしい。
そして、その王妃殿下の最愛なのが、十七歳になられた嫡子であるヘリオス殿下である。
王妃殿下に甘やかされ、溺愛されているヘリオス殿下は・・・
臣下の言葉ではないが、本当に残念な方となってしまった。
勉強嫌いで、女性好き。
まぁ、剣はほどほどの腕前だが、それでも最低に毛が生えた程度。
そもそも鍛錬とか努力とかいう言葉は、ヘリオス殿下の辞書にはない。
そんなヘリオス殿下と、アンブレラ王国第五王女殿下の婚約が決まったのには理由がある。
アンブレラ王国で災害があり、その資金援助と交換条件で、優秀だと噂の第五王女殿下に婚約者になってもらったのだ。
ちなみに、他国にも打診したがことごとく断られた・・・らしい。
その国王陛下の英断を、ヘリオス殿下は全くちっともご理解されていなかった。
正式な婚約者ができたというのに、女遊びを繰り返す。
アンブレラ王国は、一夫一妻制でしかも夫にも妻にも貞淑さを求める国だ。
だから、婚約の時点でその旨を記した契約書を交わしているらしい。
こちらから打診したにも関わらず、浮気をしているとバレたら、我が国有責で婚約破棄となるだろう。
現在のヘリオス殿下のお気に入りは、平民の少女だ。
見た目と性格が庇護欲をかき立てるタイプが、ヘリオス殿下のお好みだ。
アンブレラ王国第五王女殿下は、美女タイプで優秀なだけあって性格も勝気だ。
ヘリオス殿下の好みから外れているが、そもそも殿下の好みの女性では、殿下を御しながら支えることはできないだろう。
好きでもない、いやむしろ嫌いだと殿下は言うが、それはアチラの王女殿下も同じことをおっしゃるだろう。
資金援助のための政略結婚だ。
十三歳の王女殿下が理解ることが、何故我が国の王太子殿下に理解できないのか。
何度、女遊びをやめてくれと訴えてもヘリオス殿下は聞き届けてくださらない。
来週に王女殿下が訪問されるというのに、殿下は行動を改めてはくださらない。
このままでは、我が国は終わりだ。
だが、どうすれば良いのか。
苦悩する俺だったが、ヘリオス殿下の街歩きの護衛の最中、救いの女神を見つけた。
262
お気に入りに追加
2,690
あなたにおすすめの小説
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
毛蟹葵葉
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人
キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。
だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。
だって婚約者は私なのだから。
いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣)
小説家になろうさんにも時差投稿します。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる