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47.鉄拳制裁?
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「アスラン、アイボリー公爵令嬢、こちらへ」
陛下の呼びかけに、アスラン殿下は私に伸ばしかけた手を引っ込めて、仕方なく元の場所である陛下たちの元へと向かった。
その後ろをフランチェスカ様が付いて行く。
二人が不貞を始めたのは、私と婚約してからだと聞いた。
それまでは仲の良い・・・友人だったのかしらね。
フランチェスカ様は、王太子殿下の何が不満なのかしら?
お優しくて優秀な方だと聞くわ。
もちろん王太子殿下で、すでに成人されているから、公務はお忙しいだろうけど。
そんな方と婚約していながら、何故不貞なんて・・・
そこまで考えて、首を横に振った。
何故、どうして、と考えても、それは当人同士にしか分からない。
不貞の理由に、真っ当なものがあるかどうかは別にして、何かしらの理由はあるだろう。
だが、それは普通の人間には理解できないものだ。
そういえば、国王陛下はどうやって二人の不貞を証明するつもりなのかしら?
フランチェスカ様の侍女の証言も、私が二人を見たことも、言い逃れが出来ることだ。
確定なのは王家の影の方の証言だけど、その影の方は国王陛下以外にお顔を見せることはないと聞く。
となると、証言しても黒寄りのグレーにしかならないのでは?
いえ。
別に二人がどうなろうと、正直どうでもいいわ。
私との婚約さえ解消していただけるなら。
いくらかの不安を抱えたまま、国王陛下のところへ二人がたどり着くのを見届けた。
二人がたどり着くと、国王陛下は小さく息を吐いて、いきなりアスラン殿下の頰を殴りつけた。
「ぐぁっ!」
「「「きゃあああああ!」」」
突然のことに、会場に悲鳴が響き渡る。
倒れ込んだアスラン殿下に駆け寄ろうとしたフランチェスカ様の手を掴むと、今度は王妃様がその手にしていた扇でフランチェスカ様の頰を打つ。
アスラン殿下に重なるように、フランチェスカ様も倒れ込む。
平然とそれを見つめる国王陛下と王妃様、そして王太子殿下。
周囲の貴族は驚きを隠せず、陛下たちが乱心したのかと慄いている。
ちなみに・・・
フランチェスカ様のご両親であるアイボリー公爵夫妻は真っ青な顔をしていて、周囲の王宮騎士たちは微動だにしていない。
ある意味、カオスだわ。
まさか、いきなり殴りつけるとは思わなかった。
そして王妃様までもが、手をあげるなんて。
アイボリー公爵夫妻は、フランチェスカ様たちに手を貸さない約束だと聞いた。
公爵家を守るか、娘を取るか。
家を取るわよね、当然。
罪を犯してないなら、親の心情としては娘を助けたいでしょうけど、今回は王家を馬鹿にしたようなものだもの。
陛下の呼びかけに、アスラン殿下は私に伸ばしかけた手を引っ込めて、仕方なく元の場所である陛下たちの元へと向かった。
その後ろをフランチェスカ様が付いて行く。
二人が不貞を始めたのは、私と婚約してからだと聞いた。
それまでは仲の良い・・・友人だったのかしらね。
フランチェスカ様は、王太子殿下の何が不満なのかしら?
お優しくて優秀な方だと聞くわ。
もちろん王太子殿下で、すでに成人されているから、公務はお忙しいだろうけど。
そんな方と婚約していながら、何故不貞なんて・・・
そこまで考えて、首を横に振った。
何故、どうして、と考えても、それは当人同士にしか分からない。
不貞の理由に、真っ当なものがあるかどうかは別にして、何かしらの理由はあるだろう。
だが、それは普通の人間には理解できないものだ。
そういえば、国王陛下はどうやって二人の不貞を証明するつもりなのかしら?
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確定なのは王家の影の方の証言だけど、その影の方は国王陛下以外にお顔を見せることはないと聞く。
となると、証言しても黒寄りのグレーにしかならないのでは?
いえ。
別に二人がどうなろうと、正直どうでもいいわ。
私との婚約さえ解消していただけるなら。
いくらかの不安を抱えたまま、国王陛下のところへ二人がたどり着くのを見届けた。
二人がたどり着くと、国王陛下は小さく息を吐いて、いきなりアスラン殿下の頰を殴りつけた。
「ぐぁっ!」
「「「きゃあああああ!」」」
突然のことに、会場に悲鳴が響き渡る。
倒れ込んだアスラン殿下に駆け寄ろうとしたフランチェスカ様の手を掴むと、今度は王妃様がその手にしていた扇でフランチェスカ様の頰を打つ。
アスラン殿下に重なるように、フランチェスカ様も倒れ込む。
平然とそれを見つめる国王陛下と王妃様、そして王太子殿下。
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ちなみに・・・
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ある意味、カオスだわ。
まさか、いきなり殴りつけるとは思わなかった。
そして王妃様までもが、手をあげるなんて。
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公爵家を守るか、娘を取るか。
家を取るわよね、当然。
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