43 / 105
43.百年の恋も冷める
しおりを挟む
王太子殿下とお話した日から、アスラン殿下との交流を避けている。
感冒にかかったので、うつしてはいけないからと、フランチェスカ様にもお見舞いはお断りした。
ずっと王宮でお世話になっているから、そんな手がまかり通るのかと不安だったけど、王太子殿下と国王陛下が王宮侍女たちに手を回してくれていた。
おかげでお見舞いのお花は届くけれど、顔を合わせることはなく時間が過ぎていく。
私を送ってきてくれた護衛と侍女はマデリーン王国に帰国してもらったので、王太子殿下にお願いして侍女を貸していただいた。
陛下と王太子殿下が選ばれた侍女はとても優秀で、何度かアスラン殿下がやって来たみたいだけど、完全に拒絶してくれた。
パーティーに向けて、私には青色に、私の髪色と同じ銀の刺繍を施したドレスが準備された。
青色にしたのは、アスラン殿下のお色でないものにした、ということらしい。
蜂蜜色にエメラルドのレースがあしらわれた、アスラン殿下のお色のドレスも届いた。
アスラン殿下が贈ってくれたらしい。
申し訳ないけど、二度とそのお色のドレスを着ることはない。
フランチェスカ様に贈りたいくらいだわ。
と言ったら、侍女たちがサイズの手直しをしてフランチェスカ様のところへ持って行ったらしい。
蜂蜜色は王太子殿下のお色でもあるけど、瞳はアスラン殿下よりも青よりなのよね。気付かれないのかしら?
エスコートに関しては、国王陛下が御触れを出してくれたので、アスラン殿下からは「エスコートは大丈夫か?」と問い合わせがあった。
私の家族はマデリーン王国にいるから。
なので、許可を取ったので護衛騎士のエスコートで入場すると伝えた。
もちろん、アスラン殿下もリュカのことは知っているので、納得したようだ。
何故今回、家族での入場なのか、不審に思っているみたいだけど、国王陛下が「家族の大切さを認識させるためだ」と言われたらしい。
確かに婚約者が出来てしまうと、家族のエスコートでパーティーに出ることはほとんどない。
本来の意図ではないけれど、家族との交流をとれるのって大切だと思うわ。
今回・・・
こんなことになって、改めて思う。
ウィリアム殿下に恋心はなかったけど、婚約者としてお互いに大切にし合えて尊敬できる存在でありたいと考えていた。
それを、ウィリアム殿下が男爵令嬢に恋をしたという形で裏切られた。
いえ、好きになるのは仕方ないのよ。
ただ、私との婚約を解消してからにして欲しかったわ。
まぁ、王妃様のこともあるから、ウィリアム殿下には多少の同情はするし、恨んではいないわ。
でも、アスラン殿下の件は駄目。
私が初恋を忘れていた云々はともかく、あちらから求婚しておいて、こともあろうにご自身のお兄様の婚約者と不貞!
百年の恋も冷めるって、こういうことを言うんだわ。
感冒にかかったので、うつしてはいけないからと、フランチェスカ様にもお見舞いはお断りした。
ずっと王宮でお世話になっているから、そんな手がまかり通るのかと不安だったけど、王太子殿下と国王陛下が王宮侍女たちに手を回してくれていた。
おかげでお見舞いのお花は届くけれど、顔を合わせることはなく時間が過ぎていく。
私を送ってきてくれた護衛と侍女はマデリーン王国に帰国してもらったので、王太子殿下にお願いして侍女を貸していただいた。
陛下と王太子殿下が選ばれた侍女はとても優秀で、何度かアスラン殿下がやって来たみたいだけど、完全に拒絶してくれた。
パーティーに向けて、私には青色に、私の髪色と同じ銀の刺繍を施したドレスが準備された。
青色にしたのは、アスラン殿下のお色でないものにした、ということらしい。
蜂蜜色にエメラルドのレースがあしらわれた、アスラン殿下のお色のドレスも届いた。
アスラン殿下が贈ってくれたらしい。
申し訳ないけど、二度とそのお色のドレスを着ることはない。
フランチェスカ様に贈りたいくらいだわ。
と言ったら、侍女たちがサイズの手直しをしてフランチェスカ様のところへ持って行ったらしい。
蜂蜜色は王太子殿下のお色でもあるけど、瞳はアスラン殿下よりも青よりなのよね。気付かれないのかしら?
エスコートに関しては、国王陛下が御触れを出してくれたので、アスラン殿下からは「エスコートは大丈夫か?」と問い合わせがあった。
私の家族はマデリーン王国にいるから。
なので、許可を取ったので護衛騎士のエスコートで入場すると伝えた。
もちろん、アスラン殿下もリュカのことは知っているので、納得したようだ。
何故今回、家族での入場なのか、不審に思っているみたいだけど、国王陛下が「家族の大切さを認識させるためだ」と言われたらしい。
確かに婚約者が出来てしまうと、家族のエスコートでパーティーに出ることはほとんどない。
本来の意図ではないけれど、家族との交流をとれるのって大切だと思うわ。
今回・・・
こんなことになって、改めて思う。
ウィリアム殿下に恋心はなかったけど、婚約者としてお互いに大切にし合えて尊敬できる存在でありたいと考えていた。
それを、ウィリアム殿下が男爵令嬢に恋をしたという形で裏切られた。
いえ、好きになるのは仕方ないのよ。
ただ、私との婚約を解消してからにして欲しかったわ。
まぁ、王妃様のこともあるから、ウィリアム殿下には多少の同情はするし、恨んではいないわ。
でも、アスラン殿下の件は駄目。
私が初恋を忘れていた云々はともかく、あちらから求婚しておいて、こともあろうにご自身のお兄様の婚約者と不貞!
百年の恋も冷めるって、こういうことを言うんだわ。
358
お気に入りに追加
2,690
あなたにおすすめの小説
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
毛蟹葵葉
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人
キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。
だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。
だって婚約者は私なのだから。
いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣)
小説家になろうさんにも時差投稿します。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる