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40.どこからどこまでが

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 お土産の仕分けが終わってから、アスラン様の元へ出向くことにした。

 明日から、王宮の侍女をお借り出来るように頼むためだ。

 アスラン様でなく王妃様にお願いした方がいいのかしら?

 王宮の侍女を纏めるのは、王妃様だし・・・

 アスラン様にお願いして、王妃様に取り次いでもらおうかしら。

 王宮内なので、護衛は付けていない。
 もうすっかり慣れた王宮内を、一人で進む。

「アスラン殿下は現在、執務のために第二王子用の執務室にいらっしゃるそうです」

「そうなのね、ありがとう」

 出向く旨は伝えてあったので、どこにいるのかリュカがちゃんと聞いて来てくれていた。

 アスラン様の執務室に着く手前、扉が開いてアスラン様が出てくるのが見えた。

「あ、アスランさ・・・」

 声をかけようとして、アスラン様が左右を伺っているのに気付いて思わず柱の陰に隠れた。

 アスラン様は誰もいないのを確認すると、部屋の中に声をかけた。

「今なら誰もいない」

 執務室から姿を現したのは・・・

「じゃあ、私は帰るわ。明後日に来るわね」

「ああ。送らなくて大丈夫か?」

「馬鹿ね。わたくしがどれだけ王宮ここに通ってると思ってるのよ。それより、セニングでは会ってないということで押し通すのね?わたくしも行っていたと話すわよ。行っていたけどアスランとは会っていない、それでいいわね?」

「ああ、それでいこう」

 小声だけど、王宮の廊下には他に誰もいないから、声がよく聞こえた。

 くらりとめまいがする。

 アレはやっぱり、公務とかではなかったのね。

 ねぇ、アスラン様。
私はアスラン様から婚約の打診を受けたと思ったのだけど、違ったの?

 ねぇ、フランチェスカ様。
貴女は王太子殿下の婚約者じゃないの?その、貴女の頬に口付けしてる相手は、婚約者の弟なのよ?

 いつからなの?
最初から、全て嘘なの?

 スゥっと、血の気が引いていくのが分かる。

 駄目・・・
ここで倒れたら、私が聞いていたことがバレてしまう。

 バレることが怖いのではないわ。
バレて嘘を吐かれるのが怖い。

 このままここにいては、見つかってしまう。
 そう思うのに、足が動かない。

 その時、後ろから抱き止められ、思わず出そうになった声を手で塞がれた。

「!」

 そのまま、部屋の中に引き摺り込まれる。

 どうやら、柱の隣にあった部屋らしい。

「手を離すけど、声を出さないように。静かにするんだ。こっちに来る」

 その声に驚いて、振り返る。

 そこには明後日戻ってくるはずの、王太子殿下の姿があった。
 
 

 
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