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35.久しぶりに家族と過ごせます

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「アイシュ!元気そうで良かったわ」

 お母様が抱きしめてくださった。
甘いお母様の香りと、その柔らかいお胸に顔を埋める。

 ふふっ。
生まれた時から王太子殿下の婚約者だったから・・・こんなふうに甘えることもいけないことの気がして、うまく甘えられなかったけど、すごく気持ちが落ち着くのね。

「お母様もお元気そうで、良かったですわ。お父様、お忙しいのに申し訳ありません」

「アイシュが詫びる必要など、かけらもない。それよりも、辛い目にあってはいないか?」

「皆様に良くしていただいておりますわ。リュカもアデラもいるので大丈夫です」

「そうか。まだ王家の方が落ち着かないのでな、いつでも戻って来いとは言いづらいのだが、何かあればリュカに言いなさい。我慢しないようにな」

 ふふっ。
お父様もお母様も、私にはお優しく甘いんですから。

 そのリュカの方はというと・・・
お父様の護衛であるお父様とお話中ね。アデラは、母親に頭を撫でられて照れている。

 良かった。アデラを一人で国に帰すわけにもいかなかったし、連れて来た以上は私に責任があるもの。

 もし、アデラが一緒に帰りたいと言ったら、お父様にお願いしてみましょう。

 リュカがいるし、アスラン様にお願いして王家の侍女をお借りしても良いものね。

「今日、アスラン殿下は・・・」

「お兄様の王太子殿下が、今日から公務で出られているのです。それで、アスラン様もやらなければならない公務があるので。お父様たちによろしく伝えて欲しいとおっしゃっていましたわ」

「そうか。お元気で、アイシュと仲良くされているなら問題はない」

「はい。お父様、それでマデリーン王国の方はどうなのですか?あまり戻れないようだと、アデラがかわいそうなので、親元へ戻した方が良いのかと思っているのですが」

 侍女見習いをするにしても、親と長く離れているのは良くないと思うのよね。

 国によっては、王太子妃教育のために王宮預かりになる国もあるみたいだけど、それは特殊なケースだと思うわ。


「ふむ。ウィリアム殿下が選んだメイドの男爵令嬢だが、淑女教育すらまともに進まん。こう言ってはなんだが、レブン男爵家は娘に全くの教育を施していなかったのかというレベルだ。最近では、王妃殿下の癇癪が激しくてな。とにかくレブン男爵令嬢では側妃にすらなれないと。それに、最近ではウィリアム殿下と男爵令嬢の仲もうまくいっていないようでな。そのこともあって、アイシュが戻ると危険と判断した。少なくとも、ウィリアム殿下に新しい婚約者が出来るか、アイシュが婚姻するかしないと難しいな」

 え?私の結婚は早くても再来年よ?
さすがにそんな長い間、王宮でお世話にはなれないわ。
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