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31.穏やかな日々です
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クライゼン王国での日々は、とても穏やかに過ぎていく。
アスラン様も、アスラン様のご両親である国王陛下や王妃殿下も、王太子殿下もその婚約者であるフランチェスカ様も、みんなとても私を気遣って下さる。
正直、マデリーン王国に戻りたくないと思うくらい、楽しい日々。
もちろんいつまでも、クライゼン王国にお世話になるわけにはいかないし、お父様やお母様と離れているのも寂しいのだけど。
アスラン様も国王陛下たちも、いっそこのまま婚姻までクライゼン王国にいれば良いとおっしゃって下さるけど・・・
それはさすがに出来ないわ。
貴族の婚姻は、基本的に準備に一年はかかる。
しかも今回は、相手が第二王子殿下で、おまけに他国。
ウェディングドレスのデザインの主流も違うし、結婚式の形式も国によって違う。
それに、王太子殿下がいらっしゃるので、まずは王太子殿下とフランチェスカ様の婚姻を待ち、その一年後くらいに婚姻するべき。
一年以上も、他国の、しかも王宮にお世話にはなれないわ。
そう言ったら「僕は三年もフローレンス公爵家にお世話になっていたけどね」とアスラン様に言われた。
それとこれとは事情が違うわ。
フランチェスカ様の婚姻は来年を予定されていて、今その準備が忙しいときいた。
つまりは私がアスラン様と婚姻できるのは、早くても再来年ということ。
アスラン様は、王太子殿下にお子が二人生まれた時点で、王位継承権を返上して臣下になられると決まっている。
お子を授かるまでは、継承権を返上できないから、王子妃教育も受けなければならないし、他にも学ぶことはたくさんあるけど、リュカやアデラのこともあるから、一度マデリーン王国には戻ろうと思っている。
「マデリーン王国に戻るなら、僕も一緒に行く。アイシュを一人で戻したらあの王家が何をしてくるかわからない」
アスラン様はそうおっしゃるけど、我が家はこれでも公爵家だし、リュカも付いてくれているから大丈夫なのに。
それに王家からの呼び出しも、お父様が断ってくれると思うし、何より国王陛下がアスラン様との婚約を勧めてくださったんだもの。
心配ないと思うわ。
それに・・・
「アスラン様は王太子殿下の婚姻に向けて、色々と公務がお有りでしょう?」
「それはそうだけど。アイシュと離れたくない」
「別にすぐに戻るわけではありませんわ。お父様たちにウィリアム殿下たちのことをお聞きして、大丈夫だと確認してからにします。それに、フランチェスカ様の結婚式には参列するのですから、離れてもほんの少しだけですわ」
アスラン様も、アスラン様のご両親である国王陛下や王妃殿下も、王太子殿下もその婚約者であるフランチェスカ様も、みんなとても私を気遣って下さる。
正直、マデリーン王国に戻りたくないと思うくらい、楽しい日々。
もちろんいつまでも、クライゼン王国にお世話になるわけにはいかないし、お父様やお母様と離れているのも寂しいのだけど。
アスラン様も国王陛下たちも、いっそこのまま婚姻までクライゼン王国にいれば良いとおっしゃって下さるけど・・・
それはさすがに出来ないわ。
貴族の婚姻は、基本的に準備に一年はかかる。
しかも今回は、相手が第二王子殿下で、おまけに他国。
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それとこれとは事情が違うわ。
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それに・・・
「アスラン様は王太子殿下の婚姻に向けて、色々と公務がお有りでしょう?」
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「別にすぐに戻るわけではありませんわ。お父様たちにウィリアム殿下たちのことをお聞きして、大丈夫だと確認してからにします。それに、フランチェスカ様の結婚式には参列するのですから、離れてもほんの少しだけですわ」
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