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29.クライゼン王国に行くことになりました
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アイシュが気にすることはない。
お父様とお母様に言われて、私はウィリアム殿下の来訪の理由を考えるのをやめた。
考えたところで、私はアスラン様と婚約しているので、ウィリアム殿下を支えることはもう出来ない。
ただ、目覚めたと知ればまた来そうなので・・・
三日の間に三回も前触れが来ていたらしい。
それ、毎日じゃない。
本当に何を考えているのかしら?
そのことに不信感を感じたらしいアスラン様のお誘いで、クライゼン王国に赴くことになった。
アスラン様は第二王子なので、私がマデリーン王国で受けていた王太子妃教育で十分みたいだけど、まぁ色々とまだ学ぶことはあるだろうから、行くのはかまわない。
それに、アスラン様のご両親やお友達、アスラン様にお仕えしている方々にもお会いしたいし。
王妃様に知られないように、国王陛下にだけお伝え下さるとお父様がおっしゃった。
妨害はなさらないと思うけど・・・
クライゼン王国の第二王子殿下と一緒なんだもの。
国家間の問題になるようなことは、なさらないと思うわ。
私の記憶の件はともかく、王妃様は優秀な方だし、国のことを大切に考えていらっしゃるもの。
もちろん念のためだと言われれば、お父様たちに従うけれど。
「なんだか緊張しますわ。私、受け入れていただけるかしら?」
「そんな心配は必要ないよ。父も母も、絶対にアイシュを気にいるさ。友人もきっとたくさん出来る。ああ、でも、アイシュを独り占めできないのは嫌だな」
「・・・もう!アスラン様。恥ずかしいです」
甘い雰囲気を出すアスラン様に、お父様もお母様も使用人たちも、微笑ましそうな様子。
ウィリアム殿下と婚約関係な時は、こんな会話なかったから、なんだか恥ずかしいわ。
でも、そうね。
お友達が出来れば嬉しいわ。
この国では、生まれた時から王太子殿下の婚約者で、公爵令嬢。
お茶会には招待していただけたりしても、お友達とは言えなかったもの。
私は国王陛下に許可をいただき、クライゼン王国に向かうべく準備を整えた。
もちろん、私の専属護衛であるリュカと、専属侍女のアデラも一緒に行く。
王宮でお世話になる予定だけど、護衛や侍女を連れて行くのは当たり前のことなの。
アスラン様をお預かりしていた時に護衛が一緒でなかったのは、あの頃クライゼン王国が荒れていたせいもあるわね。
まだ見習いのアデラだけでは不安ではあるけど、私に付いてくれていた侍女が結婚を機に辞めることになったのよね。
だからアデラを私付きにしたんだけど、フローレンス公爵家内ならフォローが効くけど、他国の、しかも王宮だけど大丈夫かしら?
アスラン様に、未熟なことはお伝えしておいた方がいいわね。
お父様とお母様に言われて、私はウィリアム殿下の来訪の理由を考えるのをやめた。
考えたところで、私はアスラン様と婚約しているので、ウィリアム殿下を支えることはもう出来ない。
ただ、目覚めたと知ればまた来そうなので・・・
三日の間に三回も前触れが来ていたらしい。
それ、毎日じゃない。
本当に何を考えているのかしら?
そのことに不信感を感じたらしいアスラン様のお誘いで、クライゼン王国に赴くことになった。
アスラン様は第二王子なので、私がマデリーン王国で受けていた王太子妃教育で十分みたいだけど、まぁ色々とまだ学ぶことはあるだろうから、行くのはかまわない。
それに、アスラン様のご両親やお友達、アスラン様にお仕えしている方々にもお会いしたいし。
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「そんな心配は必要ないよ。父も母も、絶対にアイシュを気にいるさ。友人もきっとたくさん出来る。ああ、でも、アイシュを独り占めできないのは嫌だな」
「・・・もう!アスラン様。恥ずかしいです」
甘い雰囲気を出すアスラン様に、お父様もお母様も使用人たちも、微笑ましそうな様子。
ウィリアム殿下と婚約関係な時は、こんな会話なかったから、なんだか恥ずかしいわ。
でも、そうね。
お友達が出来れば嬉しいわ。
この国では、生まれた時から王太子殿下の婚約者で、公爵令嬢。
お茶会には招待していただけたりしても、お友達とは言えなかったもの。
私は国王陛下に許可をいただき、クライゼン王国に向かうべく準備を整えた。
もちろん、私の専属護衛であるリュカと、専属侍女のアデラも一緒に行く。
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まだ見習いのアデラだけでは不安ではあるけど、私に付いてくれていた侍女が結婚を機に辞めることになったのよね。
だからアデラを私付きにしたんだけど、フローレンス公爵家内ならフォローが効くけど、他国の、しかも王宮だけど大丈夫かしら?
アスラン様に、未熟なことはお伝えしておいた方がいいわね。
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