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28.何のご用だったのかしら?
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王妃様がウィリアム殿下のために、私の初恋を忘れさせた。
悲しくないと言えば嘘になるけれど、王妃様が私に酷いことをしたという感覚がないので、他人が思うよりも気にならなかった。
私がそう言うと、アスラン様は複雑そうなお顔をされていたけど。
でも、私がアスラン様に恋をしたままだったなら、きっと苦しかったと思うの。
だって、私とウィリアム殿下との婚約は生まれた時から決まっていた政略結婚。
恋をしたからって、解消は出来なかったと思うわ。
それなら忘れていた方が良かったと思う。
もし、ウィリアム殿下が他の女性に恋をしなければ、それなりの関係を築けたと思う。
私たちは幼馴染で、ウィリアム殿下は努力家だったし、私のことも婚約者としてそれなりに大切にしてくれていたと思うから。
ウィリアム殿下が男爵令嬢様を好きになったことで、私たちの婚約は解消されたけど、別にウィリアム殿下に恋心は抱いていなかったから問題はない。
まぁ、できるならちゃんと婚約解消してから、レブン男爵令嬢とお付き合いして欲しかったけど。
私は、ウィリアム殿下が王太子として劣っているとは思っていない。
ちょっと初めての恋に舞い上がっただけで、レブン男爵令嬢さえちゃんと頑張ってくれれば、王太子のままでいられると思う。
だってミリア様は、王太子になることなんて望んでないもの。
そういえば、ウィリアム殿下は何の用で我が家を訪れたのかしら?
あの後、眠ってしまったからお父様たちに来訪の話をしていないわ。
「そういえば、私が倒れる前にウィリアム殿下が訪れていたのですが」
「ああ。リュカから報告を受けている。ちゃんと王家に抗議しておいた」
「あら」
抗議ね。でも、確かに前触れもなく訪れるなんて問題があるわ。
しかも、お父様たちがいない時を狙って来たんだもの。
抗議ついでに何のご用だったのか、聞いてくださったかしら?
「結局、何のご用でしたの?アスラン様と婚約したことで、自分のことを好きだったんじゃないのかとかおっしゃっていましたけど」
「・・・自分が先に他の女に現を抜かしておきながら、何をふざけた事を」
「私もそう申し上げましたの。そして、私とアスラン様の婚約は国王陛下からのお声がけだとお話したら、王妃様が大丈夫だと言ったという話になって・・・その後頭が痛みましたので帰っていただきましたの。結局、何のご用か伺いませんでしたわ」
「・・・どうせ、あの男爵令嬢の教育が進まないから、王妃殿下にアイシュとのやり直せとでも言われたのだろう」
私はアスラン様と婚約していますのに、どうやってやり直すのかしら?
悲しくないと言えば嘘になるけれど、王妃様が私に酷いことをしたという感覚がないので、他人が思うよりも気にならなかった。
私がそう言うと、アスラン様は複雑そうなお顔をされていたけど。
でも、私がアスラン様に恋をしたままだったなら、きっと苦しかったと思うの。
だって、私とウィリアム殿下との婚約は生まれた時から決まっていた政略結婚。
恋をしたからって、解消は出来なかったと思うわ。
それなら忘れていた方が良かったと思う。
もし、ウィリアム殿下が他の女性に恋をしなければ、それなりの関係を築けたと思う。
私たちは幼馴染で、ウィリアム殿下は努力家だったし、私のことも婚約者としてそれなりに大切にしてくれていたと思うから。
ウィリアム殿下が男爵令嬢様を好きになったことで、私たちの婚約は解消されたけど、別にウィリアム殿下に恋心は抱いていなかったから問題はない。
まぁ、できるならちゃんと婚約解消してから、レブン男爵令嬢とお付き合いして欲しかったけど。
私は、ウィリアム殿下が王太子として劣っているとは思っていない。
ちょっと初めての恋に舞い上がっただけで、レブン男爵令嬢さえちゃんと頑張ってくれれば、王太子のままでいられると思う。
だってミリア様は、王太子になることなんて望んでないもの。
そういえば、ウィリアム殿下は何の用で我が家を訪れたのかしら?
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「そういえば、私が倒れる前にウィリアム殿下が訪れていたのですが」
「ああ。リュカから報告を受けている。ちゃんと王家に抗議しておいた」
「あら」
抗議ね。でも、確かに前触れもなく訪れるなんて問題があるわ。
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「・・・どうせ、あの男爵令嬢の教育が進まないから、王妃殿下にアイシュとのやり直せとでも言われたのだろう」
私はアスラン様と婚約していますのに、どうやってやり直すのかしら?
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