26 / 105
26.目覚めたら、驚きました
しおりを挟む
「ん・・・」
眠りに落ちた時と同じように、ゆっくりと意識が浮上した。
そして目を開けて・・・
「きゃあああああ」
「どうしたっ!」
悲鳴を聞いて、お父様やお母様が部屋に飛び込んで来る。
「アイシュっ!目覚めたのだな!」
「ああっ!良かった!」
みんなどうしたのかしら?
私はお医者様にお薬をいただいて、眠っていただけでしょう?
「アイシュは三日も眠り続けていたんだ。大丈夫?どこかおかしなところはない?」
アスラン様の問いかけに、私は目を丸くしてしまう。
三日?え?三日も?
も、もしかして、アスラン様が私の顔を覗き込んでいたのって、私を心配して?
「それで、あの悲鳴は?」
「ご、ごめんなさい。目の前にアスラン様のお顔があって、驚いてしまったの」
「いや、僕こそすまない。アイシュが眠っているのに眉を顰めたり微笑んだりしているので、目覚めるのかと気になって・・・」
「心配してくださって、ありがとうございます。でも、レディの寝顔を見るのはマナー違反でしてよ」
表情が変わってるのを見られるなんて、恥ずかしいわ。
私がそう言うと、アスラン様は「すまない」と謝られ、お父様たちは微笑ましそうにそれをご覧になっていた。
「しかし、目覚めて良かった。すぐに医者に診てもらおう」
「そうですわね。では、旦那様とアスラン殿下は退出してくださいませ。私が付いておりますわ」
お母様が男性陣・・・扉のところにリュカもいた、を退出させようとするので、慌てて引き止める。
「あのっ!忘れないうちに話しておきたいことがあるんです」
「どうした?」
「夢・・・だと思うんですけど、頭が痛くなる前にウィリアム殿下が妙なことを言っていたのも気になって」
あの言葉を聞いて、考え込んだら頭が痛んだのよ。
「殿下が何を?」
「王妃様が大丈夫だと言ったと。忘れたはずだと。それに、夢の中で王妃様が誰かに言っていたんです。気持ちを消してしまえって。それで、その女の人は何度かに分けて私に術?をかけていて・・・私が、その・・・アスラン様のことを好きだという気持ちは忘れてしまえと。アスラン様は友達だと思えと」
「なんだと?」
「夢だとは思うんです。そうだわ。リュカ。私がアスラン様と出会った頃に、私がリュカにアスラン様を好きだと言ったことがある?その時にリュカに、私には婚約者がいるから、それを他の人の前で言ってはいけないと言われて泣いた?」
私の問いかけに、リュカが目を見開く。
「幼い頃のことなので、お忘れになっているのだと思っていました。確かに、そんな会話をいたしました」
え?じゃあ、あれはやっぱり夢ではないの?
眠りに落ちた時と同じように、ゆっくりと意識が浮上した。
そして目を開けて・・・
「きゃあああああ」
「どうしたっ!」
悲鳴を聞いて、お父様やお母様が部屋に飛び込んで来る。
「アイシュっ!目覚めたのだな!」
「ああっ!良かった!」
みんなどうしたのかしら?
私はお医者様にお薬をいただいて、眠っていただけでしょう?
「アイシュは三日も眠り続けていたんだ。大丈夫?どこかおかしなところはない?」
アスラン様の問いかけに、私は目を丸くしてしまう。
三日?え?三日も?
も、もしかして、アスラン様が私の顔を覗き込んでいたのって、私を心配して?
「それで、あの悲鳴は?」
「ご、ごめんなさい。目の前にアスラン様のお顔があって、驚いてしまったの」
「いや、僕こそすまない。アイシュが眠っているのに眉を顰めたり微笑んだりしているので、目覚めるのかと気になって・・・」
「心配してくださって、ありがとうございます。でも、レディの寝顔を見るのはマナー違反でしてよ」
表情が変わってるのを見られるなんて、恥ずかしいわ。
私がそう言うと、アスラン様は「すまない」と謝られ、お父様たちは微笑ましそうにそれをご覧になっていた。
「しかし、目覚めて良かった。すぐに医者に診てもらおう」
「そうですわね。では、旦那様とアスラン殿下は退出してくださいませ。私が付いておりますわ」
お母様が男性陣・・・扉のところにリュカもいた、を退出させようとするので、慌てて引き止める。
「あのっ!忘れないうちに話しておきたいことがあるんです」
「どうした?」
「夢・・・だと思うんですけど、頭が痛くなる前にウィリアム殿下が妙なことを言っていたのも気になって」
あの言葉を聞いて、考え込んだら頭が痛んだのよ。
「殿下が何を?」
「王妃様が大丈夫だと言ったと。忘れたはずだと。それに、夢の中で王妃様が誰かに言っていたんです。気持ちを消してしまえって。それで、その女の人は何度かに分けて私に術?をかけていて・・・私が、その・・・アスラン様のことを好きだという気持ちは忘れてしまえと。アスラン様は友達だと思えと」
「なんだと?」
「夢だとは思うんです。そうだわ。リュカ。私がアスラン様と出会った頃に、私がリュカにアスラン様を好きだと言ったことがある?その時にリュカに、私には婚約者がいるから、それを他の人の前で言ってはいけないと言われて泣いた?」
私の問いかけに、リュカが目を見開く。
「幼い頃のことなので、お忘れになっているのだと思っていました。確かに、そんな会話をいたしました」
え?じゃあ、あれはやっぱり夢ではないの?
340
お気に入りに追加
2,690
あなたにおすすめの小説
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
毛蟹葵葉
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ
曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。
婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。
美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。
そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……?
――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。
【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人
キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。
だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。
だって婚約者は私なのだから。
いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣)
小説家になろうさんにも時差投稿します。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる