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9.王妃様に呼ばれました

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 他の方をお好きな、ウィリアム殿下に嫁ぐのは嫌。

 でも、そのせいでフローレンス公爵家に咎めがあるのはもっと嫌。

 フローレンス公爵家の子供は私だけだから、私がウィリアム殿下に嫁いだら親戚から誰か養子をもらうつもりだと、以前お父様はおっしゃっていた。

 私は別に家を継ぎたいとかではないから、そのことに関しては良いのだけど・・・ウィリアム殿下に嫁がないとなると、嫁ぎ先はあるかしら?

 マデリーン王国の修道院は、基本的にご令嬢が入る場所だ。

 廃籍されて入る場所だから、もしそこに入ればお父様たちとはもう他人になってしまう。

 それは嫌。

 かといって、今まで人の手を借りて暮らして来た私が、平民の方のようには暮らせないし。

 この国の、近い年齢の高位貴族のご子息は、ほとんど婚約者がいらっしゃる。

 私・・・
八方塞がりなんじゃないの?

 私が不安な表情をしていたからだろう。
 お母様が私を抱きしめてくれた。

「アイシュ。何も心配する必要ないのよ。誰にも嫁がなくても、フローレンス公爵家の後継が決まったら、私たちと一緒に領地で暮らしましょう?どこかに旅をしても良いし、行きたい国があるならそこに永住しても良いわ。何も我慢する必要はないわ。ねぇ、旦那様」

「ああ。咎めがある心配もしなくても良い。そもそも、婚約者がいながら不貞行為をするなど、王太子として問題ありだ。絶対に殿下有責で白紙撤回させる!」

 え、白紙撤回?
でも、ウィリアム殿下に不幸になって欲しいわけじゃないの。

 良い子ぶるわけじゃないけど、私たちは生まれた時からの婚約者で、きっと家族みたいな関係だったんだわ。

 ウィリアム様は恋を知ったの。
だから、私に悪いと思いながらもその気持ちを捨て去ることができないんだわ。

 でも・・・

 正直に相談してくれていたら、円満解消してあげれたのに。

 もしかしたら、近いうちに話があるのかもしれないわ。

 お父様には、ウィリアム殿下の恋のお相手のことなどを調べてもらうことになった。

 私は、一応一ヶ月後の王宮でのお茶会には出向くつもりだ。

 私が退出したあと、リュカはお父様たちに目撃した内容を話したようだ。

 お父様は私には何もおっしゃらなかったけど、ウィリアム殿下のことを調べているようだった。

 そして、一ヶ月後の王宮でのお茶会の前日。

 私は王妃様からお話があると呼び出しを受けた。

「いらっしゃい、アイシュ。ごめんなさいね?呼び出したりして」

「いいえ。お会いできて嬉しいです」

 王妃様の私室、そこのベランダに置かれたテーブルにはお茶やお菓子が準備されていた。

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