112 / 122
おとといきやがれ、ですわ
しおりを挟む
呆然としている元婚約者様ですが、隣のユリア様のおっしゃった言葉に、ハッと顔を上げました。
「え?王様死んじゃったの?あの意地悪な王妃様も?なら、エリック様が王様ってこと?」
何故、そんな理論になるのか理解できません。
お母様のお話を聞いていましたか?
セオドア王国は、シュワルミット王国の属国になることが決まっているのです。
シュワルミット王国が、セオドア王国の崩壊の原因であるその方を、名だけの王としても担ぎ上げるわけがありません。
そして、元婚約者様。
あれほど甘やかせてくれたお母様の死よりも、国王という座が大切ですか?
ユリア様は王妃様のことを意地悪、とおっしゃいましたけど、多分わたくしに対する態度と変わらなかったと思いますわ。
わたくしは、王太子殿下を支えるための勉強であったことと、ユリア様は令嬢としての勉強であったことの差はあるでしょうが。
王妃様にとって大切なのは、息子の王太子殿下だけ。
だから、ユリア様を婚約者にと望まれたことも受け入れて下さったでしょう?
考え方やされていたことは納得できませんが、あの方が誰よりも息子を愛していたことは分かります。
それなのに。
「僕が・・・国王・・・」
「いえ。そんなことをシュワルミット王国が許すわけがありませんわ。そもそも、そのシュワルミットに奴隷として参りますのよ?」
「はぁ?そっちこそ何言ってるのよ。王様が死んじゃったんだから、息子のエリック様が王様になるのは当たり前でしょ!そのシュ、何とかは関係ないじゃない!」
は?
どういう理屈でしょうか?意味不明なのですが。
確かに世襲制のセオドア王国ですから、普通なら国王陛下亡き後に王太子殿下が後を継ぐのは当たり前です。
ですが、その方はすでに王太子どころか王族ですらないのですよ?
「王族でもない平民の奴隷が国王になれたら、世界の終わりよ」
お母様が大きくため息を吐かれます。
お気持ちは分かりますわ。どうしてこうも話が通じないのかしら。
「え、あ、いや・・・そ、そうだ!あ、アリスティアが王妃になってくれれば・・・」
「いい加減に、わたくしの名前を呼ぶのはやめてくださいますか?不敬で罪を増やしますわよ」
「ちょっと!エリック様?私がいるでしょっ!」
「ユリアに王妃なんて無理だろう?全然勉強が進まないと母上も言っていた。大丈夫だ。側妃にすれば・・・」
セオドア王国は、一夫一妻制で側妃も認められていませんわよ。
基本的に間違っておられますけど、もしもこの方が王太子のままだったとしても、わたくしがこの方と結婚?
冗談じゃありません。おとといきやがれ、ですわ。
「え?王様死んじゃったの?あの意地悪な王妃様も?なら、エリック様が王様ってこと?」
何故、そんな理論になるのか理解できません。
お母様のお話を聞いていましたか?
セオドア王国は、シュワルミット王国の属国になることが決まっているのです。
シュワルミット王国が、セオドア王国の崩壊の原因であるその方を、名だけの王としても担ぎ上げるわけがありません。
そして、元婚約者様。
あれほど甘やかせてくれたお母様の死よりも、国王という座が大切ですか?
ユリア様は王妃様のことを意地悪、とおっしゃいましたけど、多分わたくしに対する態度と変わらなかったと思いますわ。
わたくしは、王太子殿下を支えるための勉強であったことと、ユリア様は令嬢としての勉強であったことの差はあるでしょうが。
王妃様にとって大切なのは、息子の王太子殿下だけ。
だから、ユリア様を婚約者にと望まれたことも受け入れて下さったでしょう?
考え方やされていたことは納得できませんが、あの方が誰よりも息子を愛していたことは分かります。
それなのに。
「僕が・・・国王・・・」
「いえ。そんなことをシュワルミット王国が許すわけがありませんわ。そもそも、そのシュワルミットに奴隷として参りますのよ?」
「はぁ?そっちこそ何言ってるのよ。王様が死んじゃったんだから、息子のエリック様が王様になるのは当たり前でしょ!そのシュ、何とかは関係ないじゃない!」
は?
どういう理屈でしょうか?意味不明なのですが。
確かに世襲制のセオドア王国ですから、普通なら国王陛下亡き後に王太子殿下が後を継ぐのは当たり前です。
ですが、その方はすでに王太子どころか王族ですらないのですよ?
「王族でもない平民の奴隷が国王になれたら、世界の終わりよ」
お母様が大きくため息を吐かれます。
お気持ちは分かりますわ。どうしてこうも話が通じないのかしら。
「え、あ、いや・・・そ、そうだ!あ、アリスティアが王妃になってくれれば・・・」
「いい加減に、わたくしの名前を呼ぶのはやめてくださいますか?不敬で罪を増やしますわよ」
「ちょっと!エリック様?私がいるでしょっ!」
「ユリアに王妃なんて無理だろう?全然勉強が進まないと母上も言っていた。大丈夫だ。側妃にすれば・・・」
セオドア王国は、一夫一妻制で側妃も認められていませんわよ。
基本的に間違っておられますけど、もしもこの方が王太子のままだったとしても、わたくしがこの方と結婚?
冗談じゃありません。おとといきやがれ、ですわ。
80
お気に入りに追加
3,870
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる