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許す、ですか?
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セオドア王国から、王太子殿下とユリア様の王籍と貴族籍の剥奪の連絡が届きました。
まぁ、それはそうですわよね。
どちらにしろあの方々に、王太子と王太子妃は無理ですもの。
「うっ、嘘だっ!僕を廃籍?セオドア王家には僕しか後継はいないんだ!なのに・・・」
「国王陛下は、事後処理の後に退陣される。セオドア王国は、キンブル侯爵家の遠縁の令息に継いでもらうことにしたそうだ」
「・・・」
キンブル侯爵家の遠縁というと、キャスリーン様のご親戚の方ですわね。
キャスリーン様ご一家がローゼンタール王国に移られてからは、宰相のお仕事は親戚の方がされていたとお聞きしております。
王太子殿下・・・元王太子殿下ですわね。
この方は国王陛下の判断が納得いかないようです。
あら?ユリア様はお静かですわね。
同じように喚かれると思っていたのですが。
「ね、ねぇ。謝ったら許してくれるの?」
「どういうことでしょうか?」
「その、ジー・・・なっ、名前で呼んだこと謝ったら許してくれるの?」
ジーク様をお名前で呼んだことに謝罪を求めましたから、謝罪してくださるということですね。
「謝罪は受け入れますわ」
「あっ、謝るわっ!勝手に名前で呼んだりしてごめんなさい!」
ぺこりと頭を下げたユリア様に、元王太子殿下は不服そうな視線を向けた。
「ユリア、何を?君だって、牢に入れられて文句を言っていたじゃないか」
「ちょっと、やめてよ!私まで貴族じゃなくなっちゃうでしょっ!私はね、王太子妃になりたかったの!」
「はぁ?ふざけるな!あれほど、僕に貢がせておいて」
あら、まぁ。
言い争いを始めてしまいましたわ。
内容は・・・
わたくしにはどうでもいいことですけど、つくづく王族に向かない方でしたのね。
王族や高位貴族には、そういう欲を持って近づいてくる方が、男女問わずいます。
それを見極める目を持つのも、ちゃんと調査をするのも、そしてその結果に責任を持つのも、わたくしたちの務めですのに。
「あ、アリスティア。僕が間違っていた。コイツに騙されていたんだ」
「そうなのですね」
「ちょ、ちょっと!違うわ!私がエリック・・・この男に騙されていたのよ!」
なんだか似たもの同士ですわね。
やっぱりお似合いですわ。
「ねぇ!私の言うことを信じてくれるわよね?私、ちゃんと謝ったし!」
「ふざけるな!アリスティア、僕たちはずっと婚約者だったんだ。僕の言うことを信じるだろう?」
「そうですわね・・・」
わたくしは小首をかしげました。
「お二人の言うことがどちらが真実かは存じませんけど、どちらにしろ結果は変わりませんしどちらでもいいですわ」
まぁ、それはそうですわよね。
どちらにしろあの方々に、王太子と王太子妃は無理ですもの。
「うっ、嘘だっ!僕を廃籍?セオドア王家には僕しか後継はいないんだ!なのに・・・」
「国王陛下は、事後処理の後に退陣される。セオドア王国は、キンブル侯爵家の遠縁の令息に継いでもらうことにしたそうだ」
「・・・」
キンブル侯爵家の遠縁というと、キャスリーン様のご親戚の方ですわね。
キャスリーン様ご一家がローゼンタール王国に移られてからは、宰相のお仕事は親戚の方がされていたとお聞きしております。
王太子殿下・・・元王太子殿下ですわね。
この方は国王陛下の判断が納得いかないようです。
あら?ユリア様はお静かですわね。
同じように喚かれると思っていたのですが。
「ね、ねぇ。謝ったら許してくれるの?」
「どういうことでしょうか?」
「その、ジー・・・なっ、名前で呼んだこと謝ったら許してくれるの?」
ジーク様をお名前で呼んだことに謝罪を求めましたから、謝罪してくださるということですね。
「謝罪は受け入れますわ」
「あっ、謝るわっ!勝手に名前で呼んだりしてごめんなさい!」
ぺこりと頭を下げたユリア様に、元王太子殿下は不服そうな視線を向けた。
「ユリア、何を?君だって、牢に入れられて文句を言っていたじゃないか」
「ちょっと、やめてよ!私まで貴族じゃなくなっちゃうでしょっ!私はね、王太子妃になりたかったの!」
「はぁ?ふざけるな!あれほど、僕に貢がせておいて」
あら、まぁ。
言い争いを始めてしまいましたわ。
内容は・・・
わたくしにはどうでもいいことですけど、つくづく王族に向かない方でしたのね。
王族や高位貴族には、そういう欲を持って近づいてくる方が、男女問わずいます。
それを見極める目を持つのも、ちゃんと調査をするのも、そしてその結果に責任を持つのも、わたくしたちの務めですのに。
「あ、アリスティア。僕が間違っていた。コイツに騙されていたんだ」
「そうなのですね」
「ちょ、ちょっと!違うわ!私がエリック・・・この男に騙されていたのよ!」
なんだか似たもの同士ですわね。
やっぱりお似合いですわ。
「ねぇ!私の言うことを信じてくれるわよね?私、ちゃんと謝ったし!」
「ふざけるな!アリスティア、僕たちはずっと婚約者だったんだ。僕の言うことを信じるだろう?」
「そうですわね・・・」
わたくしは小首をかしげました。
「お二人の言うことがどちらが真実かは存じませんけど、どちらにしろ結果は変わりませんしどちらでもいいですわ」
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