107 / 122
通知〜セオドア王国国王視点〜
しおりを挟む
エリックと男爵令嬢をローゼンタール王国へ向かわせたと聞いたのは、二人が出発してからだった。
思わず王妃を怒鳴りつけたが、王妃は全く理解していないようだった。
「お前は、自分が何をしたのか理解していないのかっ!」
「何をおっしゃっているんです?王太子に招待状が来た。婚約者の方とご一緒にと書かれていたので、仕方なくあの娘と一緒に行かせた。それの何がいけないと言うのですか?」
言葉だけを聞けば、何もおかしくはない。
だが、ローゼンタール王国にはイングリス公爵家がいる。
しかも、イングリス公爵家嫡男の結婚披露パーティーだと?
イングリス公爵夫人が王妹なこともあるから、他国の王族を招くことはおかしくないとしても、うちにわざわざ招待状を出すか?
そこにエリックを行かせることが、本当に正しいのか?
今更どうこう言っても、間に合わないことはわかっている。
だが、嫌な予感がずっと背中をゾワゾワと上がってくる。
エリックも、幼い頃はああではなかった。
子供だから少々甘ったれなところはあったが、素直で真面目な息子だった。
ローゼンタール王国との縁を結ぼうと、アリスティアを婚約者にした。
今思えば、あれが間違いだったのだ。
エリックを溺愛する王妃は、エリックを甘やかすだけ甘やかした。
そして、その分アリスティアに厳しくした。
アリスティアに、それに応えられるだけの素質があったため、つい息子可愛さに口を挟まなかった。
結果が、あの婚約の白紙撤回だ。
まさか婚約者がいながら、他の令嬢に現を抜かす阿呆になっているなどとは思わなかった。
アリスティアを失ったことで、イングリス公爵家とキンブル侯爵家を失った。
エリックも使い物にならないせいで、最近は政務に追われていて招待状の件に気付けなかった。
馬鹿な発言などせず、大人しく祝いだけを伝えて戻って来てくれればいいが。
その願いは、ローゼンタール王国から届いた一枚の書状で空しく霧散する。
そこに書かれていたのは。
「セオドア王国王太子殿下、及びその婚約者のユリア嬢。ローゼンタール王国王太子殿下の婚約者への暴行未遂、暴言、虚偽の発言などによる名誉毀損に対しての処罰を求める。王太子殿下の王籍剥奪、及びその婚約者の貴族籍剥奪の上、隣国シュワルミットの鉱山送りとする」
サァっと血の気が引いた。
しかも、エリックたちがやらかした場には、他国の王族も多く居たと書かれてある。
息子の愚かさを見て見ぬ振りをした結果が、コレか。
もう我が王家は終わりだ。
思わず王妃を怒鳴りつけたが、王妃は全く理解していないようだった。
「お前は、自分が何をしたのか理解していないのかっ!」
「何をおっしゃっているんです?王太子に招待状が来た。婚約者の方とご一緒にと書かれていたので、仕方なくあの娘と一緒に行かせた。それの何がいけないと言うのですか?」
言葉だけを聞けば、何もおかしくはない。
だが、ローゼンタール王国にはイングリス公爵家がいる。
しかも、イングリス公爵家嫡男の結婚披露パーティーだと?
イングリス公爵夫人が王妹なこともあるから、他国の王族を招くことはおかしくないとしても、うちにわざわざ招待状を出すか?
そこにエリックを行かせることが、本当に正しいのか?
今更どうこう言っても、間に合わないことはわかっている。
だが、嫌な予感がずっと背中をゾワゾワと上がってくる。
エリックも、幼い頃はああではなかった。
子供だから少々甘ったれなところはあったが、素直で真面目な息子だった。
ローゼンタール王国との縁を結ぼうと、アリスティアを婚約者にした。
今思えば、あれが間違いだったのだ。
エリックを溺愛する王妃は、エリックを甘やかすだけ甘やかした。
そして、その分アリスティアに厳しくした。
アリスティアに、それに応えられるだけの素質があったため、つい息子可愛さに口を挟まなかった。
結果が、あの婚約の白紙撤回だ。
まさか婚約者がいながら、他の令嬢に現を抜かす阿呆になっているなどとは思わなかった。
アリスティアを失ったことで、イングリス公爵家とキンブル侯爵家を失った。
エリックも使い物にならないせいで、最近は政務に追われていて招待状の件に気付けなかった。
馬鹿な発言などせず、大人しく祝いだけを伝えて戻って来てくれればいいが。
その願いは、ローゼンタール王国から届いた一枚の書状で空しく霧散する。
そこに書かれていたのは。
「セオドア王国王太子殿下、及びその婚約者のユリア嬢。ローゼンタール王国王太子殿下の婚約者への暴行未遂、暴言、虚偽の発言などによる名誉毀損に対しての処罰を求める。王太子殿下の王籍剥奪、及びその婚約者の貴族籍剥奪の上、隣国シュワルミットの鉱山送りとする」
サァっと血の気が引いた。
しかも、エリックたちがやらかした場には、他国の王族も多く居たと書かれてある。
息子の愚かさを見て見ぬ振りをした結果が、コレか。
もう我が王家は終わりだ。
95
お気に入りに追加
3,870
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」
まほりろ
恋愛
【完結しました】
アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。
だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。
気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。
「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」
アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。
敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。
アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。
前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。
☆
※ざまぁ有り(死ネタ有り)
※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。
※ヒロインのパパは味方です。
※他サイトにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。
※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。
2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
悲劇の悪役令嬢は毒を食べた
桜夢 柚枝*さくらむ ゆえ
恋愛
【本編完結】
悪役令嬢は
王子と結ばれようとするお姫様を虐めました。
だから、婚約破棄されたのです。
あくまで悪いのは悪役令嬢。
そんな物語が本当かどうか。
信じるのは貴方次第…
コンラリア公爵家のマリアーナは、
ロザセルト王国の王太子のアレクシスの婚約者。
2人は仲つむまじく、素敵な国王と国母になられるだろうと信じられておりました。
そんなお2人の悲しき本当のお話。
ショートショートバージョンは
悪役令嬢は毒を食べた。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる