2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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通知〜セオドア王国国王視点〜

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 エリックと男爵令嬢をローゼンタール王国へ向かわせたと聞いたのは、二人が出発してからだった。

 思わず王妃を怒鳴りつけたが、王妃は全く理解していないようだった。

「お前は、自分が何をしたのか理解していないのかっ!」

「何をおっしゃっているんです?王太子に招待状が来た。婚約者の方とご一緒にと書かれていたので、仕方なくあの娘と一緒に行かせた。それの何がいけないと言うのですか?」

 言葉だけを聞けば、何もおかしくはない。
 だが、ローゼンタール王国にはイングリス公爵家がいる。

 しかも、イングリス公爵家嫡男の結婚披露パーティーだと?

 イングリス公爵夫人が王妹なこともあるから、他国の王族を招くことはおかしくないとしても、うちにわざわざ招待状を出すか?

 そこにエリックを行かせることが、本当に正しいのか?

 今更どうこう言っても、間に合わないことはわかっている。
 だが、嫌な予感がずっと背中をゾワゾワと上がってくる。

 エリックも、幼い頃はああではなかった。
 子供だから少々甘ったれなところはあったが、素直で真面目な息子だった。

 ローゼンタール王国との縁を結ぼうと、アリスティアを婚約者にした。

 今思えば、あれが間違いだったのだ。

 エリックを溺愛する王妃は、エリックを甘やかすだけ甘やかした。

 そして、その分アリスティアに厳しくした。

 アリスティアに、それに応えられるだけの素質があったため、つい息子可愛さに口を挟まなかった。

 結果が、あの婚約の白紙撤回だ。

 まさか婚約者がいながら、他の令嬢に現を抜かす阿呆になっているなどとは思わなかった。

 アリスティアを失ったことで、イングリス公爵家とキンブル侯爵家を失った。

 エリックも使い物にならないせいで、最近は政務に追われていて招待状の件に気付けなかった。

 馬鹿な発言などせず、大人しく祝いだけを伝えて戻って来てくれればいいが。

 その願いは、ローゼンタール王国から届いた一枚の書状で空しく霧散する。

 そこに書かれていたのは。

「セオドア王国王太子殿下、及びその婚約者のユリア嬢。ローゼンタール王国王太子殿下の婚約者への暴行未遂、暴言、虚偽の発言などによる名誉毀損に対しての処罰を求める。王太子殿下の王籍剥奪、及びその婚約者の貴族籍剥奪の上、隣国シュワルミットの鉱山送りとする」

 サァっと血の気が引いた。

 しかも、エリックたちがやらかした場には、他国の王族も多く居たと書かれてある。

 息子の愚かさを見て見ぬ振りをした結果が、コレか。

 もう我が王家は終わりだ。
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