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舞台を整える〜イングリス公爵夫人テレサ視点〜

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 セオドア王国とコストナー男爵家への制裁について、数日かけての話し合いは順調よ。

 セオドア王国に関しては我が家と王家が、コストナー男爵家については王家とブラシール侯爵家が積極的に制裁内容を決めていく。

 我が家のお姫様との婚約の白紙撤回は、ボンクラ王太子には知らせないようにと釘を刺している。

 あの王妃はアリスティアを諦めないだろうから、息子に伝えるわけがない。

 ボンクラ王太子は、男爵令嬢に完全に惚れていたけど、それでもあの男爵令嬢では王太子妃は務まらないでしょうね。

 元々が優秀なアリスティアに幼い頃から、ある意味洗脳のような教育を施してきたのよ。

 どれだけ男爵令嬢が優秀だったとしても、天秤にかけるまでもないわ。

 そのうちにアリスティアを取り戻そうと、王家が動くはず。

 このローゼンタール王国を敵に回す勇気はないだろうから、きっと姑息な真似をしてくるはずよ。

 アリスティアをあんな国、潰してしまえばいいんだけど、それをするとアリスティアが悲しむの。

 王家だけ潰して、頭のすげ替えがベストよね。

 コストナー男爵家の方は、ブラシール侯爵家の次男が、随分と処罰に乗り気だわ。

 彼は、ラグノア公爵令嬢の誕生日パーティーを台無しにした男爵令嬢を許せないらしいわ。

 ジークハルトも、勝手に自分の婚約者を名乗った令嬢を消し去りたいらしいわね。

 まぁ、どこをどうしたらそんな発想になったのか知らないけど、妄想癖でもあるのかしらね、その男爵令嬢。

 アリスティアが望んだ、ジークハルトとの婚約。

 幸せそうに笑う、我が家の大切なお姫様の幸せを邪魔はさせないわ。

「とりあえず餌として、パーティーを開きましょう。セオドア王国とコストナー男爵家以外には、ジークハルトとアリスティアの婚約披露パーティーだと周知するとして・・・」

「それなら、セオドアには僕とキャスリーンの結婚パーティーと知らせましょう。あそこは愚かですからね。公爵家の嫡男の結婚パーティーにが招かれる意味まで気付かないでしょう」

「あら、それはいいわね」

 王家の結婚や婚約披露ならともかく、嫡男とはいえ臣下の結婚披露に他国の王族を招くことはない。

 もちろん、友人関係だったり懇意にしていれば別だけど。

 ライアンは王甥ではあるけれど、イングリス公爵家はあくまでも臣下。

 でも、セオドア王国王家は気付かないでしょうね。

 パーティー会場に来て、他国の王族が多くいることにすら、違和感を感じないでしょう。

 ちょうど良いわ。
他国の王族の前で、うちのお姫様を人形みたいに扱った王妃も、愛しいあの子を殺した王太子も、それを放置した国王も、全てに地獄を見せてあげる。
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