2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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その気持ちの名前は〜ラグノア公爵令嬢シャルロット視点〜

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 アリスティア様の様子に、これは全く伝わっていないと理解しました。

 遠回しに恋の病ですよ~とお伝えしたつもりなのですが。

 ラノベ『清廉の姫巫女』の悪役令嬢として登場するアリスティア様は、キツい性格をしていました。

 エリック王太子殿下のことを幼い頃から想っていたアリスティア様は、ヒロインであるユリア様の存在をとても厭い、彼女をいじめるのです。

 それがエリック王太子殿下に知られて、断罪され修道院に送られることになります。

 そして男爵令嬢であったユリア様は、イングリス公爵家の養女となり、エリック殿下と結ばれる、というのがラノベのストーリーでした。

 つまりは、『清廉の姫巫女1』の悪役令嬢のアリスティア様と『清廉の姫巫女2』の悪役令嬢の私のどちらも、ヒロインの相手役である王太子殿下の婚約者ではなくなっているということです。

 そのあたりのことを『2』のヒロインであるコストナー様は理解していないみたいですけど。

 大体、ここはラノベそのものの世界ではありません。

 物語通りの言葉しか言わないキャラクターではなく、私たちは自分で考え、自分の判断で動いているのです。

 それでも、物語の強制力が起こることを恐れて、私はジークハルト殿下の婚約者候補からおりるために、カール様と婚約したしましたけど。

 ラノベの中のアリスティア様と違い、今私の目の前にいるアリスティア様はとても穏やかな方です。

 エリック王太子殿下にも全く恋心を持っていないようですし、そもそも恋を知らないご様子です。

 ジークハルト殿下がアリスティア様を想ってらっしゃるのは、間違いありませんし、アリスティア様もどうやらジークハルト殿下をお好きなようなのに。

 これは、両片思いでは?

「あの・・・アリスティア様?この病は『お医者様でも草津の湯でも恋の病は治りゃせぬ』というものでして」

「くさつのゆというのは、なんですの?」

「ええと・・・薬効の高いお風呂のことです。とりあえず、それは置いといて、ですね。つまりは、アリスティア様はジークハルト殿下に恋をしてらっしゃるということなんです」

 駄目です。
この方に遠回しになんて言っていたら、永遠に気付く日が来ません。

 ジークハルト殿下も、のんびりしていたら他の方に攫われてしまいますのに、どうして婚約を申し込まないのかしら?

「恋・・・この気持ちが恋・・・」

「私はアリスティア様でないですから、絶対そうですとは言えません。でも、もしアリスティア様がジークハルト殿下とずっと一緒にいたいとか、他のご令嬢と親しくして欲しくないとか、そういう気持ちをお持ちなのなら、私はそれは恋だと思います」

 伝わるかしら。
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