2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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恋の病

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「ええと、アリスティア様。コストナー様の真似をなさっては駄目ですわ」

 あれ?おかしいですわね。
あの男爵令嬢様のように、自分の気持ちに素直になろうと思うとお伝えしたら、シャルロット様に止められてしまいましたわ。

 今日は、シャルロット様をイングリス公爵家にお招きして、お茶をいただいています。

 今日はブラシール様はジークハルト様とコストナー様の処罰について王宮でお話されているそうで、お話し合いが終わったら、我が家までお迎えに来てくださるそうですわ。

「確認ですけど、アリスティア様はジークハルト殿下のことがお好きなのですね?」

「わたくし、その、好きという気持ちがよくわからないのです。お父様やお母様、お兄様はもちろん、公爵家の使用人やシャルロット様を思う気持ちが好きだということは理解しているのですが」

 ジークハルト様に関しても、従兄としての好きという気持ちはあります。

 でも、それとジークハルト様に対して感じている気持ちは別のものだという気もするのです。

「・・・まぁ、セオドア王国の王室の考え方を否定するわけじゃありませんけど、国王だろうと王太子だろうと、敬えない相手を好きにはなれませんよね」

 シャルロット様はそうおっしゃると、苦々しげな表情をされました。

 シャルロット様には、わたくしがセオドア王国王太子殿下の婚約者であったこと。

 その殿下が他の方をお好きになったので、婚約を白紙撤回したことをお話してあります。

 そして、生まれた時からの婚約者であったエリック殿下とは、本当に政略結婚の相手としての情しかお互いになかったこと。

 王妃殿下にも、教育係の方々にも、王太子殿下を常に一番に考え、大切にするように教育されて来たこともお話してあります。

「わたくし、コストナー様がジークハルト様の婚約者だとおっしゃった時に、胸の奥がムカムカしてしまったのです。ジーク様と愛称でお呼びになったことも、嫌だと思ってしまって。わたくし、今までエリック殿下にこんなことを思ったことがなかったので、よくわからないのです」

 ユリア様のことも、お幸せになって欲しいと思ったくらいですし。

「・・・アリスティア様は、ジークハルト殿下とご一緒して楽しいですか?」

「はい。でも、ジークハルト様に見つめられたりすると、胸がぎゅうってするんです。わたくし、もしかして病気なのではないでしょうか」

「・・・まぁ、病気といえば病気ですね。どんな薬も効かない病」

 やっぱり!
最近、ジークハルト様のことを考えると、胸が痛くておかしいと思っていたのです。

 どんな薬も効かないなんて!どうしましょう。
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