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これが恋なら
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「わぁ!素敵ですねぇ」
アンナがわたくしの手元を覗き込んで、ニコニコと微笑みます。
別れ際に記念だと渡されたのは、シャルロット様に差し上げるプレゼントと色違いの、銀縁に青やピンク、紫が混じった蝶のブローチと髪飾りでした。
わたくしの髪色は白ですから、シャルロット様に差し上げる髪飾りのように白色がベースでは髪飾りが目立たないのです。
だからきっと、ジークハルト様はこの色合いにしてくださったのだと思います。
「ねぇ、アンナ。わたくし、シャルロット様のお誕生日パーティー、これを付けていきたい」
ブルートパーズのお飾りは、ジークハルト様とお揃いですから付けたいのですが、いただいたこれを付けているところを見ていただきたいのです。
「ジークハルト様とお揃いのお飾りと両方は無理よね」
「そうですね・・・あ。それなら、デザイナーさんをお呼びして、この蝶と同じ色合いの石で殿下のお飾りを作っていただきましょう。カフスやタイピンとかですから、間に合いますよ」
「そんなご無理を言ってもいいのかしら」
「大丈夫です。すぐにご連絡して来ますね」
我儘だとは分かっていますが、どうしてもこの蝶を身につけたいのです。
「アンナが慌てて出て行ったけど、どうかしたの?あら?そんな髪飾り持っていた?」
「ジークハルト様にいただきました。シャルロット様と色違いなのです」
「あら、素敵。で、アンナは何を慌てていたの?」
「ジークハルト様にいただいたこのお飾りをパーティーで付けたいのですが、ジークハルト様とお揃いにしたくて。そうしたら、アンナがこの蝶と同じ色合いの石でジークハルト様のお飾りを作って貰えばいいとアドバイスしてくれたのです」
我儘だと、お母様に言われないかしら?
でも、お母様はさすがアンナね、と微笑まれました。
そういえば最近、お母様はわたくしのことを「可愛いお姫様」と呼ばなくなりました。
どうしてかしら。
「ふふっ。アリスティアは、ジークハルトに恋をしているのね」
「え、あの・・・じ、ジークハルト様は素敵な方だと思います」
「ごめんなさい、アリスティア。私が貴女が可愛くて可愛くて、可愛いお姫様を傷つけたくなくて、過保護にし過ぎたせいで王命での婚約がなくなってしまったわ。そのせいで、ジークハルトはきっと、婚約を申し込んでは来ない」
ジークハルト様とは・・・婚約、出来ない・・・?
どうしてかしら。
胸の奥が痛い気がします。
王命の取り消しの時は、こんな痛み感じなかったのに。
「アリスティア。私がこんなことを言えた義理じゃないけど、ジークハルトと一緒にいたいのなら、アリスティアから踏み出さないと従兄妹以上にはなれないわよ」
アンナがわたくしの手元を覗き込んで、ニコニコと微笑みます。
別れ際に記念だと渡されたのは、シャルロット様に差し上げるプレゼントと色違いの、銀縁に青やピンク、紫が混じった蝶のブローチと髪飾りでした。
わたくしの髪色は白ですから、シャルロット様に差し上げる髪飾りのように白色がベースでは髪飾りが目立たないのです。
だからきっと、ジークハルト様はこの色合いにしてくださったのだと思います。
「ねぇ、アンナ。わたくし、シャルロット様のお誕生日パーティー、これを付けていきたい」
ブルートパーズのお飾りは、ジークハルト様とお揃いですから付けたいのですが、いただいたこれを付けているところを見ていただきたいのです。
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「そうですね・・・あ。それなら、デザイナーさんをお呼びして、この蝶と同じ色合いの石で殿下のお飾りを作っていただきましょう。カフスやタイピンとかですから、間に合いますよ」
「そんなご無理を言ってもいいのかしら」
「大丈夫です。すぐにご連絡して来ますね」
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「アンナが慌てて出て行ったけど、どうかしたの?あら?そんな髪飾り持っていた?」
「ジークハルト様にいただきました。シャルロット様と色違いなのです」
「あら、素敵。で、アンナは何を慌てていたの?」
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我儘だと、お母様に言われないかしら?
でも、お母様はさすがアンナね、と微笑まれました。
そういえば最近、お母様はわたくしのことを「可愛いお姫様」と呼ばなくなりました。
どうしてかしら。
「ふふっ。アリスティアは、ジークハルトに恋をしているのね」
「え、あの・・・じ、ジークハルト様は素敵な方だと思います」
「ごめんなさい、アリスティア。私が貴女が可愛くて可愛くて、可愛いお姫様を傷つけたくなくて、過保護にし過ぎたせいで王命での婚約がなくなってしまったわ。そのせいで、ジークハルトはきっと、婚約を申し込んでは来ない」
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