68 / 122
胸がドキドキします
しおりを挟む
あの後、他のお店も見て、いくつかお買い物をしました。
刺繍がお上手なシャルロット様に、綺麗なハンカチを数枚。わたくしも自分用に購入しました。
ジークハルト様や家族に刺繍して贈るつもりで、人数分を。
服飾店でとても綺麗なスカーフを見つけましたので、お母様とキャスリーン様にお土産にすることにしました。
それから有名なお菓子屋さんで、王宮や公爵家で働く使用人たちへの差し入れ用に焼き菓子を購入しました。
お買い物を終え、ジークハルト様に公爵邸まで送っていただき、先に降りたジークハルト様のエスコートでバシから降ります。
「ありがとうございます、ジークハルト様」
「いや、僕のほうこそ今日はありがとう。とても楽しかった」
女性のお買い物は長くて、しかも今日はシャルロット様への贈り物ですから、男性の方には興味がないものだったと思いますのに、本当にジークハルト様は楽しそうにしてくださいました。
興味がなくても、つまらなそうにされれば女性は心が痛みます。
次にお誘いすることを躊躇ってしまいますし、自分を押し殺すようになってしまいます。
ジークハルト様が、本当に退屈でなかったのかは、わたくしにはわかりません。
でも本当に楽しそうに、色々とアドバイスしてくださったり、素敵なものを探してくださったりすれば、ご一緒して本当に良かったと心から思えるのです。
また・・・ご一緒したいと思えるのです。
「また・・・ジークハルト様とお出かけしたいです」
思わず、心の声が口から出てしまいました。
ジークハルト様は王太子殿下。
今日もお忙しい中、時間を作ってくださいましたのに。
でも、ジークハルト様は嬉しそうに微笑んでくださいました。
「本当に?迷惑でなければ、また誘わせて欲しい。実は、とても綺麗な湖があって、景色が素晴らしいんだ。アリスティア嬢に見せたいと思っていて」
「ぜひ見てみたいです」
「なら、今度改めて誘わせて欲しい。今日は本当にありがとう。これは、些細だけど今日の記念に」
ジークハルト様はそうおっしゃって、小さな包みをわたくしに差し出しました。
綺麗な包装紙とリボンに包まれたそれをわたくしに渡すと、ジークハルト様は馬車へと戻られます。
「あ、ジークハルト様」
「誕生日パーティーの日に迎えに来るよ。今日は本当にありがとう。楽しかったよ」
そう言ってジークハルト様が手を振られると、御者の方が扉を閉められます。
お見送りしたわたくしは、ジークハルト様から渡された贈り物を両手で胸に抱え込みます。
胸がドキドキして、侍女のアンナに声をかけられるまで、わたくしはその場から動くことができませんでした。
刺繍がお上手なシャルロット様に、綺麗なハンカチを数枚。わたくしも自分用に購入しました。
ジークハルト様や家族に刺繍して贈るつもりで、人数分を。
服飾店でとても綺麗なスカーフを見つけましたので、お母様とキャスリーン様にお土産にすることにしました。
それから有名なお菓子屋さんで、王宮や公爵家で働く使用人たちへの差し入れ用に焼き菓子を購入しました。
お買い物を終え、ジークハルト様に公爵邸まで送っていただき、先に降りたジークハルト様のエスコートでバシから降ります。
「ありがとうございます、ジークハルト様」
「いや、僕のほうこそ今日はありがとう。とても楽しかった」
女性のお買い物は長くて、しかも今日はシャルロット様への贈り物ですから、男性の方には興味がないものだったと思いますのに、本当にジークハルト様は楽しそうにしてくださいました。
興味がなくても、つまらなそうにされれば女性は心が痛みます。
次にお誘いすることを躊躇ってしまいますし、自分を押し殺すようになってしまいます。
ジークハルト様が、本当に退屈でなかったのかは、わたくしにはわかりません。
でも本当に楽しそうに、色々とアドバイスしてくださったり、素敵なものを探してくださったりすれば、ご一緒して本当に良かったと心から思えるのです。
また・・・ご一緒したいと思えるのです。
「また・・・ジークハルト様とお出かけしたいです」
思わず、心の声が口から出てしまいました。
ジークハルト様は王太子殿下。
今日もお忙しい中、時間を作ってくださいましたのに。
でも、ジークハルト様は嬉しそうに微笑んでくださいました。
「本当に?迷惑でなければ、また誘わせて欲しい。実は、とても綺麗な湖があって、景色が素晴らしいんだ。アリスティア嬢に見せたいと思っていて」
「ぜひ見てみたいです」
「なら、今度改めて誘わせて欲しい。今日は本当にありがとう。これは、些細だけど今日の記念に」
ジークハルト様はそうおっしゃって、小さな包みをわたくしに差し出しました。
綺麗な包装紙とリボンに包まれたそれをわたくしに渡すと、ジークハルト様は馬車へと戻られます。
「あ、ジークハルト様」
「誕生日パーティーの日に迎えに来るよ。今日は本当にありがとう。楽しかったよ」
そう言ってジークハルト様が手を振られると、御者の方が扉を閉められます。
お見送りしたわたくしは、ジークハルト様から渡された贈り物を両手で胸に抱え込みます。
胸がドキドキして、侍女のアンナに声をかけられるまで、わたくしはその場から動くことができませんでした。
85
お気に入りに追加
3,953
あなたにおすすめの小説
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう
さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」
殿下にそう告げられる
「応援いたします」
だって真実の愛ですのよ?
見つける方が奇跡です!
婚約破棄の書類ご用意いたします。
わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。
さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます!
なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか…
私の真実の愛とは誠の愛であったのか…
気の迷いであったのでは…
葛藤するが、すでに時遅し…
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。
ふまさ
恋愛
いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。
「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」
「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」
ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。
──対して。
傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる