2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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胸がドキドキします

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 あの後、他のお店も見て、いくつかお買い物をしました。

 刺繍がお上手なシャルロット様に、綺麗なハンカチを数枚。わたくしも自分用に購入しました。

 ジークハルト様や家族に刺繍して贈るつもりで、人数分を。

 服飾店でとても綺麗なスカーフを見つけましたので、お母様とキャスリーン様にお土産にすることにしました。

 それから有名なお菓子屋さんで、王宮や公爵家で働く使用人たちへの差し入れ用に焼き菓子を購入しました。

 お買い物を終え、ジークハルト様に公爵邸まで送っていただき、先に降りたジークハルト様のエスコートでバシから降ります。

「ありがとうございます、ジークハルト様」

「いや、僕のほうこそ今日はありがとう。とても楽しかった」

 女性のお買い物は長くて、しかも今日はシャルロット様への贈り物ですから、男性の方には興味がないものだったと思いますのに、本当にジークハルト様は楽しそうにしてくださいました。

 興味がなくても、つまらなそうにされれば女性は心が痛みます。

 次にお誘いすることを躊躇ってしまいますし、自分を押し殺すようになってしまいます。

 ジークハルト様が、本当に退屈でなかったのかは、わたくしにはわかりません。

 でも本当に楽しそうに、色々とアドバイスしてくださったり、素敵なものを探してくださったりすれば、ご一緒して本当に良かったと心から思えるのです。

 また・・・ご一緒したいと思えるのです。

「また・・・ジークハルト様とお出かけしたいです」

 思わず、心の声が口から出てしまいました。

 ジークハルト様は王太子殿下。
今日もお忙しい中、時間を作ってくださいましたのに。

 でも、ジークハルト様は嬉しそうに微笑んでくださいました。

「本当に?迷惑でなければ、また誘わせて欲しい。実は、とても綺麗な湖があって、景色が素晴らしいんだ。アリスティア嬢に見せたいと思っていて」

「ぜひ見てみたいです」

「なら、今度改めて誘わせて欲しい。今日は本当にありがとう。これは、些細だけど今日の記念に」

 ジークハルト様はそうおっしゃって、小さな包みをわたくしに差し出しました。

 綺麗な包装紙とリボンに包まれたそれをわたくしに渡すと、ジークハルト様は馬車へと戻られます。

「あ、ジークハルト様」

「誕生日パーティーの日に迎えに来るよ。今日は本当にありがとう。楽しかったよ」

 そう言ってジークハルト様が手を振られると、御者の方が扉を閉められます。

 お見送りしたわたくしは、ジークハルト様から渡された贈り物を両手で胸に抱え込みます。

 胸がドキドキして、侍女のアンナに声をかけられるまで、わたくしはその場から動くことができませんでした。
 
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