2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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汚れなき花〜ラグノア侯爵令嬢シャルロット視点〜

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「僕の愛しいシャルロットを悪く言うなんて、やっぱりアレは痛めつける必要があるね」

 目の前で、とても爽やかな笑みを浮かべて、カール様が物騒なことを口にしました。

 ふふっ。
私のことを溺愛・・・いいえ、もう執愛と言ってもいいくらい愛して大切にして下さるカール様。

 彼と婚約して本当に良かったと思います。

 あのラノベの中では、ジークハルト殿下はヒロインに恋をされました。

 そして現実世界のここでは、ジークハルト殿下はアリスティア様に恋をされているようです。

 あのまま婚約者候補でいても、処刑はされなかったでしょうが、婚約者になることもなかった気がします。

 それに、私のことをこんなに想ってくださるカール様のことを、私もお慕いしているのです。

「カール様、私はあの方のことを好きになれませんわ。このまま放置したら、いつかアリスティア様に危害を加えそうで不安なのです」

「イングリス公爵たちが黙っていないと思うけどね。それに王姪の彼女はとても国王陛下たちにも大切にされていると聞く」

「常識が通じない方ですから・・・アリスティア様にもしものことがあったらと思うと、私怖くて」

 こう言えばきっと・・・

「僕のシャルロットを憂いさせるなんて、あの害虫は本当に目障りだね。大丈夫だよ、シャルロット。僕が君の憂いを晴らしてあげるから」

「ありがとうございます、カール様。でも、カール様が罰せられるようなことはなさらないで下さいね。もし、そんなことになったら、私どうなるか分かりませんわ」

「ああ!僕のシャルロットは本当に優しくて尊いね」
 
 ごめんなさい、カール様。
私は優しくはないです。

 私がこう言えば、私を溺愛してくれているカール様がそう言ってくれること分かってて、ヒロインを排除しようとしてるのですから。

 だって、アリスティア様は本当にお優しい人で。
 アリスティア様は汚れのない花みたいな人で。

 ジークハルト殿下がアリスティア様のことをお好きなの、すごく理解できるんです。

 この世界は、ラノベの中の世界なんかじゃない。

 ジークハルト殿下に恋をしてヒロインをいじめていたシャルロットは、この世界にはいません。

 この世界にいるのは、カール様のことを本当にお慕いしている私。

 だから、自分はヒロインだと思い込んでいる自称ヒロインさんの思い通りにはさせません。

 私は悪役令嬢なんかになるつもりはありませんし、アリスティア様にもその役目をさせたくはありません。

 でも・・・

 もし、カール様が他の方をお好きになってしまったら、ラノベの中のシャルロットのように、私も悪役令嬢になるのかもしれませんね。

 
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