59 / 122
抗議の結果は〜ラグノア公爵令嬢シャルロット視点〜
しおりを挟む
「それでお父様、コストナー男爵家からは謝罪はありまして?」
先日のお茶会への乱入の件は、すぐにお父様からコストナー男爵家へと抗議させていただきました。
当然です。
招いていない、しかも男爵家のご令嬢が勝手に公爵家へ出向くこと自体が問題ですが、あの場には王太子殿下と王姪でイングリス公爵令嬢のアリスティア様がいらっしゃったのです。
その場で斬り捨てられたり、牢に入れられる可能性は高かったのです。
それを、王太子殿下はアリスティア様のお目汚しになるから、と。
私の婚約者のカール様はお庭が汚れるから、と。
強制退出だけで済ませてくださったのです。
ですが、そのままというわけにはいきません。
それを許してしまえば、同じことが起きた時に罰することができなくなってしまいますから。
これは義務でもあるのです。
「いや。ブラシール侯爵家からも抗議があったらしいが、全くの無視だ。あそこは娘を溺愛していて、何でも言うことを聞いているらしいからな」
お父様はため息を吐かれました。
いえいえ。
溺愛といっても限度があるでしょう?
それでよく貴族の、男爵家とはいえ当主が務まりますね?
うちのお父様がお優しいからと、甘く見ているのかしら?
確かにお父様はお優しい方ですが、公爵ですのよ?お優しいだけで、領地の運営は出来ませんわ。
「カール様・・・無茶なさらないといいけれど」
「・・・ブラシール侯爵が気にかけておいてくれるだろう」
カール様は、その・・・私のことをとても大切にしてくださっているのです。
それこそ、溺愛という言葉がピッタリというほどに。
彼は、私を傷つけるものを徹底的に排除しようとするところがありますから・・・
過剰防衛にならなければいいのですが。
「王家からは抗議はなかったのですか?」
「今回、ジークハルト殿下がご一緒されていたのは、イングリス公爵令嬢様のお供だということで、抗議はなさらなかったらしい。イングリス公爵令嬢様が相手に逆恨みされたりするのを防ぎたいのだろう。殿下にとっては従妹でもあるからな」
アリスティア様は、ジークハルト殿下のお父様である国王陛下の妹殿下のお子様です。
公爵令嬢ではありますが、王姪。
はぁ。王家に連なる方が二人もいる場所に、あんな態度で乱入して、しかも殿下のお名前を口にするなんて。
私は婚約者候補だった時にお許しいただいたので、公式の場以外はお名前を呼ばせていただいていますけど。
幸いだったのは、コストナー様がアリスティア様に牙を剥かなかったことですね。
もしそんなことをしていたら・・・
考えただけで背筋が寒くなりますわ。
先日のお茶会への乱入の件は、すぐにお父様からコストナー男爵家へと抗議させていただきました。
当然です。
招いていない、しかも男爵家のご令嬢が勝手に公爵家へ出向くこと自体が問題ですが、あの場には王太子殿下と王姪でイングリス公爵令嬢のアリスティア様がいらっしゃったのです。
その場で斬り捨てられたり、牢に入れられる可能性は高かったのです。
それを、王太子殿下はアリスティア様のお目汚しになるから、と。
私の婚約者のカール様はお庭が汚れるから、と。
強制退出だけで済ませてくださったのです。
ですが、そのままというわけにはいきません。
それを許してしまえば、同じことが起きた時に罰することができなくなってしまいますから。
これは義務でもあるのです。
「いや。ブラシール侯爵家からも抗議があったらしいが、全くの無視だ。あそこは娘を溺愛していて、何でも言うことを聞いているらしいからな」
お父様はため息を吐かれました。
いえいえ。
溺愛といっても限度があるでしょう?
それでよく貴族の、男爵家とはいえ当主が務まりますね?
うちのお父様がお優しいからと、甘く見ているのかしら?
確かにお父様はお優しい方ですが、公爵ですのよ?お優しいだけで、領地の運営は出来ませんわ。
「カール様・・・無茶なさらないといいけれど」
「・・・ブラシール侯爵が気にかけておいてくれるだろう」
カール様は、その・・・私のことをとても大切にしてくださっているのです。
それこそ、溺愛という言葉がピッタリというほどに。
彼は、私を傷つけるものを徹底的に排除しようとするところがありますから・・・
過剰防衛にならなければいいのですが。
「王家からは抗議はなかったのですか?」
「今回、ジークハルト殿下がご一緒されていたのは、イングリス公爵令嬢様のお供だということで、抗議はなさらなかったらしい。イングリス公爵令嬢様が相手に逆恨みされたりするのを防ぎたいのだろう。殿下にとっては従妹でもあるからな」
アリスティア様は、ジークハルト殿下のお父様である国王陛下の妹殿下のお子様です。
公爵令嬢ではありますが、王姪。
はぁ。王家に連なる方が二人もいる場所に、あんな態度で乱入して、しかも殿下のお名前を口にするなんて。
私は婚約者候補だった時にお許しいただいたので、公式の場以外はお名前を呼ばせていただいていますけど。
幸いだったのは、コストナー様がアリスティア様に牙を剥かなかったことですね。
もしそんなことをしていたら・・・
考えただけで背筋が寒くなりますわ。
89
お気に入りに追加
3,955
あなたにおすすめの小説
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

婚約破棄までの168時間 悪役令嬢は断罪を回避したいだけなのに、無関心王子が突然溺愛してきて困惑しています
みゅー
恋愛
アレクサンドラ・デュカス公爵令嬢は舞踏会で、ある男爵令嬢から突然『悪役令嬢』として断罪されてしまう。
そして身に覚えのない罪を着せられ、婚約者である王太子殿下には婚約の破棄を言い渡された。
それでもアレクサンドラは、いつか無実を証明できる日が来ると信じて屈辱に耐えていた。
だが、無情にもそれを証明するまもなく男爵令嬢の手にかかり最悪の最期を迎えることになった。
ところが目覚めると自室のベッドの上におり、断罪されたはずの舞踏会から1週間前に戻っていた。
アレクサンドラにとって断罪される日まではたったの一週間しか残されていない。
こうして、その一週間でアレクサンドラは自身の身の潔白を証明するため奮闘することになるのだが……。
甘めな話になるのは20話以降です。
誰もがその聖女はニセモノだと気づいたが、これでも本人はうまく騙せているつもり。
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・クズ聖女・ざまぁ系・溺愛系・ハピエン】
グルーバー公爵家のリーアンナは王太子の元婚約者。
「元」というのは、いきなり「聖女」が現れて王太子の婚約者が変更になったからだ。
リーアンナは絶望したけれど、しかしすぐに受け入れた。
気になる男性が現れたので。
そんなリーアンナが慎ましやかな日々を送っていたある日、リーアンナの気になる男性が王宮で刺されてしまう。
命は取り留めたものの、どうやらこの傷害事件には「聖女」が関わっているもよう。
できるだけ「聖女」とは関わりたくなかったリーアンナだったが、刺された彼が心配で居ても立っても居られない。
リーアンナは、これまで隠していた能力を使って事件を明らかにしていく。
しかし、事件に首を突っ込んだリーアンナは、事件解決のために幼馴染の公爵令息にむりやり婚約を結ばされてしまい――?
クズ聖女を書きたくて、こんな話になりました(笑)
いろいろゆるゆるかとは思いますが、よろしくお願いいたします!
他サイト様にも投稿しています。
居場所を奪われ続けた私はどこに行けばいいのでしょうか?
gacchi
恋愛
桃色の髪と赤い目を持って生まれたリゼットは、なぜか母親から嫌われている。
みっともない色だと叱られないように、五歳からは黒いカツラと目の色を隠す眼鏡をして、なるべく会わないようにして過ごしていた。
黒髪黒目は闇属性だと誤解され、そのせいで妹たちにも見下されていたが、母親に怒鳴られるよりはましだと思っていた。
十歳になった頃、三姉妹しかいない伯爵家を継ぐのは長女のリゼットだと父親から言われ、王都で勉強することになる。
家族から必要だと認められたいリゼットは領地を継ぐための仕事を覚え、伯爵令息のダミアンと婚約もしたのだが…。
奪われ続けても負けないリゼットを認めてくれる人が現れた一方で、奪うことしかしてこなかった者にはそれ相当の未来が待っていた。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

【完結】婚約破棄されて処刑されたら時が戻りました!?~4度目の人生を生きる悪役令嬢は今度こそ幸せになりたい~
Rohdea
恋愛
愛する婚約者の心を奪った令嬢が許せなくて、嫌がらせを行っていた侯爵令嬢のフィオーラ。
その行いがバレてしまい、婚約者の王太子、レインヴァルトに婚約を破棄されてしまう。
そして、その後フィオーラは処刑され短い生涯に幕を閉じた──
──はずだった。
目を覚ますと何故か1年前に時が戻っていた!
しかし、再びフィオーラは処刑されてしまい、さらに再び時が戻るも最期はやっぱり死を迎えてしまう。
そんな悪夢のような1年間のループを繰り返していたフィオーラの4度目の人生の始まりはそれまでと違っていた。
もしかしたら、今度こそ幸せになれる人生が送れるのでは?
その手始めとして、まず殿下に婚約解消を持ちかける事にしたのだがーー……
4度目の人生を生きるフィオーラは、今度こそ幸せを掴めるのか。
そして時戻りに隠された秘密とは……
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる