上 下
53 / 122

どうなってるの〜男爵令嬢ユリア視点〜

しおりを挟む
 覚えてたより早くエリック様と出会い、何故か私が婚約者にされた。

 婚約者にはなるけど、それはもっと先よ。
 悪役令嬢のアリスティアを断罪して、私は王太子妃になるの。

 なのに、どうして?

 毎日毎日毎日、王宮でお勉強ばっかり。

 そりゃ王太子妃が綺麗なドレス着て、美味しいお菓子ばっかり食べてるわけじゃないことくらい知ってるわ。

 これでも色んなラノベを読んだもの。

 でも!
これはいくらなんでも酷いと思うの。

 お茶のマナーを教えてくれながら「アリスティアならこれくらい出来た」

 他国語の勉強をしたら「アリスティアなら七ヶ国は話せた」

 王家の歴史を学べば「アリスティアなら歴代国王だけでなく王妃の名前も覚えていた」

 口を開けば「アリスティアなら」「アリスティアなら」ばっかり。

 知らないわよ。
公爵令嬢で生まれた時からエリック様の婚約者だった人と比べないでよ。

 できるわけないじゃない!私は男爵家の娘なのよ!

 なんてこと思っても、口にできるわけがない。
 だって相手は王妃様なんだもの。

 嫁姑問題に発展しちゃうわ。
エリック様は私のことを愛してくれてるけど、やっぱり母親とは仲良くしてもらいたいと思ってるはず。

 だから心の中では舌を出してるけど、顔も何だったらひきつるけど、ごめんなさいと言いながら今日も授業を受けた。

「あ!エリック様ぁ」

 最近は、エリック様とお茶を飲むことすらない。

 毎日毎日、お勉強とお小言ばっかりでうんざりしちゃうわ。

 でも帰り間際にエリック様を見かけて、私は駆け寄った。

「あ、ああ。ユリア」

「エリック様ぁ。お会いできなくてユリア寂しかったですぅ」

「ああ。僕も公務が忙しくて・・・すまない、ユリア。これから用があるんだ」

 え?なんで?
いつもなら、満面の笑顔で抱きしめてくれるはずのエリック様が、私と目も合わせてくれない。

 しかも逃げるように護衛の人たちと立ち去っちゃったんだけど!

 どうして?
もしかしてエリック様って、釣った魚には餌をやらないタイプなの?

 婚約者になったから、つれなくしても大丈夫とか思ってるの?

 信じらんない。
こんなのなら、やっぱり『姫巫女2』の方に転生出来てたら良かったのに!

 ジークハルトだったら、そんな態度取らなかったはず!

 ジークハルトは最初はツンが目立つし、周囲からも氷の王太子とか言われてるけど、ヒロインにはデレるのよ。

 ジークハルトはローゼンタール王国って大国の王太子だから、そこもエリック様とは雲泥の差なんだから!

 いっそこのまま、ローゼンタール王国に行こうかな。
 そしたらジークハルトと運命の出会いってやつをするかも!

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生聖女のなりそこないは、全てを諦めのんびり生きていくことにした。

迎木尚
恋愛
「聖女にはどうせなれないんだし、私はのんびり暮らすわね〜」そう言う私に妹も従者も王子も、残念そうな顔をしている。でも私は前の人生で、自分は聖女になれないってことを知ってしまった。 どんなに努力しても最後には父親に殺されてしまう。だから私は無駄な努力をやめて、好きな人たちとただ平和にのんびり暮らすことを目標に生きることにしたのだ。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない

斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。 襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……! この人本当に旦那さま? って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

お飾り公爵夫人の憂鬱

初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。 私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。 やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。 そう自由……自由になるはずだったのに…… ※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です ※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません ※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

【完結】都合のいい女ではありませんので

風見ゆうみ
恋愛
アルミラ・レイドック侯爵令嬢には伯爵家の次男のオズック・エルモードという婚約者がいた。 わたしと彼は、現在、遠距離恋愛中だった。 サプライズでオズック様に会いに出かけたわたしは彼がわたしの親友と寄り添っているところを見てしまう。 「アルミラはオレにとっては都合のいい女でしかない」 レイドック侯爵家にはわたししか子供がいない。 オズック様は侯爵という爵位が目的で婿養子になり、彼がレイドック侯爵になれば、わたしを捨てるつもりなのだという。 親友と恋人の会話を聞いたわたしは彼らに制裁を加えることにした。 ※独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。

処理中です...