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初めての友人

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 お茶会は、これといって大きな問題もなく終わりました。

 さすが高位貴族のご令嬢方で、王妃の伯母様にも優雅にご挨拶されていました。

 これからわたくしもローゼンタール王国の貴族として、皆様と仲良くしていければ良いと思っています。

 そんな中で。

「あ。アリスティア様。そんなにぐるぐる混ぜてはいけませんわ。もっとこうサクッと切るように混ぜて下さい」

「き、切るようにとはどんな風になのでしょう」

 シャルロット様のおっしゃることが難しくて、わたくしはワタワタとしてしまいます。

 すぐにシャルロット様がわたくしの手からヘラを取って、混ぜて見せてくれました。

 なるほど。
ヘラを縦方向に向けて、縦線を引くようにするのですね。

 でもあれで混ざるのかしら。

 シャルロット様は器用にボールを回しながら、生地を混ぜていきます。

 あ。本当に混ざりましたわ。

「シャルロット様は器用ですのね」

「慣れれば誰にでもできますわ。私は単にやり方を知っていただけです」

 ご覧になって分かる通り、わたくしは現在シャルロット様からお菓子作りを教わっています。

 ラグノア公爵家のご令嬢であるシャルロット様とは、あのお茶会でお話させていただきました。

 お菓子作りが得意だとおっしゃられたシャルロット様に、わたくしはご教授いただけないかとお願いしたのですわ。

 シャルロット様は綺麗な紫色の髪と瞳をされた、とてもお綺麗な方です。

 猫のような、少しつり目なところをご本人は気にかけていらっしゃるようですが、とてもチャーミングですわ。

 お茶会では他のご令嬢ともお話させていただきましたが、シャルロット様とのお話がとても楽しかったのです。

 シャルロット様には、婚約者がいらっしゃいます。

 侯爵家のご子息だそうですわ。
シャルロット様の三歳年上のお兄様のご学友だとか。

 ということは、ジークハルト様ともご学友だったのでしょうか。

 今度、ジークハルト様にお聞きしてみましょう。

 シャルロット様は、とてもお話上手な方で、シャルロット様とお話していると、わたくしまでとても楽しくなります。

 貴族はあまり感情を他人に見せるのは良しとされませんが、わたくしと二人きりの時のシャルロット様は、とても感情豊かで、怒ったり笑ったりなさいます。

 王太子殿下の婚約者として、殿下の言うとおりにするのが当たり前だと教えられて来た、人形のようなわたくしにはとても眩しく、シャルロット様のようになりたいと思いました。

「これで型に流し込んで、あとは焼き上がるのを待つだけ。焼き上がりが楽しみですね」

 そう言ってにっこりと微笑んでくれたシャルロット様は、キラキラしていました。

 わたくしの初めてのお友達は、とても素敵な方ですわ。




 
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