2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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お菓子を差し入れましょう

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 わたくし、お菓子作りなんて初めてなのです。

 ずっと王太子殿下の婚約者で、淑女らしく、王族の婚約者らしく、公爵令嬢らしく、と厳しく王宮で躾けられました。

 お父様やお母様、お兄様はお優しかったのですが、家族との交流もあまりする時間がありませんでしたの。

 だって淑女教育の上に、王宮での王子妃教育があったのですもの。

 語学などを学ぶことは楽しかったですし、淑女教育も必要なことだったと思います。

 それでも、今思えばあの教育は行き過ぎだと思いますわ。

 わたくしはあくまでも、王太子殿下の婚約者。
 婚姻したとしても王太子妃にしか過ぎません。

 それなのに、教わる勉強の中には、王太子殿下のお仕事に関わりそうなものもありましたわ。

 国王陛下も王妃殿下も、それから王宮の教師の皆様も、わたくしに「王太子殿下であるエリック殿下をお支えし、エリック殿下がおっしゃることを全て叶えるのが婚約者の役目」だとおっしゃられていました。

 わたくし、それを何の疑問も持たずに、エリック殿下をお支えしようと頑張っていましたけど。

 何故、婚約者が何もかもしなくてはなりませんの?
 婚約者は何でも屋ではありませんわ。

 お兄様の婚約者のキャスリーン様も、お兄様のことを支えてくださっていますけど、お兄様のおっしゃることを全て肯定するわけではありません。

 間違えていることは間違いだとおっしゃられていますし、お兄様も自分のすべきことはご自分でなされていますわ。

 エリック殿下や王家の方々は・・・

 ユリア様と恋仲のエリック殿下のことを、わたくしが支え、敬い、愛しい方と憂いなく過ごせるように公務をするべきだと思っておられたのね。

 だから婚約者がいるにも関わらず、ユリア様と恋仲になられた。

 あの夢を見ていて、本当に良かったですわ。

 あの夢のおかげで、婚約を解消することができましたもの。

 不快な求婚のお手紙が届いたのは残念ですが、それもお母様やお父様、それに伯母様たちが処理してくださるそうです。

 ローゼンタールに来ていて、本当に良かったと思います。
 一国の、公爵家では断りきれないお相手ですもの。

 ジークハルト殿下が「他国から婚約の申し込みが来る前に」とおっしゃられていたのは、杞憂ではありませんでしたのね。

 確かにジークハルト殿下の、王太子殿下の婚約者だったなら、さすがに送ってくることはなかったと思いますわ。

 最近、お母様たちもジークハルト殿下のお姿を見かけないのだそうです。

 わたくしが婚約に対して良い態度を取らなかったから、お気に障った?

 いえ。でも、毎日お花を一輪ずつ贈ってくださっているのに。

 しかもわたくしが気を遣わないように、部屋にいない時にこっそりと。

 そのお礼も兼ねて、お菓子をお渡ししたいのです。

 
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