2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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気分が悪いですわ

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「これ、何ですの?」

 大量に積まれた手紙に、お行儀が悪いと分かっていても読み掛けた手紙を放り投げましたわ。

 三通読みましたけど、内容は全て同じ。

『我が第二王子の妃に迎える』

『私の妻になって欲しい。美しい貴女と私の子供なら、神に愛される子になるだろう』

『俺の駒鳥。俺の愛の籠の中で、愛らしい声でないてくれ』

 わたくし、こんな気持ち悪いお手紙をいただいたのは初めてですわ。

 わたくし宛のお手紙でしたので開いたのですが、開いたことを後悔するとは思いませんでしたわ。

 あまりの気持ち悪さに鳥肌が立ってしまい、腕を擦っていたらお兄様がいらっしゃいました。

「どうした?アリスティア」

「お兄様」

 お兄様がわたくしの隣に座ろうとして、放り投げた手紙に気付きます。

「どうした?手紙が・・・」

 わたくし宛ですから、お兄様は見ないように折って拾い上げ、わたくしに渡そうとして・・・

 テーブルの上の大量の手紙に気付きました。

「アリスティア・・・これは、もしかして求婚の手紙か?」

「これが求婚だというのなら、わたくし一生独り身でいたいですわ」

 気持ち悪さに鳥肌が止まりませんもの。

「今日アンナは・・・そうか、休暇だったな」

 お兄様が拾い上げた手紙をテーブルに置くと、わたくしから遠ざけるように避けて下さいます。

 お兄様がおっしゃった通り、今日わたくしの専属侍女であるアンナはお休みです。

 実は今日、アンナの婚約者の方がローゼンタール王国に来られるのですわ。

 相手のご家族、お祖母様とご両親もご一緒されるので、わたくしたちがローゼンタールに来てから三ヶ月かかってしまいました。

 その方のお祖母様は夢で見た通り、ご病気を患っておられました。

 わたくし、夢の中ではそのことを聞いたのは輿入れの直前だったので、何もすることは出来なかったのですが、念のために夢から覚めた後、アンナに尋ねたのです。

 お祖母様のご病気は、ローゼンタール王国の進んだ医療技術で回復されることが分かり、ご家族で移住してくださることが決まったのです。

 わたくし、アンナがお嫁に行くことは嫌ではありません。
 幸せになって欲しいですし、アンナの花嫁姿はとても綺麗でしたもの。

 でも出来ればもう少し一緒にいたいですし、可能なら結婚後もアンナにはそばにいて欲しいです。

 そのアンナがお休みですので、ローゼンタールに来てから付いてくれている侍女の方の一人がお手紙を届けてくれたのですが・・・

 そうですね。
アンナなら先にお母様にお伺いしてから、わたくしに届けた気がしますわ。
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