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伯父様の謝罪と伯母様の提案
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「王命などで婚約を決めて、申し訳なかった!」
わたくしは現在、何故かローゼンタール王国国王陛下に頭を下げられています。
これは国王陛下としての謝罪かしら?それとも伯父様としての謝罪かしら?
隣に座られた伯母様、王妃殿下に視線を向けます。
ご説明下さいませんか?
「ごめんなさいね?アリスティア。ジークハルトが気持ち悪かったでしょう?」
え?気持ち悪・・・?
ジークハルト王太子殿下はとてもお美しくて、素敵な方ですわ?
え?ええ?
気持ち悪いとおっしゃられました?
わたくしの聞き間違いかしら?
「あの子、六歳の頃からアリスティアのことが好きなのよ。どれだけ他のご令嬢と顔合わせしても全く興味を示さない・・・というか、塩対応だったのよ。挙句に陛下に『アリスティア以外との婚約しない。駄目なら廃嫡して欲しい』なんて言い出したの。私が聞いていたら、止めたんだけど、すでに王命が出された後だったの」
「そう・・・でしたか」
「ずっと王子妃教育とかを受けていたんでしょう?ローゼンタールでゆっくりと静養してもらってから、ジークハルトとも交流して貰えばいいと思っていたのに、本当男どもは配慮に欠けていて駄目ね」
王妃殿下のお言葉に、国王陛下がその身を小さくされています。
確かに突然のお話でしたが、別にジークハルト殿下に嫌な気持ちは持っていませんわ。
「突然でしたので少し驚きましたが、大丈夫ですわ」
「本当にすまない!だが、国王である私の姪であり、その容姿。マナーも完璧で、成績も優秀と聞く。すぐに国内だけでなく他国からも釣書が届くだろう。もちろん、アリスティアの気持ちが一番大切なのだが、ジークハルトがあまりにも・・・な」
伯父様が言葉を濁していらっしゃいますが、伯母様が隣で「我が息子ながら気持ち悪いわ」とおっしゃっていますわ。
何だか複雑ですけど、本当にジークハルト殿下には悪い印象は持っていません。
それにわたくし、政略結婚を受け入れていたと思うのです。
だって、あの夢を見る前のことを思い出しても、全くエリック殿下への愛情がないんですもの。
ですから、ジークハルト殿下との婚約に関しても、別に文句はありませんわ。
「アリスティアに本当に好きな人が出来たなら・・・私に話してちょうだい?絶対に婚約を取り消してあげるわ。貴女がジークハルトの執愛の犠牲になることはないの。アリスティアが成人するまでは婚姻はさせないし、もちろん節度をもった付き合いをさせる。約束するわ。よろしいですわね?陛下」
「し、しかし・・・わ、わかった。約束する」
とりあえず、形式上の婚約ということでしょうか?お試し的な?
王太子殿下の婚約者がそれでいいのでしょうか?
それでも、わたくしの気持ちを慮って下さる伯母様たちに心からお礼を申し上げました。
わたくしは現在、何故かローゼンタール王国国王陛下に頭を下げられています。
これは国王陛下としての謝罪かしら?それとも伯父様としての謝罪かしら?
隣に座られた伯母様、王妃殿下に視線を向けます。
ご説明下さいませんか?
「ごめんなさいね?アリスティア。ジークハルトが気持ち悪かったでしょう?」
え?気持ち悪・・・?
ジークハルト王太子殿下はとてもお美しくて、素敵な方ですわ?
え?ええ?
気持ち悪いとおっしゃられました?
わたくしの聞き間違いかしら?
「あの子、六歳の頃からアリスティアのことが好きなのよ。どれだけ他のご令嬢と顔合わせしても全く興味を示さない・・・というか、塩対応だったのよ。挙句に陛下に『アリスティア以外との婚約しない。駄目なら廃嫡して欲しい』なんて言い出したの。私が聞いていたら、止めたんだけど、すでに王命が出された後だったの」
「そう・・・でしたか」
「ずっと王子妃教育とかを受けていたんでしょう?ローゼンタールでゆっくりと静養してもらってから、ジークハルトとも交流して貰えばいいと思っていたのに、本当男どもは配慮に欠けていて駄目ね」
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確かに突然のお話でしたが、別にジークハルト殿下に嫌な気持ちは持っていませんわ。
「突然でしたので少し驚きましたが、大丈夫ですわ」
「本当にすまない!だが、国王である私の姪であり、その容姿。マナーも完璧で、成績も優秀と聞く。すぐに国内だけでなく他国からも釣書が届くだろう。もちろん、アリスティアの気持ちが一番大切なのだが、ジークハルトがあまりにも・・・な」
伯父様が言葉を濁していらっしゃいますが、伯母様が隣で「我が息子ながら気持ち悪いわ」とおっしゃっていますわ。
何だか複雑ですけど、本当にジークハルト殿下には悪い印象は持っていません。
それにわたくし、政略結婚を受け入れていたと思うのです。
だって、あの夢を見る前のことを思い出しても、全くエリック殿下への愛情がないんですもの。
ですから、ジークハルト殿下との婚約に関しても、別に文句はありませんわ。
「アリスティアに本当に好きな人が出来たなら・・・私に話してちょうだい?絶対に婚約を取り消してあげるわ。貴女がジークハルトの執愛の犠牲になることはないの。アリスティアが成人するまでは婚姻はさせないし、もちろん節度をもった付き合いをさせる。約束するわ。よろしいですわね?陛下」
「し、しかし・・・わ、わかった。約束する」
とりあえず、形式上の婚約ということでしょうか?お試し的な?
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