2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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新天地!です

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「お祖父様、お祖母様~」

 淑女としては失格ですけど、わたくしはお祖父様とお祖母様に駆け寄ります。

 だって前にお会いしたのは、わたくしが十歳になる前でしたわ。

「おお、アリスティア。大きくなったなぁ」

「いらっしゃい、アリスティア。綺麗になったわね」

「お祖父様とお祖母様もお元気そうで、わたくし嬉しいですわ」

 ローゼンタール王国へは、転移陣というものを使いましたの。

 ローゼンタール王国の王宮と、セオドア王国のイングリス公爵家を繋ぐ魔法陣ですわ。

 お父様は爵位譲渡を、キンブル侯爵様は婚約解消の手続きを、キャスリーン様のお兄様方は退職のための引き継ぎを、そしてお兄様は魔法陣の回収のために、セオドア王国に残っていらっしゃいます。

 この転移魔法陣は、ローゼンタールの血を引くものでないと起動はできないのですが、もし放置しておいて将来何かあったら困りますもの。

 魔法陣の回収もローゼンタールの血を引くものでないと出来ませんから、お兄様が残られたのです。

 来られるのに一ヶ月はかかりますのよ。

 わたくしたちがいると、馬車での移動になりますから、それ以上かかります。

 なので、女性陣は転移魔法陣で先に参りましたの。

 わたくしと、お母様、キャスリーン様とキンブル侯爵夫人様、そしてわたくしの侍女のアンナですわ。

「アリスティア。我々はテレサと話があるから、皆様をお部屋にご案内しなさい」

「はい、お祖父様」

 わたくしやお母様のお部屋は、この王城にもあります。

 滞在する時はそのお部屋を使うのです。

 もう暮らすお屋敷は出来ていると聞いていますが、お父様たちが来られるまでは王宮でお待ちすることになっています。

 わたくしは王宮の侍女の案内で、キャスリーン様とキンブル侯爵夫人様とご案内します。

 アンナは別の侍女と共に、使用人用の区画に向かいました。

 王族が住む区画は、侍女や侍従でも決められた者でないと入ることは出来ません。

 ローゼンタール王国は魔法に長けた国ですので、決められた者の魔力を流さないと入れないようになっているのですわ。

 キャスリーン様や侯爵夫人様は魔力をお持ちではありませんので、鍵代わりの魔法石をお渡ししておかなければなりませんね。

「お部屋はどちらですの?」

「はい。キンブル侯爵夫人様とご令嬢のお部屋は、薔薇の間になります」

 ローゼンタール王城の客室には、それぞれ名前がついています。

 お母様のお部屋は月。お兄様のお部屋は海。わたくしのお部屋は天界ですわ。

 そのお名前に沿った壁紙やカーテンなどが揃えてありますのよ。



 
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