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愛しいと思えるのは〜エリック王太子視点〜
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僕の名前はエリック・セオドア。
このセオドア王国の王太子だ。
僕には、生まれた時から決められた婚約者がいる。
イングリス公爵家の令嬢アリスティア嬢だ。
イングリス公爵家はセオドア王国の筆頭公爵家で、僕が生まれた年にアリスティア嬢も生まれた。
彼女は白髪に銀の瞳という、このセオドア王国では見たことのない容姿をしている。
国王である父が何故王命という形を取ったのか、僕には分からない。
でも、彼女はとても綺麗だったし、礼儀正しくて、僕は好感を持てた。
婚約して十六年。
それなりに良い関係を築けていたと思う。
今年、学園に入学し、そして三年後の卒業を以て僕たちは婚姻することが決まっていた。
そんな中、市井で人気の髪飾りの話をしたら、アリスティア嬢がぜひそれを身につけて学園に通いたいと言った。
僕は軽い気持ちで僕付きの護衛と共に市井に向かう。
そこで、遊んでいた子供たちがアリスティア嬢の髪に塗料をつけてしまうという事件が起きた。
僕も護衛も、真っ青になった。
彼女は家族にとても可愛がられている。
腰下まで伸びた長い髪には、色とりどりの塗料が付き、ドレスも汚れてしまった。
ドレスは新しいのを贈ればいいが、髪は・・・
だが彼女は子供を責めることもなく、僕たちにも気にすることはないと笑った。
今切ったとしても、卒業までには結える長さになるからと。
アリスティア嬢が自分の不注意だと言ったからか、公爵家で言葉で責められはしなかったが、侍女たち使用人のキツい視線に僕も護衛も頭を下げるしかなかった。
それから数日後。
落ち込んだ僕に、年若い文官が紹介したい人がいると言ってきた。
知り合いの男爵家の令嬢だが、きっと彼女ならアリスティア嬢への謝罪になる良い案を授けてくれると言うのだ。
婚約者のある身で、他のご令嬢と会うことに躊躇いはあったが、その文官がアリスティア嬢の兄君が機嫌が悪いという話を聞いたと言うので、何か手を打つ必要があると判断した。
結果として。
僕は運命の人と出会った。
ユリア・ジムニー男爵令嬢。
ピンク色の髪と瞳をした、とても可憐で愛らしい彼女に、僕は心惹かれてしまった。
コロコロと表情の変わる彼女は、貴族らしさがなく、それでいてそれが嫌だと思わせない。
僕は今まで、アリスティア嬢のことを好ましいと思っていた。
だがユリア嬢と出会って、あの感情は恋ではないのだと知った。
ユリア嬢ともっと早く出会えていれば。
僕の隣には彼女にいて欲しい。
僕の心の中はユリア嬢で埋め尽くされて行く。
アリスティア嬢への謝罪のことなど、僕の中からすっかり消えていた。
このセオドア王国の王太子だ。
僕には、生まれた時から決められた婚約者がいる。
イングリス公爵家の令嬢アリスティア嬢だ。
イングリス公爵家はセオドア王国の筆頭公爵家で、僕が生まれた年にアリスティア嬢も生まれた。
彼女は白髪に銀の瞳という、このセオドア王国では見たことのない容姿をしている。
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でも、彼女はとても綺麗だったし、礼儀正しくて、僕は好感を持てた。
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そんな中、市井で人気の髪飾りの話をしたら、アリスティア嬢がぜひそれを身につけて学園に通いたいと言った。
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腰下まで伸びた長い髪には、色とりどりの塗料が付き、ドレスも汚れてしまった。
ドレスは新しいのを贈ればいいが、髪は・・・
だが彼女は子供を責めることもなく、僕たちにも気にすることはないと笑った。
今切ったとしても、卒業までには結える長さになるからと。
アリスティア嬢が自分の不注意だと言ったからか、公爵家で言葉で責められはしなかったが、侍女たち使用人のキツい視線に僕も護衛も頭を下げるしかなかった。
それから数日後。
落ち込んだ僕に、年若い文官が紹介したい人がいると言ってきた。
知り合いの男爵家の令嬢だが、きっと彼女ならアリスティア嬢への謝罪になる良い案を授けてくれると言うのだ。
婚約者のある身で、他のご令嬢と会うことに躊躇いはあったが、その文官がアリスティア嬢の兄君が機嫌が悪いという話を聞いたと言うので、何か手を打つ必要があると判断した。
結果として。
僕は運命の人と出会った。
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コロコロと表情の変わる彼女は、貴族らしさがなく、それでいてそれが嫌だと思わせない。
僕は今まで、アリスティア嬢のことを好ましいと思っていた。
だがユリア嬢と出会って、あの感情は恋ではないのだと知った。
ユリア嬢ともっと早く出会えていれば。
僕の隣には彼女にいて欲しい。
僕の心の中はユリア嬢で埋め尽くされて行く。
アリスティア嬢への謝罪のことなど、僕の中からすっかり消えていた。
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