2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

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大切なお姫様〜イングリス公爵夫人テレサ視点〜

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「父上。本当にあの男爵令嬢と殿下を会わせるおつもりですか?」

 ライアンは、納得がいかないという表情をしているわ。

 そうね。気持ちはわかるわ。
アリスティアは私たちの大切なお姫様。

 そのお姫様をんだもの。許せるわけがないわよね。

 有無を言わさず、殺してしまいたいのでしょう。

 その気持ちは私も旦那様も同じよ。

 でも、優しいあの子はそれを望まない。

 自分が無関係にさえなれれば、あとは勝手にしてくれていいと思っているのよ。

 本当に優しい子。

「ライアン。まずは王家に婚約の破棄を認めさせなければならないのよ。あの男爵令嬢と会わせた方が手早いの」

「認めるでしょうか?」

「認めせるわ。あの娘と出会いさえすれば、盛りの付いた犬はに不貞をするでしょう。それを突きつけるわ」

 大体、アリスティアと婚約していながら他の女に目移りするなんて、絶対に許さない。

 王族のくせに、下半身が緩いなんてどういうことかしら。

 それを咎めない国王も国王よ。
気づいてなかったというならそれも問題だし、気付いていて放置したならそれも問題よ。

 そんな国、存続する価値がないわ。

 それでも、国を滅ぼしてしまえば、アリスティアが憂いてしまう。

「男爵令嬢と会わせて不貞の証拠を掴む間に、お父様に連絡してローゼンタール王国での爵位を準備してもらいましょう。それからこの国の爵位と領地は、旦那様の遠縁の誰かに継いでもらう準備をしないと」

「キンブル侯爵に頼んで、爵位返上の手続きをしてもらおう。王族に知られないように、彼なら上手くやってくれるだろう」

 旦那様の言葉に頷く。
私はローゼンタール王国の両親に向けて手紙を書くと、家令にすぐに出すように伝える。

 他国の貴族に王命は効かない。
不貞を突きつけても、婚約破棄を受け入れない場合を考えないと。

 元々、お父様はローゼンタール王国に住むようにとおっしゃられてた。

 それに従えば良かったと、今は思う。

 私の大切なお姫様の心を傷つけただけで飽き足らず、処刑だなんて。

 お父様のお叱りは甘んじて受けましょう。

 旦那様も歴代支えて来た王家から、まさかこんな仕打ちを受けるなんて思っていなかったはず。

 あの不貞王子が、王命の意味すら理解しない馬鹿だとは思わなかった。

 そもそも男爵令嬢が王太子妃になれるわけがないのに、何を考えていたのかしら?

 王族、しかも私のお姫様の婚約者に魅了魔法なんか効かない。

 つまりはアレは、あの王子の本質ということよ。

 
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