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何の問題もないそうです

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「ふっ、ふふっ、ふふふっ。私の可愛いお姫様にそんな辛い夢を見せるなんて。あのお坊ちゃん王子は私達の宝物をなんだと思っているのかしら」

 お母様は、わたくしのことを可愛いお姫様と呼んで、とてもとても大切にしてくださっています。

 あれがもし夢でなくて・・・本当にあったことなら。

 わたくしが処刑されたと家族が、お母様が知ったら、どれほど悲しませたことでしょう。

 それに、多分・・・
エリック殿下だけでなく王家はタダでは済まなかったと思います。

 だってお母様は・・・

「ふふふっ。あのお坊ちゃんはこの国を滅ぼしたいのね。ふふっ」

「お母様、夢なのです。夢なので、お心を鎮めてくださいませ」

「なんて優しいんだろうね、うちの天使は。なぁ、ライアン?」

 お父様の言葉に、お兄様も満面の笑みで頷かれます。

「もちろんです、父上。ですが、母上。可愛いアリスが困っています。落ち着かれて下さい」

「そうだな。テレサ、落ち着きなさい。我らのやるべきことは可愛いお姫様の笑顔を守ることだろう?」

「そ、そうね、アーグスト。ごめんなさい、私の可愛いお姫様アリスティア」

 お母様の謝罪に、私はお胸から顔を上げます。

 わたくし、お母様に似ているとお父様やお兄様には言われますが、この凶器のようなお胸だけは似ませんでしたわ。

「いいえ、お母様。わたくしのために怒ってくださってありがとうございます」

「まぁ!私のお姫様が天使で妖精で女神だわ!可愛い私のお姫様。願いを言ってちょうだい?貴女の望みは私や旦那様、ライアンの願いよ。そして、この公爵家の使用人だけでなくお祖父様やお祖母様の願いなのよ」

 お母様だけでなく、お父様もお兄様も、それから公爵家のみんなも、わたくしのことをとても大切にしてくださいます。

 特にお母様のご両親、わたくしのお祖父様とお祖母様は、わたくしのことをとてもとても可愛がって下さり、セオドア王国から自国へ来るようにと何度もおっしゃっていました。

 わたくしが生まれた時にセオドア王国国王陛下が下された王命で婚約が決まりましたから、お祖父様達のところへ行くことは叶いませんでしたが、そうですね、その手がありましたね。

「お母様、お父様、お兄様。わたくし、エリック殿下との婚約を解消してお祖父様達のところへ行きたいですわ」

「あら?それはいいわね。そんな愚王子がいる国なんて何の未練もないし。そもそも、旦那様がこの国の貴族だったから、王命に従ったまで。旦那様、我が国へ参りましょう?ライアンもいいわね?」

「私は良いが、ライアンには婚約者のキンブル侯爵令嬢がいるだろう?どうするのだ?」

「何の問題もないわ。キンブル侯爵家共々我が国へ行けば良いのよ」
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