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婚約破棄されました
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「アリスティア・イングリス!ここにお前との婚約を破棄し、このユリア・ジムニー男爵令嬢との婚約を宣言する!」
この国セオドアでは、学園の卒業パーティーを以て、わたくし達は成人と看做されます。
まさにその卒業パーティーで、セオドア王国王太子であらせられるエリック・セオドア様が、わたくしとの婚約を破棄すると宣言なさいました。
柔らかな金髪に夏の空のような青い瞳をされたエリック様は、その美しいかんばせに今は嫌悪感を浮かべ、わたくしのことを睨みつけていらっしゃいます。
わたくしの名前は、アリスティア・イングリス。
このセオドア王国の筆頭公爵家の娘です。
わたくしとエリック王太子殿下との婚約は、わたくしが生まれた時に王命にて決められました。
王太子のエリック様をお支えするべく、わたくしはわたくしなりに頑張って来たつもりです。
殿下もそんなわたくしを労って下さり、円満な婚約関係だったと思います。
セオドア王国では、貴族は十六歳になると学園に通います。
そして三年後の十八歳の卒業を以て成人となるため、わたくしとエリック殿下は卒業後に婚姻することが決まっていました。
いつの頃からでしょうか。
学園内でエリック殿下が同じご令嬢と共に過ごすようになったのは。
いくら学園が、多くの貴族との縁を結ぶ場所であるとはいえ、特定の、しかもご令嬢と親しくされることはエリック殿下のためになりません。
何度かやんわりとご注意いたしましたが、エリック殿下がお聞き入れくださることはありませんでした。
注意するわたくしに見せつけるように、そのご令嬢との距離は縮まっていったのです。
真っ白な髪に銀色の瞳のわたくしのことを「気味が悪い」「幽霊のようだ」とおっしゃり、花のようなピンク色の柔らかな髪をされたご令嬢を愛おしげに見つめられます。
確かにわたくしの髪色はこの国ではとても珍しいものですが、そのことに関してはエリック殿下にお話したことがありますのに。
お忘れになってしまわれましたのね。
王命であるわたくしとの婚約を、殿下の一存で破棄することはできません。
それでも衆人の前で宣言されたということは、国王陛下の許可が取れているということでしょうか?
「婚約破棄の件は国王陛下はご存知なの・・・きゃっ!」
その旨をお伺いしようとしましたら、突然後ろから押し倒され、床に押さえつけられました。
何が起きていますの?
公爵令嬢であるわたくしはこのような扱いを受けたことはございません。
「アリスティア・イングリス!私の愛しいユリアをいじめ、殺そうとしたお前の罪を許すことは出来ない!死をもって贖え!」
憎々しげにそう叫ぶエリック殿下に反論したいのに、押さえつけられていて声を上げることすら出来ません。
「きゃあああああ!」
わたくしの記憶は、誰かの叫んだ悲鳴を聞いたところで、ぷつりと途切れました。
この国セオドアでは、学園の卒業パーティーを以て、わたくし達は成人と看做されます。
まさにその卒業パーティーで、セオドア王国王太子であらせられるエリック・セオドア様が、わたくしとの婚約を破棄すると宣言なさいました。
柔らかな金髪に夏の空のような青い瞳をされたエリック様は、その美しいかんばせに今は嫌悪感を浮かべ、わたくしのことを睨みつけていらっしゃいます。
わたくしの名前は、アリスティア・イングリス。
このセオドア王国の筆頭公爵家の娘です。
わたくしとエリック王太子殿下との婚約は、わたくしが生まれた時に王命にて決められました。
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殿下もそんなわたくしを労って下さり、円満な婚約関係だったと思います。
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そして三年後の十八歳の卒業を以て成人となるため、わたくしとエリック殿下は卒業後に婚姻することが決まっていました。
いつの頃からでしょうか。
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何度かやんわりとご注意いたしましたが、エリック殿下がお聞き入れくださることはありませんでした。
注意するわたくしに見せつけるように、そのご令嬢との距離は縮まっていったのです。
真っ白な髪に銀色の瞳のわたくしのことを「気味が悪い」「幽霊のようだ」とおっしゃり、花のようなピンク色の柔らかな髪をされたご令嬢を愛おしげに見つめられます。
確かにわたくしの髪色はこの国ではとても珍しいものですが、そのことに関してはエリック殿下にお話したことがありますのに。
お忘れになってしまわれましたのね。
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それでも衆人の前で宣言されたということは、国王陛下の許可が取れているということでしょうか?
「婚約破棄の件は国王陛下はご存知なの・・・きゃっ!」
その旨をお伺いしようとしましたら、突然後ろから押し倒され、床に押さえつけられました。
何が起きていますの?
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「アリスティア・イングリス!私の愛しいユリアをいじめ、殺そうとしたお前の罪を許すことは出来ない!死をもって贖え!」
憎々しげにそう叫ぶエリック殿下に反論したいのに、押さえつけられていて声を上げることすら出来ません。
「きゃあああああ!」
わたくしの記憶は、誰かの叫んだ悲鳴を聞いたところで、ぷつりと途切れました。
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