悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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それぞれの結末①

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「これをお願いね」

 ルーナはユリシーナに頷くと、国王陛下とライアン殿下への手紙を渡した。

 ユリシーナは恭しくそれを受け取ると、ルーナの私室から出て行く。

 ルーナが報告を受けユリシーナに託したのは、二枚の手紙。

 アレックス・セルビア。ダグラス・ロックベル。

 いや。もう二人とも廃籍されてしまったから、平民のアレックスとダグラスか。

 さすがに廃籍を取り消すことは出来なかった。

 ルーナが望めば、国王陛下もセルビア公爵とロックベル侯爵に願ってくれたかもしれない。

 だが、ルーナはそれは貴族として正しくないと判断した。

 自分たちが良い服を着て美味しい物を食べ、快適な生活ができるのは、その権利を得ているのは、それに伴う義務をこなしているからだ。

 義務を放棄すれば、当然権利も失う。

 あの断罪のパーティーで、打ちひしがれた様子のアレックスと、自分のしたことに理解が追いついていないダグラスを、会場の隅でルーナは見ていた。

 あの断罪を、アナにも協力してもらいライアンに全て託したのには理由があった。

 これから、ライアンとアナは二人手を取り王太子と王太子妃としてこの国を支えていかなければならない。

 アナは頑張り屋で優秀だけど、平民だった少女だ。

 王太子妃教育で辛い思いをすることもあるだろう。

 それをライアンは気付き、気遣い、愛おしみ、支えていかなければならない。

 ライアンが正式に立太子すれば、ランスロットとリリアナも婚約を結ぶことになっている。

 神官長の子息であるセドリックは、婚約者のアマリア・ジーン伯爵令嬢と共に、ライアンとアナを支えてくれると約束した。

 アレックスの婚約者だったメルティン・フィクサー侯爵令嬢は、セルビア公爵家の遠縁の子爵令息と婚約を前提に交際することが決まった。

 その令息をセルビア公爵家に養子縁組することになったのだ。

 セルビア公爵夫妻は、本当にメルティンのことを可愛がっていて、ぜひ自分たちの娘になって欲しいと願ったのだ。

 三歳年下の子爵令息もどうやら、メルティンには片想い状態だったらしい。

 侯爵家のご令嬢で公爵家嫡男の婚約者だったため、想いを口にすることはなかったようだが。

 今は公爵家を継ぐために勉強をする毎日で、メルティンもそれを補佐しているらしい。

 可愛い弟を相手にしている気分なのだろう。

 案外、年下のほうがメルティンには合っているのかもしれない。

 ダグラスの婚約者だったカーラ・ジョルダンは、有言実行で騎士を目指すと宣言した。

 ジョルダン侯爵家夫妻は顔をしかめたが、ライアンの口効きもあり、渋々娘の決意を受け入れた。

 ライアン的には、将来アナの専属護衛になってもらいたいらしい。

 王太子妃の専属護衛ならば、また別の縁も出来るだろうとジョルダン侯爵夫妻も認めたのだ。

 カーラ自身は、今は恋愛に興味はないらしいが、一緒に鍛錬している騎士団員の中にはカーラを熱い視線で見つめる騎士たちが何人もいるらしい。
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