88 / 120
立つ鳥跡を濁さず
しおりを挟む
ライアンとランスロットが、婚約者を決めることを決意した。
それはルーナに、あることを決意させた。
王妃ヘスティアは、ルーナを諦めないだろう。
リリアナとランスロットが婚姻すれば、フィオレンサ公爵家との縁はできる。
アナは聖女だ。
身分こそ男爵令嬢だが、王太子妃、王妃として努力も出来る問題ない存在だ。
そしてライアン自身がアナを望み、きっとこの先どんなことがあっても二人は手を携えて乗り越えていけるだろう。
だが、それでもヘスティアは諦めないだろうとルーナは思っていた。
今のヘスティアは、ルーナを王太子妃にということしか考えていない。
ライアンが大切な息子だからとか、フィオレンサ公爵家との縁だとか、そんなことはもう頭にはなく、ただルーナを王太子妃にという「自分が決めた未来」へのこだわりしか残っていない。
国王アダムスやマーガレットが甘やかして来たツケだといえばそれまでだが、精神的に危ういとルーナは感じていた。
月子だった時に、ブラックな会社に翻弄され、心を病んでいった後輩や同僚と似たものをヘスティアに感じる。
王妃として、表舞台に立っていられる時間は少ないかもしれない。
そのためにも、ライアンには早く立太子してもらい、アナに王太子の婚約者としての教育を受けさせなければならない。
リリアナは降嫁することになるから、王妃の座が空いたとしても、しばらくは王族として国王の手助けは出来るだろう。
もう少し学園生活を普通の生徒として楽しみたかったであろうアナには申し訳ないが、ヘスティアの暴走を抑えられる限度が近付いて来ているとルーナは思っている。
それから、偽ヒロインのシシリーにもそろそろお灸を据えなければならない。
あの日ライアンから拒絶されて、ダグラスたちとその場から逃げたシシリー。
このまま大人しくしていれば、ルーナも見逃してもいいと考えていたが、どうやらそのつもりはないらしい。
最近、ヘリオがアナの悪口を色々と周囲に言っていると耳にしていた。
最初こそ、元平民ということやランスロットやライアンが側にいるということで、周囲からやっかまれていたアナだが、ルーナが特に気にかけていることとアナ自身の性格の良さで、周囲も今はアナを認めている。
だから事実無根の噂を心配して、ルーナに知らせて来てくれたのだ。
まぁ、ヘリオの独断ということも考えられるが、おそらくはシシリーがお願いしたのだろう。
ライアンの婚約が発表されれば、何か動きを見せるかもしれない。
もうライアンが魅了にかかることはないだろうが、アナを害しようとする可能性もある。
転生者だろうが何だろうが、この世界に存在する限りは、この世界のルールに従ってもらうつもりだ。
それはルーナに、あることを決意させた。
王妃ヘスティアは、ルーナを諦めないだろう。
リリアナとランスロットが婚姻すれば、フィオレンサ公爵家との縁はできる。
アナは聖女だ。
身分こそ男爵令嬢だが、王太子妃、王妃として努力も出来る問題ない存在だ。
そしてライアン自身がアナを望み、きっとこの先どんなことがあっても二人は手を携えて乗り越えていけるだろう。
だが、それでもヘスティアは諦めないだろうとルーナは思っていた。
今のヘスティアは、ルーナを王太子妃にということしか考えていない。
ライアンが大切な息子だからとか、フィオレンサ公爵家との縁だとか、そんなことはもう頭にはなく、ただルーナを王太子妃にという「自分が決めた未来」へのこだわりしか残っていない。
国王アダムスやマーガレットが甘やかして来たツケだといえばそれまでだが、精神的に危ういとルーナは感じていた。
月子だった時に、ブラックな会社に翻弄され、心を病んでいった後輩や同僚と似たものをヘスティアに感じる。
王妃として、表舞台に立っていられる時間は少ないかもしれない。
そのためにも、ライアンには早く立太子してもらい、アナに王太子の婚約者としての教育を受けさせなければならない。
リリアナは降嫁することになるから、王妃の座が空いたとしても、しばらくは王族として国王の手助けは出来るだろう。
もう少し学園生活を普通の生徒として楽しみたかったであろうアナには申し訳ないが、ヘスティアの暴走を抑えられる限度が近付いて来ているとルーナは思っている。
それから、偽ヒロインのシシリーにもそろそろお灸を据えなければならない。
あの日ライアンから拒絶されて、ダグラスたちとその場から逃げたシシリー。
このまま大人しくしていれば、ルーナも見逃してもいいと考えていたが、どうやらそのつもりはないらしい。
最近、ヘリオがアナの悪口を色々と周囲に言っていると耳にしていた。
最初こそ、元平民ということやランスロットやライアンが側にいるということで、周囲からやっかまれていたアナだが、ルーナが特に気にかけていることとアナ自身の性格の良さで、周囲も今はアナを認めている。
だから事実無根の噂を心配して、ルーナに知らせて来てくれたのだ。
まぁ、ヘリオの独断ということも考えられるが、おそらくはシシリーがお願いしたのだろう。
ライアンの婚約が発表されれば、何か動きを見せるかもしれない。
もうライアンが魅了にかかることはないだろうが、アナを害しようとする可能性もある。
転生者だろうが何だろうが、この世界に存在する限りは、この世界のルールに従ってもらうつもりだ。
85
お気に入りに追加
708
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
こな
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
愛されない王妃は、お飾りでいたい
夕立悠理
恋愛
──私が君を愛することは、ない。
クロアには前世の記憶がある。前世の記憶によると、ここはロマンス小説の世界でクロアは悪役令嬢だった。けれど、クロアが敗戦国の王に嫁がされたことにより、物語は終わった。
そして迎えた初夜。夫はクロアを愛せず、抱くつもりもないといった。
「イエーイ、これで自由の身だわ!!!」
クロアが喜びながらスローライフを送っていると、なんだか、夫の態度が急変し──!?
「初夜にいった言葉を忘れたんですか!?」
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

身分違いの恋に燃えていると婚約破棄したではありませんか。没落したから助けて欲しいなんて言わないでください。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるセリティアは、ある日婚約者である侯爵令息のランドラから婚約破棄を告げられた。
なんでも彼は、とある平民の農家の女性に恋をしているそうなのだ。
身分違いの恋に燃えているという彼に呆れながら、それが危険なことであると説明したセリティアだったが、ランドラにはそれを聞き入れてもらえず、結局婚約は破棄されることになった。
セリティアの新しい婚約は、意外な程に早く決まった。
その相手は、公爵令息であるバルギードという男だった。多少気難しい性格ではあるが、真面目で実直な彼との婚約はセリティアにとって幸福なものであり、彼女は穏やかな生活を送っていた。
そんな彼女の前に、ランドラが再び現れた。
侯爵家を継いだ彼だったが、平民と結婚したことによって、多くの敵を作り出してしまい、その結果没落してしまったそうなのだ。
ランドラは、セリティアに助けて欲しいと懇願した。しかし、散々と忠告したというのにそんなことになった彼を助ける義理は彼女にはなかった。こうしてセリティアは、ランドラの頼みを断るのだった。

【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる