悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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ある次期公爵のひとり言③

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 ライアン殿下が、オフリー嬢に婚約を申し込んだ。

 申し込むつもりだと聞いたルーナが、オフリー嬢の本心を先に聞きたいと言って殿下もそれに同意なされた。

 ルーナが聞いて、殿下に対してお気持ちがなければ婚約の申し込みはしない。

 そうおっしゃって、部屋の外で待機されていた。

 本来なら、部屋の中の声が外に聞こえることはないのだが、ルーナが発明した魔道具で、中での話は殿下の持つ魔道具から聞こえるようになっている。

 そわそわ、ドキドキという様子に、こちらまでドキドキしてしまった。

 あの男爵令嬢と一緒にいる時の殿下は、申し訳ないが尊敬するに値しない言動があった。

 それでも、ギリギリのところは耐えていたようだから、神官長様の魔法はすごいのだと思う。

 ルーナの手助けもあり、完全に魅了から解き放たれた殿下は、課題に取り組む過程で、オフリー嬢に惹かれていったようだ。

 確かに、身分こそ平民上がりの男爵令嬢だけど、彼女は聖女だし、凛としていて素晴らしい女性だと思う。

 もしオフリー嬢がいなくて、ルーナがカイルを好きでなかったら、殿下はルーナを婚約者にと望んだのだろうか。

 ルーナがカイルを好きなことは周知の事実だから、殿下も最初からルーナを意識しないように距離を取っていた。

 もしかしたら、ルーナを婚約者にと望む王妃殿下への反抗だったのかもしれない。

 ルーナがライアン殿下に手を貸したのは、オフリー嬢が殿下と課題のペアを組むと言い出したからだ。

 どうやらオフリー嬢の方は、ルーナがカイルと組めるように気をつかってのことらしい。

 ライアン殿下は元々はとても優秀で、尊敬に値する人だ。

 努力家だし、人の気持ちに寄り添える。
だけど王族として、厳しい決断も出来る人だ。

 だから、オフリー嬢が殿下に惹かれたのは自然なことだろう。

 僕はカイルのことはとても大切だし、彼が優秀で素晴らしい人間だということは理解している。

 伯爵家嫡男でありながら、父親の暴挙で家を出ることになったのに、曲がることなく真っ直ぐに前を向いている。

 両親を亡くして、心を砕いてくれる従妹に牙をむいていた僕とは大違いだ。

 だから、ルーナがカイルを好きなのは理解しているけど、ルーナが殿下のことを最初から毛嫌いしていたのがよくわからない。

 まぁそれでも収まるとこに収まったという感じだろうか。

 オフリー嬢が殿下の婚約者になるには、王妃殿下という難問があるけれど、そのあたりはルーナが手を打つだろう。

 僕も出来る限りの協力は惜しまないつもりだ。

 ライアン殿下が立太子することを決めたなら、僕もそろそろ覚悟を決めるべきかもしれない。


 
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