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公爵令嬢のひとり言14

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「あの・・・ルーナ様、相談したいことが」

 アナ様がそう言って、帰ろうとしていた私を引き止めたのは、魔法学の課題を提出した三日後だった。

 私たちの提出した課題は、案の定先生方の興味をひいた。

 当然よね。
国の利益になることだもの。

 使う魔法札の提供は、フィオレンサ商会。

 使う魔石のために魔獣を狩ったのは、ランス兄様に、カイルと私。

 魔法を込めるのは、ライアン殿下にリリアナ様。

 その込める作業の補佐がアナ様。

 というふうに報告してある。
みんなにもそういうことにすると打ち合わせ済み。

 発案も、ライアン殿下とリリアナ様がしたことにした。

 ライアン殿下あたりが、何か言うかと思ったけど、私の思惑を理解してくれたみたいで、何も言わなかった。

 だって婚約話が再燃したら面倒だもの。

 それに実際、魔法を込める作業が一番大変なのよ。

「相談ですか?なら、うちでお茶でもしましょうか」

 ここ最近、課題のためにフィオレンサ公爵家に訪れていた面々だけど、今日はライアン殿下とリリアナ様は課題のことで国王陛下に呼ばれているらしい。

 ランス兄様とカイルは、お父様と話があるらしくて先に帰ったから、珍しく私はユリシーナと二人で帰る予定だった。

 屋敷に着いて私室で向かい合い、アナ様が困ったような表情で語った内容に私はポカン、としてしまった。

「ライアン殿下から・・・告白、ですか」

 どうやら二人で課題に取り組むうちに、殿下はアナ様に好意をもったらしい。

 まぁ、それは正しいルートだと言える。

 乙女ゲームでも、漫画でも、ライアンはヒロインのことを心から愛するのだから。

「私は男爵家の娘です。しかも、元々は平民で・・・ライアン殿下のような高貴な方とは身分差があり過ぎます」

「アデライン王国では、身分で婚約者を決めることはありません。釣り合う身分の婚約者を選びがちなのは、交流が同じような爵位の人間に偏りがちなのと、その身分にあった教育についていけない場合があるからです。アナ様は努力家ですし、元が平民でも問題ないと思います。ただ・・・」

「ただ?」

「アナ様がライアン殿下のことをお好きでないのなら、はっきり断れば良いと思います。私もリリアナ様も、アナ様には幸せになって欲しいと思ってますから」

 微妙な気持ちなら、断ったほうが良いと思っている。

 アナ様なら王太子妃教育も問題ないと思うけど、頑張ろうと思う気持ちも、ライアン殿下への思いがあればこそ。

 何たってあの王妃様が姑になるんだから。
 生半可な気持ちでは、挫折すると思うわ。



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