悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな

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乙女ゲームの強制力?それとも?

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 それぞれにペアを組み、魔法学の課題に挑む。

 ライアンはアナと。ランスロットはリリアナと。ルーナはカイルとペアを組んだ。

 ルーナにとって、ランスロットは従兄、リリアナとアナは友人ということで、大きな課題に六人で取り組まないかと提案した。

「僕はかまわないが、大きな課題とは何だ?」

 誰か令嬢とペアを組まなければならない。
 だから、妹のリリアナと組むつもりだったライアンは、リリアナがフィオレンサ公爵家の次期公爵のランスロットと組んだことで、相手を選びかねていた。

 ランスロットがリリアナと組むのなら、公爵令嬢のルーナに申し入れようかと思っていたら、元カサブランカ伯爵家嫡男のカイルと組んでしまったのだ。

 元々あのメンツは普段から仲が良く、クラスの中でも周囲の羨望の的だった。

 王子でありながら、誰からも申し込まれない自分とは違う。

 クラスは男女同数ではないから、最終的に残った者と組むことになりそうだ。

 ライアンはそう考えた。

 仕方ない。
シシリーと親しくしているライアンに、周囲の目は冷たかった。

 だから声をかけられた時、ライアンと呼ばれていたのに人違いかと思ってしまった。

「失礼します。アナ・オフリーと申します。ライアン殿下、私とペアを組んでいただけませんか」

 ライアンに声をかけてきたのは、この国では珍しい漆黒の髪と瞳の男爵令嬢。

 平民だった彼女は、母親が亡くなったことで男爵である父親に引き取られ、貴族となった。

 成績優秀で、品行方正。
稀有な聖魔法を所持しているらしく、叔父の神官長も気にかけている存在だ。

 同じ男爵令嬢でも、シシリーのように高位貴族にも馴れ馴れしくしたり、異性の体に触れたりすることもない。

 それはシシリーが悪いわけでなく、平民ならそれは普通なのだ。

 下位貴族も高位貴族や王族のように、幼い頃から家庭教師にマナーを教わるわけではない。

 だが、アナは元から貴族であったかのように、礼儀正しく身分をわきまえた言動をする令嬢だった。

「僕とペアを?」

「はい。殿下がお嫌でなければ。私は元平民ですし男爵家の娘ですから、不敬でしたらそうおっしゃって下さい」

 普段、あのシシリーの言動を認めているのである。
 礼儀正しいアナのことを、不敬だなんて言えるわけがない。

「嫌というか、君・・・オフリー嬢が嫌ではないのか?」

 ライアンは、最近の自分は母親はもちろんリリアナにも苦言を呈されていることは理解している。

 だから、リリアナたちと仲の良いアナから誘われたことが不思議だった。
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